<産業政策>物流の高度化
モノの流れを効率化し、経済を動かす
我々は、“物流は経済を回す血液である”と考えている。なぜなら、現代社会において、食品や日用品、部品、原材料、エネルギーなど、あらゆるものが輸送されているからだ。
日本の物流サービスは、トラック輸送を中心に、高い定時性や安全性を誇ってきた。しかしながら、輸送の小口化や多頻度化、人口減少による担い手不足 など、新たな課題が生じている。そこで、国土交通省では、トラック事業者間の共同輸送による積載率の向上や、ICT技術を活用した荷待ち時間の削減、現場の作業の簡素化や自動化機器の導入に資する「物流の標準化」を促進してきた。また、急成長するEC市場を支える宅配便の生産性向上のため、再配達の削減を推進するなど、経済や暮らしを支える物流の効率化・最適化 に向けて取り組んでいる。

一方で、物流には土台となる道路ネットワークの整備 が必要だ。全国の幹線道路網の強化や、三大都市圏環状道路、港湾・空港へのアクセス道路の整備。 コンテナを積載する大型車両 が、道路を安全・円滑に通行するためのルール策定も重要だ。一台でトラック2台分を輸送するダブル連結トラックの高速道路における実用化や、その先の自動運転の実現を見据えた新東名・新名神の6車線化も進行中である。
また港湾は、日本と海外を結ぶ玄関口として物流・人流の拠点であり、私たちの生命・財産を守るとともに、日本の経済成長や国際競争力の強化に向け必要不可欠なインフラである。
我々の国に輸出入される貨物の99.6%が港湾を経由 している。コンテナ貨物については、阪神港及び京浜港を国際コンテナ戦略港湾 として選定し、国際港湾のコンテナターミナルの整備 や外航海運の国際競争力の強化 にも奮闘している。

Member 政策に携わる職員紹介
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総合政策局
物流政策課長補佐
福田 ゆきの -
海事局外航課
調査係長
中村 直人 -
港湾局港湾経済課
特定港湾運営会社指導官
赤城 尚宏 -
総合政策局
参事官(国際物流)室
高木 智加 -
道路局企画課
道路経済調査室課長補佐
草野 真史
日本をつなげるStory 物流というインフラを未来につなげる
物流を支える人たちが、
誇りを持って働き続けられる環境を実現したい
「物流」は私たちの日々の暮らしや経済活動を支える重要な社会インフラです。
一方で、担い手の不足や生産性の低さ、地球環境問題への対応など、物流を取り巻く課題は深刻化しており、物流におけるデジタル化や機械化、物流事業者の取引環境や物流従事者の労働環境の改善、そして脱炭素化の促進などが急務となっています。
現在、私が携わっている、物流分野が目指すべき方向性や推進すべき施策を閣議決定として示す「総合物流施策大綱」においても、これらを重要なテーマとして位置づけていく方針です。物流には、物流事業者や発着荷主など利害が対立する様々な主体が関わっていることから、関係者が連携して課題に対応していくためにも、政府が一定の方向性を示すことに大きな意義があります。
昨今、エッセンシャルサービスとして物流の価値が再認識されていますが、その物流を支えているのは物流事業者であり、そこで働く物流従事者です。私は自身のキャリアを通じて、そうした物流を支える人たちが誇りをもって働き続けられる環境を実現していきたいと考えています。それが、物流というインフラを未来につなぐことにもなると信じて。
物流を支える人たちが、誇りを持って働き続けられる環境を実現したい
「物流」は私たちの日々の暮らしや経済活動を支える重要な社会インフラです。
一方で、担い手の不足や生産性の低さ、地球環境問題への対応など、物流を取り巻く課題は深刻化しており、物流におけるデジタル化や機械化、物流事業者の取引環境や物流従事者の労働環境の改善、そして脱炭素化の促進などが急務となっています。
現在、私が携わっている、物流分野が目指すべき方向性や推進すべき施策を閣議決定として示す「総合物流施策大綱」においても、これらを重要なテーマとして位置づけていく方針です。物流には、物流事業者や発着荷主など利害が対立する様々な主体が関わっていることから、関係者が連携して課題に対応していくためにも、政府が一定の方向性を示すことに大きな意義があります。

昨今、エッセンシャルサービスとして物流の価値が再認識されていますが、その物流を支えているのは物流事業者であり、そこで働く物流従事者です。私は自身のキャリアを通じて、そうした物流を支える人たちが誇りをもって働き続けられる環境を実現していきたいと考えています。それが、物流というインフラを未来につなぐことにもなると信じて。


