[制度の背景・全体像]
内航海運は国内貨物輸送の約4割を担っており、また、臨海部への製造所等の立地集中に即した大量輸送機関として、長期にわたり石油製品、セメント、鉄鋼等の産業基礎物資に係る輸送の約8割を担っているなど、我が国経済を支える基幹的な物流産業として重要な役割を担っています。また、離島航路をはじめ国内旅客輸送にとって不可欠な公共交通機関でもあり、我が国経済と国民生活にとって必要不可欠な産業インフラ、ライフラインとして極めて重要な役割を果たしています。
内航船舶については、中小零細企業が太宗を占めるという業界の特殊性や、海運における環境対応等の観点に鑑み、以下の3つの税制特例措置が講じられており、内航海運において必要不可欠な制度となっています。
[1]環境負荷低減に資する船舶に係る特別償却制度(船舶に係る特別償却制度)
(政策の目的)
国際社会からのCO2排出削減等の環境負荷の低減や内航海運におけるカーボンニュートラル推進への要請に応えるため、エネルギー効率が高く環境に優しい船舶の建造投資を促進します。
(制度の概要)
海上運送業を営む個人又は法人が、環境負荷の低減に資する船舶等の取得をした場合には、船舶の区分に応じて特別償却を可能とします。
○ 内航船舶(総トン数が500トン以上の船舶に限る。)
・高度環境負荷低減船・・・・・・・・・・・特別償却率 18/100
・環境負荷低減船・・・・・・・・・・・・・特別償却率 16/100
※高度環境負荷低減船、環境負荷低減船の要件
(税務署への申告の際に必要な書類)
詳しくは国税庁HPをご確認ください。
※ご不明点はお近くの税務署へお問い合わせください。
[2]海上運送業における特定の事業用資産の買換等の場合の課税の特例措置(買換特例制度)
(政策の目的)
多額の資金を要する船舶の調達において、譲渡船舶の売却益を活用して代替船舶を確保し、我が国の国民生活及び経済活動を支える基幹的輸送インフラである内航海運に係る船舶の代替を促進することで、安定的な輸送サービスの確保を図りつつ、環境負荷の低減を実現することを目的とします。
(制度の概要)
個人又は法人が、所有する船舶を譲渡し、新たに、租税特別措置法等に定める環境負荷低減に資する設備を取得した場合、譲渡益の80%について課税を繰り延べることができます。
※環境負荷低減に資する設備の要件
※譲渡資産は船齢23年未満のものに限ります。
※新たに取得する船舶は新造船に限られず、中古船(法定耐用年数以下、かつ、譲渡する船舶の船齢を下回っている船舶に限ります)の取得も可能です。
(税務署への申告の際に必要な書類)
詳しくは国税庁HPをご確認ください。
※ご不明点はお近くの税務署へお問い合わせください。
[3]中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
(政策の目的)
地域の経済や雇用を支え、我が国経済全体を発展させる重要な役割を担う中小企業者等の成長の底上げに向けて、中小企業者等の設備投資を促進します。
(制度の概要)
船舶を取得し、内航海運事業に利用した場合に、取得価額の75%の30%の特別償却又は7%の税額控除が選択適用(税額控除は資本金3,000万円以下の法人、個人事業主のみ)できます。
※船舶を旅客船事業に利用する場合は適用対象外です。
※総トン数500トン以上の内航船舶については、本制度の適用を受けようとする場合、当該船舶が環境への負荷の状況が明らかにされた船舶であることを証明(注)するために、以下のとおり国土交通省に届出が必要となります。
(注)船舶の環境への負荷の低減に資する装置等の搭載の有無を記載いただく書類で、当該装置等の搭載を義務づけているものではありません。
対象者 | 提出書類 | 記載例等 | 提出先 |
海運事業者 (造船事業者は一部記載が必要な欄あり) |
租税特別措置法第十条の三第一項及び第三項並びに第四十二条の六第一項及び第二項の規定の適用を受けようとする船舶に関する届出書 | 記載要領(届出書) | 原則下部メールアドレスあてワード提出(事業所にパソコンがないなど、難しい場合は紙での作成も可) |