vol.9... 渇水を乗り切る

水インフラの力


平成28年のケース
④渇水大比較



○水道用水は減圧給水や公園の池への給水停止
○農業用水は番水の実施、排水の再利用の促進
○工業用水は配水量の調整や再利用の促進

などなど、川から水をとる関係者は緊迫の状況を迎え、
いろいろな工夫・努力が行われました。
生活レベルでは、給水制限には至らず、
かろうじて生活への顕著な影響は生じませんでした。





○記録的な少雪、暖冬で早い雪解けに(※①参照
○少雪のため、北千葉導水路を活用し、
 利根川上流のダムの水を節約 【ポイント1】
○4月8日に利根川水系渇水対策連絡協議会幹事会開催
 (少雪状況の確認、情報共有)
○5月以降も少雨が続く。特に5月の月間雨量は平均値※
 の48%の56mm(※昭和23年以降の流域平均雨量)
○5月末時点で利根川最上流5ダムへの流入量が通常の
 4分の1程度に
○6月14日に利根川水系渇水対策連絡協議会
 (取水制限の実施決定)
○6月16日9時から利根川本川で取水制限開始(10%)
○6月16日9時から鬼怒川でも取水制限開始(10%)、
 7月28日から20%
○渡良瀬川では6月11日から取水制限開始(10%)、
 6月25日から20%
○貯水位が低下したダムでは、巡視を強化 【ポイント2】
○利根大堰でもきめ細かい施設運用 【ポイント3】
○9月2日に取水制限全面解除





約3億m3(4月1日~9月2日)

ほぼ毎日、ダムの操作を実施。7月15日は1日で7回も
ダムの操作を行いました。また、降雨エリアの移動や雨量を
レーダで常に監視し、局所的な雨でも、川の流量が増えた
場合にはダムからの放流量を減らす操作をこまめに実施。
そうやって、ダムの水がなるべく減らないよう、
工夫・努力が続けられました。
詳しくはダム管理者インタビューをご覧ください >



※補給量というのは、期間中、ダムから川に水を供給した総量をさします。
 「②水を確保する技」で詳しく説明しています。

【ポイント1】水のネットワークをフル活用

利根川下流の水を江戸川に送り、利根川上流の水を節約。
奥利根5ダム(矢木沢・奈良俣・藤原・相俣・薗原ダム)は
例年より早く4月20日に満水に。
※北千葉導水路の位置は首都圏水インフラマップ参照 >



北千葉導水路


【ポイント2】ダム水位低下に備え巡視・点検

水質調査や貯水池の斜面を頻度をあげて実施。普段の貯水位が
低下していないときは使うことのない、貯水池の底の方にある
取水施設を、使用に備えて水中カメラで確認するなど、
普段は行わない点検を行いました。⑤インタビューへ >






【ポイント3】利根大堰の闘い


利根大堰でも、刻々と変化する利根川の流量を常に監視・予測し、利根大堰のゲートを細かく操作して、上流側の水面を常に一定に保ち、渇水で川の水位が下がったとしても、安定的に荒川方面に取水できるよう調節を続けました。(仕組みはこちらから:外部HP
さらに、利水を行う関係者間で緊密に連携し、水需要の変化に応じて
農業用水・都市用水(上水道・工業用水)の取水量を頻繁に変更
しました。平成27年度の4月から8月にかけての変更回数は193回
でしたが、平成28年度は280回と、大幅に増えました。

そうして利根川からとる水の量を小刻みに変えることで、
必要な水をきちんと確保しつつも、下流に必要な流量がちゃんと
流れるようにしていました。

また、大分水工と呼ばれる武蔵水路の入り口にあるゲートを細かく
操作することで、決めた取水量以上の水をとりすぎないよう、
細心の注意を払い、渇水を乗り切ってきました。

※詳しい情報はこちらへ
「H28夏 利根川水系の渇水状況のとりまとめ(平成28年9月30日)」
(国土交通省関東地方整備局HP)



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