福田 ゆきの
総合政策局
物流政策課長補佐
平成19年入省(総合職事務系)
住宅局、航空局、道路局、大臣官房、英国グラスゴー大学・ロンドン大学への留学、自動車局、都市局を経て現職。
日本をつなげるStory
外航海運の競争力と発展を
海運税制から支える
外航海運の政策を税制の観点から
外航海運は「海運自由の原則」のもと、日本政府の介入は最小限と求められており、外航海運会社は世界単一市場で厳しい状況に晒されています。私の所属する海事局外航課では、税制の観点から非常時における日本籍船や日本人船員の確保、また船舶投資の促進による国際競争力の強化を推進しています。
税は原則、法人税法等の規定に基づいて課されますが、海運に関する政策効果を高めるには、税制の特例措置が必須となります。さらに船舶投資による年間数千億円規模の経済波及といった副次効果もあり、特例が認められることは、地域経済の発展にも大きく寄与します。そのための政策の必要性や特例措置に伴う効果を審査する土台となるデータの収集・分析が私の主な業務です。
1年をかけて要求してきた税制が『税制大綱』という形で実を結んだ時の喜びはひとしお。海運税制というツールを通じて、様々な産業や地球温暖化対策等の分野にも触れることができ、自身の引き出しが増えることも、この仕事の醍醐味と言えます。
外航海運の政策を税制の観点から
外航海運は「海運自由の原則」のもと、日本政府の介入は最小限と求められており、外航海運会社は世界単一市場で厳しい状況に晒されています。私の所属する海事局外航課では、税制の観点から非常時における日本籍船や日本人船員の確保、また船舶投資の促進による国際競争力の強化を推進しています。

税は原則、法人税法等の規定に基づいて課されますが、海運に関する政策効果を高めるには、税制の特例措置が必須となります。さらに船舶投資による年間数千億円規模の経済波及といった副次効果もあり、特例が認められることは、地域経済の発展にも大きく寄与します。そのための政策の必要性や特例措置に伴う効果を審査する土台となるデータの収集・分析が私の主な業務です。
1年をかけて要求してきた税制が『税制大綱』という形で実を結んだ時の喜びはひとしお。海運税制というツールを通じて、様々な産業や地球温暖化対策等の分野にも触れることができ、自身の引き出しが増えることも、この仕事の醍醐味と言えます。


中村 直人
海事局外航課
調査係長
平成17年入省(一般職)
海事局、港湾局を経て現職。
日本をつなげるStory 日本の産業や地域にとって必要なことを考え、自らの使命を全うする
世界と地域を感じる
インフラ“港湾”
大半の方が、「港湾を身近に感じたことがない」と思います。実は私もその一人でした。島国である日本では、港を中心に形成された港町が多く、現在も貨物の輸出入は約99.6%が港湾を経由しています。その中で、私が取り組んでいるのは国際海上コンテナ貨物に関わる仕事。地域の産業や生活を支えるためには、世界の様々な国や市場と日本とを直接結ぶ必要があります。また、国際海上コンテナ航路により、日本の港湾から多方面へアクセスさせることも重要です。一方で、世界規模でのコンテナ船の大型化への対応は、港湾のハードとしてのインフラ整備だけでなく、世界の港の中から寄港地として選ばれなければならないといった国際間競争の側面がある故、港湾の運営効率化といった課題にも取り組んでいます。
港湾の役割は物流だけではありません。例えば、各地域の港湾は地域の経済・暮らし・文化の重要な要素を担っています。過去には、地域の港町を起点にクルーズ観光を通じて地域振興を図る仕事をしていました。港町の成り立ちなどの地域文化や生活など、現在の観光資源として魅せる仕事は、地域の文化を深く知ってもらうことはもちろん、「自分の住む町にも似ている」、「自分の育った町と同じ方言がある」など、改めて考えさせられる機会を得ることも。これからも、世界のこと、地域のことを、同じ線上にあるものとして考え、日本の産業や地域にとって必要なことを実施していくのが私の役目です。
世界と地域を感じるインフラ“港湾”
大半の方が、「港湾を身近に感じたことがない」と思います。実は私もその一人でした。島国である日本では、港を中心に形成された港町が多く、現在も貨物の輸出入は約99.6%が港湾を経由しています。その中で、私が取り組んでいるのは国際海上コンテナ貨物に関わる仕事。地域の産業や生活を支えるためには、世界の様々な国や市場と日本とを直接結ぶ必要があります。また、国際海上コンテナ航路により、日本の港湾から多方面へアクセスさせることも重要です。一方で、世界規模でのコンテナ船の大型化への対応は、港湾のハードとしてのインフラ整備だけでなく、世界の港の中から寄港地として選ばれなければならないといった国際間競争の側面がある故、港湾の運営効率化といった課題にも取り組んでいます。

港湾の役割は物流だけではありません。例えば、各地域の港湾は地域の経済・暮らし・文化の重要な要素を担っています。過去には、地域の港町を起点にクルーズ観光を通じて地域振興を図る仕事をしていました。港町の成り立ちなどの地域文化や生活など、現在の観光資源として魅せる仕事は、地域の文化を深く知ってもらうことはもちろん、「自分の住む町にも似ている」、「自分の育った町と同じ方言がある」など、改めて考えさせられる機会を得ることも。これからも、世界のこと、地域のことを、同じ線上にあるものとして考え、日本の産業や地域にとって必要なことを実施していくのが私の役目です。


