美しい山河を守る災害復旧


スライドダウン

止むを得ず河床掘削を行う場合にはスライドダウンを基本とする。
その際、治水・環境・維持管理の面からどのような課題が発生するかを予測し、課題の解決が図られるような対応を行う。

用地の制約等から十分な川幅が確保できない場合には、必要な流下能力を確保するために河床掘削で対応することとなる。しかし、川幅が狭い中小河川において河床掘削を行うことは、治水面、環境面維持管理面で好ましくない結果をもたらす。
止むを得ず河床を掘削する場合には、掘削面を平坦な河床とはせずに、河床に形成されたみお筋や縦横断方向の地形(瀬淵などの凹凸)を平行移動(スライドダウン)させ、元の形状に近い形で整備する。
縦断形についても、平均河床高による縦断形はほぼ平行移動することを基本として検討し、みお筋部の瀬・淵構造が維持されるように配慮する。

出典:美しい山河を守る災害復旧基本方針 p.198

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スライドダウンの工夫の事例

スライドダウンの工夫の事例-1

塩谷川

事業主体 新潟県
事業名 災害復旧助成事業
水系/河川名 信濃川水系/塩谷川(しなのがわすいけい/しおたにがわ)
年災 平成23年度
河川の流域面積 58.1km²
河道特性 セグメント1(扇状地)
主な工事概要 河川掘削、引堤・護岸等

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工夫点

・河道特性を活かし、環境改変はなるべく避ける。
・平坦な河床とせず、現況のみお筋をスライドダウンさせ、低々水路を形成させる。
・護岸の水際部に植生を持つようにし、直接人の目に触れる部分を極力小さくする。

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スライドダウンの工夫の事例-2

野沢川

事業主体 静岡県
事業名 災害関連事業
水系/河川名 二級河川 鮎沢川水系 野沢川(のざわがわ)
年災 平成22年度
河川の流域面積 13.5km²
河道特性 セグメントM(渓谷)
主な工事概要 河道掘削V=72,000m3、護岸A=4,796m2、根継工L=556m、落差工N=5基、帯工N=5基

工夫点

平成22年9月の台風第9号によって溢水氾濫が生じ、家屋浸水等の甚大な被害が発生した。また、河道内には大量に土砂が堆積し、これを除去する必要があった。
災害復旧にあたっては、河道内の堆積土砂を除去すると共に、被災前の河床形態を参考にみお筋を復元した。
その結果、災害復旧後に自然な瀬と淵を持った河川を早期に復活させることができた。

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その他の配慮事項

みお筋の再現
元の河道のみお筋を再現するように底々水路をつくり、瀬や淵を再現した。

淵の保全
彎曲部の右岸側の河畔林と一体となった良好な淵を保全するように河道を計画し、現在でも淵が保全されている。

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