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市民参加型XRコンテンツ開発プラットフォームの構築

実施事業者株式会社STYLY
実施協力西日本旅客鉄道株式会社
実施場所大阪市大阪城公園 / 広島市広島駅周辺 / 金沢市金沢駅周辺
実施予定2024年12月
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実際の都市を舞台にしたXRコンテンツを誰でも簡単に制作・配信・体験できるプラットフォームを開発。コンテンツ制作や都市回遊型のXRイベントを簡単かつ低コストに実施できる環境を構築し、まちのにぎわい創出を目指す。

本プロジェクトの概要

近年、XR技術を活用したイベントの開催は民間事業者だけでなく自治体が主催する事例が増えている。特に、都市を舞台にしたXRコンテンツは都市の魅力を向上させ、観光業の促進や地域活性化に大きく寄与することが期待されている。しかし、現状では制作会社やクリエイターが、イベントごとに独自のアプリケーションを開発し、コンテンツを制作して配信している。その結果、コンテンツの制作や配信に高いコストがかかる傾向があり、XR技術を活用したイベントが広く普及するうえでの課題となっている。

また、制作されるコンテンツには、特定のエリアだけで楽しめるロケーションベースのものや、複数のエリアが連動するもの、物理的には表現困難な大きさのもの、移動や操作しながら体験するインタラクティブなものなどが存在するが、いずれも制作から配信、体験に至るまでの基本的なワークフローが確立されていない。そこで、これらのコンテンツの基本的なワークフローを整理し、確立することにより、更なるユーザー体験の質の向上に繋がると考えられる。

本プロジェクトでは、大阪市、広島市、金沢市の3つの都市の3D都市モデルを空間レイヤープラットフォームである「STYLY」の「都市テンプレート」として組み込み、誰でも利用できる汎用的な環境を構築する。「都市テンプレート」の組み込みにおいては、Webブラウザでのコンテンツ制作やモバイル端末でのXR体験を快適に行うための3D都市モデルの軽量化や、ARコンテンツ表示の際のオクルージョン設定、体験時のARコンテンツのズレ等を抑止する現地調整作業等を行う。
また、本システムを用いて都市を舞台とした各地域独自のXRコンテンツ制作を行い、都市回遊型の体験イベントを開催する。制作するXRコンテンツは、3つの都市で地域に根ざした様々なクリエイターやアーティストと協働して複数制作し、各都市の魅力をより引き出すことを目指す。加えて、STYLYを活用したXRコンテンツ制作を行う市民参加型ワークショップを実施し、市民が制作した作品を取り込んだXRコンテンツを公開することでまちの賑わい創出を図る。体験イベントでは、アーティストや市民によって制作されたコンテンツを都市の様々なスポットに配置することで、参加者がイベントを楽しみながら都市を自然と回遊することを狙う。

これらのアプローチを通じて、3D都市モデルとXR技術を用いて制作された様々なコンテンツを活用したイベントの魅力を伝えるとともに、XR技術を活用したまちのにぎわい創出に寄与する。

実現したい価値・目指す世界

昨今、まちづくりにおいて、デジタル技術によるエリアマネジメントの高度化や、市民の意見やアイデアを活かしたボトムアップな都市開発やまちの賑わいづくりが期待されている。その中で特にXR技術には、現実世界と仮想空間を融合することで新たな体験やコミュニケーションを創出する価値があり、まちづくりや都市の賑わい創出のために活用されることがある。例えば、都市空間にXR技術を用いて市民のクリエイティブ作品を展示し、まちの賑わい創出に活用する等の取り組みが行われている。一方で、コンテンツ制作や配信のコストが高い等の理由によりXR技術の活用にまだ取り組めていない自治体や事業者が存在するため、XRを活用した取り組みを支援するための汎用的なプラットフォームの整備が求められている。

本プロジェクトでは、高い位置正確度を持つ3D都市モデルと、XRコンテンツを制作・配信・体験できる汎用的な仕組みや、多くのクリエイター、ユーザーを有する空間レイヤープラットフォーム「STYLY」を活用し、誰もが簡単にXRコンテンツを制作可能なプラットフォームを構築する。具体的には、インポートした3D都市モデルに対して、テクスチャ結合等による軽量化、オクルージョン設定、都市の再現性をより高めるためにSTYLYモバイルアプリを活用し現地調整等を予め行い、誰でもロケーションベースのXRコンテンツ制作に利用可能な「都市テンプレート」として「STYLY」上に構築する。「都市テンプレート」の活用により、従来必要であったXRコンテンツ制作における専門的な知識やスキル、現場検証作業等が不要となるため、住民や来訪者など多くの人が自由かつ容易にXRコンテンツを制作することが可能になる。また、イベント毎にXRビューワーアプリの新規開発が不要となるだけでなく、STYLY上で制作したXRコンテンツは保存されるため、他イベント等での転用も容易に行うことが可能となる。
その上で、構築した「都市テンプレート」を活用し、金沢市、大阪市、広島市の3都市で様々なクリエイターやアーティストと協働して、都市の歴史や文化を反映した地域性のあるXRコンテンツを制作する。この際、建築、ファッション、音楽、デザイン等の様々なバックボーンを持ったクリエイターの起用により、各地域の特性を活かした、都市を舞台とするXRコンテンツそのものの魅力を大きく引き出すことにも挑戦する。また、一部のコンテンツは子供を含む市民参加のワークショップで制作された作品を取り込んで完成させる。これらのコンテンツを用いて都市回遊型の体験イベントを3都市で開催し、イベントに参加する市民がXRコンテンツをまちの中で体験する機会を提供する。

このように、汎用的なXRコンテンツ開発プラットフォームを提供することで、事業者、クリエイター、一般市民を含む様々なステークホルダーのXRコンテンツ制作やイベントが様々な主体によって開催可能となり、継続的な都市の賑わい創出につながることを目指す。

対象エリア(大阪市)の地図(2D)
対象エリア(広島市)の地図(2D)
対象エリア(金沢市)の地図(2D)
対象エリア(大阪市)の地図(3D)
対象エリア(広島市)の地図(3D)
対象エリア(金沢市)の地図(3D)