赤城 尚宏
港湾局港湾経済課
特定港湾運営会社指導官
平成13年入省(総合職技術系)
JICAへ出向、外務省在エジプト日本大使館、国土技術政策総合研究所、港湾局、東北地方整備局を経て現職。
日本をつなげるStory
国際的な交渉の最前線で
必要なのは想像するチカラ
日本政府の「顔」として働く
近年、国際物流の舞台はアジアを中心に急速に拡大しています。私の所属する総合政策局参事官(国際物流)室では、日本の産業全体の効率的なサプライチェーンの構築、物流産業の力強い成長へとつなげることを目指し、主に中国、韓国、ロシア、ASEAN等の国・地域を対象に、物流事業者の海外展開を支援すべく様々な政策を実施。私は「日中韓物流大臣会合」の枠組みの下で、北東アジア域内の物流効率化や環境に配慮した物流の構築に向け、3国で取り組むべき政策・共同プロジェクトの推進に携わっています。
3国の連携強化を見据えた政府間会合では、議論する内容等関係国との様々な調整が生じるので、先を見通して対応したり、客観的に物事を考えたりと、広い意味での想像力を磨き、そして働かせる局面が数多くあります。事務レベルながらも国際交渉の最前線に日本政府の「顔」として携われることで、責任と同時に大きなやりがいを実感。国土交通省の政策は生活の根幹に関わるものであり、スケールも大きいです。また、実際に現地に赴き、関係国との意見交換や交流を通して得られる学びも多く、自身の成長につながる貴重な経験にもなっています。
日本政府の「顔」として働く
近年、国際物流の舞台はアジアを中心に急速に拡大しています。私の所属する総合政策局参事官(国際物流)室では、日本の産業全体の効率的なサプライチェーンの構築、物流産業の力強い成長へとつなげることを目指し、主に中国、韓国、ロシア、ASEAN等の国・地域を対象に、物流事業者の海外展開を支援すべく様々な政策を実施。私は「日中韓物流大臣会合」の枠組みの下で、北東アジア域内の物流効率化や環境に配慮した物流の構築に向け、3国で取り組むべき政策・共同プロジェクトの推進に携わっています。

3国の連携強化を見据えた政府間会合では、議論する内容等関係国との様々な調整が生じるので、先を見通して対応したり、客観的に物事を考えたりと、広い意味での想像力を磨き、そして働かせる局面が数多くあります。事務レベルながらも国際交渉の最前線に日本政府の「顔」として携われることで、責任と同時に大きなやりがいを実感。国土交通省の政策は生活の根幹に関わるものであり、スケールも大きいです。また、実際に現地に赴き、関係国との意見交換や交流を通して得られる学びも多く、自身の成長につながる貴重な経験にもなっています。


高木 智加
総合政策局参事官(国際物流)室
平成27年入省(一般職)
海事局を経て現職。
日本をつなげるStory
道路ネットワークの機能強化により
物流の生産性向上を図る
より高速で安全な輸送の実現に向けて
私が所属する道路局企画課では、将来の道路ネットワークに関する計画づくりを担当しています。道路ネットワークの取組みには、地域間連携の促進、観光の活性化、災害時の迅速な復旧・復興支援など、様々な役割があります。その中で、物流支援は大きな役目を担っています。物流は、航空、鉄道、海運、自動車等が含まれます。そのうち約85%を自動車が担っています。現在、宅配の増加等によるトラックドライバー不足が課題となっているため、物流の生産性向上が急務となっています。道路局では、高速道路をネットワークとしてつなげ、高速な輸送の実現を図るとともに、1台あたりの輸送可能量を大きくするため、通常よりも大きなトラック(国際海上コンテナ車)が通行可能となるような道路ネットワークの機能強化を推進しています。限られた予算の中で、物流の生産性向上が早期に求められる中、より効率的な全国の道路ネットワークの機能強化を検討していくことが私の使命です。
より高速で安全な輸送の実現に向けて
私が所属する道路局企画課では、将来の道路ネットワークに関する計画づくりを担当しています。道路ネットワークの取組みには、地域間連携の促進、観光の活性化、災害時の迅速な復旧・復興支援など、様々な役割があります。その中で、物流支援は大きな役目を担っています。物流は、航空、鉄道、海運、自動車等が含まれます。そのうち約85%を自動車が担っています。

現在、宅配の増加等によるトラックドライバー不足が課題となっているため、物流の生産性向上が急務となっています。道路局では、高速道路をネットワークとしてつなげ、高速な輸送の実現を図るとともに、1台あたりの輸送可能量を大きくするため、通常よりも大きなトラック(国際海上コンテナ車)が通行可能となるような道路ネットワークの機能強化を推進しています。限られた予算の中で、物流の生産性向上が早期に求められる中、より効率的な全国の道路ネットワークの機能強化を検討していくことが私の使命です。

草野 真史
道路局企画課
道路経済調査室課長補佐
平成19年入省(総合職技術系)
警察庁への出向、道路局、中部地方整備局、内閣府を経て現職。