景観まちづくりDX v2.0
実施事業者 | 株式会社シナスタジア |
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実施場所 | 京都府京都市 / 岡山県倉敷市 / 山口県周南市 |
実施予定 | 2024年11月〜2025年1月 |

都市の景観計画及び開発計画を三次元で表示・シミュレーション可能な景観まちづくりツールを開発。景観計画の品質向上やステークホルダー間の合意形成の円滑化を図り、景観まちづくりDXを推進する。
本プロジェクトの概要
地方公共団体が景観政策を立案する際、高さ制限や意匠の統一、影響範囲の確認等は二次元の資料をベースに議論されてきた。景観まちづくりが都市空間を対象とした三次元的な政策であるのに対し、検討や議論に用いられる資料が二次元であることは、施策やその効果の理解の妨げとなり政策立案の高度化にとっての課題といえる。また、民間事業者による不動産開発計画も同様、二次元の資料を用いることで景観への影響度合いの把握や迅速な合意形成の障壁となっている。
本プロジェクトでは、2022年度の「景観まちづくりDX」で開発したシステムを基盤として、3D都市モデルのビジュアルクオリティ改善や3Dアセットの拡充のほか、BIMモデルインポート機能や制限高さに応じた建築物の表示変更機能等の開発に取り組み、三次元かつ高い再現度で景観計画をシミュレーションできる景観まちづくりツールを開発する。開発したシステムを用いて地方公共団体や開発事業者等の景観まちづくりに関する業務を支援し、計画策定や迅速な合意形成を実現するソリューションとして社会実装が可能か検証する。

実現したい価値・目指す世界
景観まちづくりとは、地方公共団体による良好な景観の保全・形成のための景観計画等の策定と、これに準拠した開発事業者による開発行為によって形成される。従来、景観計画を策定しようとする地方公共団体は、保全・形成すべき区域や基準(建築物の形態意匠、高さ、色彩など)を二次元の図面をベースに検討している。また、開発事業者は建築パース(CGやイラスト等を組み合わせた二次元のイメージ図)などを利用して景観計画との整合性を地方公共団体や住民などに説明するプロセスを行っている。これらは視点固定により表現されることが多いため、建築物が周辺環境へ及ぼす影響を多視点から想定することが難しく、合意形成に時間を要する等の課題があった。他方、三次元的かつ広範囲に景観を再現し任意の視点から確認できるツールも、容易に調達可能な都市スケールの3Dデータが存在しなかったため、充分な普及には至っていない。
2022年度の「景観まちづくりDX」では、3D都市モデルを活用したUnityベースの景観計画策定・景観協議支援ツールを開発し、有用性検証を行った。これにより、景観計画の効果や開発計画等の影響範囲等を三次元で可視化することが可能となった。しかしながら、建築物モデル等のビジュアルクオリティが低く景観の再現性に課題が残ったほか、ツールとしての汎用性向上のためには道路付属物や広告物等の配置シミュレーション機能が必要であることが明らかとなった。
本プロジェクトでは、2022年度に開発したツールを発展させ、ビジュアルクオリティの改善やシミュレーション機能の拡充を行う。具体的には、BIMモデルインポート機能や広告物等のアセット配置機能のほか、ランドマーク等の特定のポイントを起点とした全方位的な見通し解析機能、建築物の高さを任意の値で制限する高さ変更機能、建築物の外観の色彩編集機能等をGUI上で操作可能な仕様で実装する。これにより、地方公共団体は、高さ制限や色彩制限、眺望規制等の効果や影響範囲等をより鮮明なビジュアルで三次元的に把握できるようになり、景観計画の検討・説明が容易に実現可能となる。また、BIMモデルインポート機能を活用することで、デベロッパー等の開発事業者が計画する建築物や付属物をツール内で再現できるようになり、景観計画や周辺環境との調和を容易に確認することが可能となる。
このような三次元的に再現度の高い景観シミュレーションが可能な景観まちづくりツールを開発することで、地方公共団体における高品質かつ効率的な景観計画の策定及びステークホルダー間の景観協議の円滑化を目指す。




