浮世絵はその時代の世の中や風俗を描いた絵画のジャンルで、17世紀半ばから20世紀初頭まで人気を博した。本来「無常の世」という意味の仏教用語であった「浮世」とは、江戸時代(1603~1867年)に遊興娯楽や流行事を表現する言葉として使われるようになった。こうしたことから、浮世絵には庶民、特に江戸の町(現在の東京)に暮らした人々の日常が描かれている。
浮世絵の技法としては、木版画と肉筆画の二種類があり、描かれる対象は実に多岐にわたった。特に美人画、役者絵(歌舞伎役者の肖像)が多く、その他、相撲の力士や武者、そして街の景色や自然の風景などを描いたものも人気があった。これ以外にも、風刺画、奇想天外な絵、春画などもあった。大量生産が可能な版画は比較的安価であったため、庶民にも購入しやすく、庶民の興味や価値観を反映した浮世絵が多く描かれた。浮世絵は買い手の目を惹くために、鮮明かつ豊かな色彩で描かれ、その製作には高度な技術が求められた。一般的に、下絵を描き、版木を彫り、絵の具をのせて刷るというそれぞれの工程を受け持つ優れた職人によるチーム作業で行われた。
山口県立萩美術館・浦上記念館には、約5,500点の浮世絵が収蔵されており、毎月テーマ別に約30点を選定し、展示公開している。このコレクションの中には、北斎、歌麿、写楽、広重等、有名な絵師の作品も含まれている。浮世絵の歴史を網羅するこれらのコレクションは、浮世絵の研究者や愛好家にとって貴重な資料となっている。
