美しい山河を守る災害復旧


みお筋

拡幅する際には「みお筋」を意識する。

現況のみお筋が良好な場合は、現況のみお筋部を残すように拡幅する。
法線片岸拡幅河床幅 の工夫を参照する。

現況のみお筋幅が広すぎる、狭すぎる、みお筋に瀬・淵構造が見られないなど、現況のみお筋部が良好でない場合は、新たにみお筋部を形成する。
なお、河床幅を広げれば自立的にみお筋が形成されるとの考え方もあるが、災害復旧の対象となる中小河川では、掃流力が小さいと地形形成が抑制される可能性があること、新たにみお筋部を形成すると初期状態から環境上の機能が期待でき、維持管理も容易になることから、新たにみお筋を形成することが有効である。

みお筋が良好な場合の対応


みお筋が良好でない場合の対応


● みお筋およびテラス部における植物の繁茂条件

出典:美しい山河を守る災害復旧基本方針 p.199

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みお筋の工夫の事例-1

阿武川

事業主体 山口県
事業名 災害関連事業
水系/河川名 二級河川 阿武川水系 阿武川(あぶがわ)
年災 平成25年度
河川の流域面積 694.8km²
河道特性 セグメント1(谷底平野)
主な工事概要 引堤、河道掘削、落差工、帯帯工

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工夫点

川幅を拡幅する際に、被災前の寄州の植生帯を考慮し、みお筋幅を従前通りにしたことで、みお筋の水面幅ならびに河床の状況が維持される。さらに、拡幅部の水際には寄土や寄石を実施することで、寄州に植生が早期に形成され、より自然な河道が創出されている。

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みお筋の工夫の事例-2

矢神川

事業主体 岩手県
事業名 災害関連事業
水系/河川名 一級河川 米代川水系 矢神川(やがみがわ)
年災 平成19年度
河川の流域面積 28.0km²
河道特性 セグメント1
主な工事概要 河道拡幅、護岸工、排水工等

工夫点

川幅を拡幅する際に、流出土砂を撤去してみお筋幅を従前通りに確保した。さらに河道内の大きな石をみお筋内に点在させたことで、みお筋の水面幅ならびに河床の状況が維持された。
その結果、河道内の動的平衡から寄州が徐々に変化、形成され、さらに植生が生育できるような、より自然な河道が創出されている。

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みお筋の工夫の事例-3

五十嵐川

事業主体 新潟県
事業名 災害復旧助成事業
水系/河川名 一級河川 信濃川水系 五十嵐川(いからしがわ)
年災 平成23年度
河川の流域面積 310.1km²
河道特性 セグメント1(扇状地)
主な工事概要 堤防嵩上げ、河道掘削、引堤・護岸、遊水地、ダム嵩上げ

工夫点

川幅を拡幅する際に、自然の瀬と淵を再生させるために、「ハーブ工」と呼ばれる小水制を設置した。
ハーブ工の先端部の深掘れから淵を形成し、そこへ流れ込む早瀬が早期に再生された。
さらに、ハーブ工の間には静穏域が確保され、魚類等の生物にとって、産卵場や餌場など、様々な環境が創出されている。

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