uc24-15

太陽光発電のポテンシャル推計及び反射シミュレーション v3.0

実施事業者アジア航測株式会社
実施場所石川県加賀市 / 大阪府大阪市
実施予定2024年10月〜2024年12月
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都市スケールで簡易に実行可能な、太陽光発電のポテンシャル推計及び反射シミュレーションシステムを開発。地方公共団体の施策検討を支援し、カーボンニュートラルの実現に寄与する。

本プロジェクトの概要

地球温暖化の防止のため、太陽光発電設備の導入は有効な手段の1つだと考えられている。地方公共団体は、太陽光発電設備の導入促進のための支援施策を実施するほか、自ら太陽光発電設備を設置することもあるが、地方公共団体職員自らが簡易にシミュレーションを行い、都市スケールでの施策検討や効果予測に活用できる環境は整備されていない。

本プロジェクトでは、2022年度の「カーボンニュートラル推進支援システム」を基盤として、空地への太陽光パネル設置を想定した日射量や発電ポテンシャル推計機能、反射シミュレーション機能を追加実装する。さらに、本システムの利便性向上のためにUI/UXを刷新し、行政職員が容易に利用可能なシステムとして社会実装を目指す。

実現したい価値・目指す世界

近年、世界的に地球温暖化対策が喫緊の課題とされており、太陽光発電を含む再生エネルギー活用の重要性が高まっている。2021年6月に国・地方脱炭素実現会議によって策定された「地域脱炭素ロードマップ」では、地域内の再エネポテンシャルを最大限活用した再エネ発電設備の導入を進めるため、3D都市モデルを用いたシミュレーションによる手法も提示されている。しかし、発電ポテンシャルの高精度な推計には専門知識を必要とすることや入力データの入手などのハードルがあり、行政職員が自らシミュレーションを実施し施策検討に利用できる環境にない。また、空地を活用した太陽光発電設備の設置が増加する一方、土砂災害リスクの高いエリアや景観を損なうエリアに太陽光パネルが設置され、問題視されている事例も散見される。

行政職員の施策検討での利用を想定したシステムとして、2022年度には太陽光発電量ポテンシャル推計や対象施設の抽出を行うシステム「カーボンニュートラル施策推進支援システム」を開発し、オープンソースソフトウェアとして公開した。3D都市モデルを利用することで都市から建築物1棟までマルチスケールに対応した高精度な日射量推計及び発電ポテンシャル推計が可能であることが確認できた一方で、解析時間の長さやユーザビリティの面での課題も挙がった。

本プロジェクトでは、2022年度に開発したシステムを基盤に、空地を対象としたシミュレーション機能を追加開発するほか、可照時間などの入力ファイルの取得から出力データの利活用までのユーザビリティ向上のため、マウス操作による対象エリアの選択機能の実装やパラメータ設定方法の改良など、システムのUI/UXを改善する。また、日射量推計や発電ポテンシャル推計、反射シミュレーションといった解析のほか、災害リスクや景観規制情報に基づいた太陽光パネル設置の適地判定機能、発電量の集計機能を提供する。開発するシステムはオープンソースソフトウェアとして公開することで、だれでも手軽に日射量や発電ポテンシャルのシミュレーションが可能な環境を構築する。

本システムの出力結果は、脱炭素施策推進のためのロードマップや計画策定、太陽光発電の促進エリア選定、将来の土地利用の在り方の検討など、具体的な政策立案のエビデンスや資料作成に活用可能であり、本システムの社会実装を進めることで太陽光発電設備の効果的な導入を促進し、カーボンニュートラルの実現へ寄与する。

対象エリア(加賀市)の地図(2D)
対象エリア(大阪市)の地図(2D)
対象エリア(加賀市)の地図(3D)
対象エリア(大阪市)の地図(3D)