JSTB 運輸安全委員会

国際機関の事故防止への取り組み

1 国際民間航空機関の取り組み

 国際民間航空機関(ICAO: International Civil Aviation Organization、本部:カナダ・モントリオール)は、昭和22年国際連合の専門機関として発足しました。ICAOは、総会、理事会及び航空委員会、法律委員会、航空運送委員会、共同維持委員会、財政委員会等の理事会補助機関並びに事務局(地域事務所を含む)より構成されます。また、この他に、特定の案件について招集される航空会議、地域航空会議、各種部会及びパネル等の専門家会議があります。平成28年12月31日現在、191の国がメンバーとなっています。

 ICAOの目的は、国際民間航空条約(Convention on International Civil Aviation、「シカゴ条約」)第44条で「国際航空の原則及び技術を発達させること、国際航空運送の計画及び発展を促進すること」であると定められており、国際航空運送業務やハイジャック対策等の航空保安に関する条約作成、締約国の安全監視体制に対する監査、環境問題への対応など多岐にわたる活動を行っています。

 また、ICAOは、世界的な統一ルールが必要と考えられる事項について、国際民間航空条約の附属書(Annex)を制定しています。附属書は、航空従事者の技能証明、航空規則、航空機の登録、耐空性、航空通信、捜索救助、航空保安、危険物の安全輸送など19種の幅広い分野にわたって規定しています。その中に、航空機事故及びインシデント調査に関する標準と勧告方式を定めた第13附属書(Annex13)があり、運輸安全委員会設置法においては、「国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続に準拠して調査を行うものとする」旨定められています(第18条)。

 今後も、当委員会は事故原因の究明と再発防止の観点から、なお一層の航空安全の推進を図るため、ICAOの取り組みに積極的に協力していきます。

2 国際海事機関の取り組み

 国際海事機関(IMO: International Maritime Organization、本部:ロンドン)は、昭和33年国際連合の専門機関として発足しました(当時の名称は政府間海事協議機関(IMCO))。IMOは総会及び理事会並びに海上安全委員会(MSC)、法律委員会(LEG)、海洋環境保護委員会(MEPC)、技術協力委員会(TC)及び簡易化委員会(FAL)並びにMSC(及びMEPC)の下部組織としての7つの小委員会及び事務局より構成されます。平成28年12月31日現在、172の国がメンバー、3地域が準メンバーとなっています。

 IMOでは、主に海上における人命の安全、船舶の航行の安全等に関する技術的・法律的な問題について、政府間の協力促進、有効な安全対策、条約の作成等、多岐にわたる活動を行っています。MSC及びMEPCの下部組織として設置されているIMO規則実施小委員会(III: Sub-Committee on Implementation of IMO Instruments)は、船舶事故に関する調査を含む旗国等の責務を確保するための方法について議論される場となっています。また、IIIでは、海上人命安全条約(SOLAS)や海洋汚染防止条約(MARPOL)等に基づき各国から提出される事故調査報告書を分析して教訓を導き出し、IMOホームページを通じて周知するなど船舶事故の再発防止のための活動を行っています。これらの分析作業は、有志による加盟国の調査官で構成されるコレスポンデンス・グループ(III会期外に分析)及びワーキング・グループ(III会期中に分析結果を検証)において検討され、III本会議において承認されるという流れになっており、事案によっては、条約改正の必要性について更なる検討が必要と判断された場合、MSC、MEPC及び他のIMO小委員会に勧告又は情報提供されます。

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 また、海運の複雑化・多様化が進む中、複数の国が関連する船舶事故を迅速に調査するためには、関係各国の事故調査機関との協力が必要ですが、各国の事故調査機関は異なる調査体制を持っています。このため、調査の連携が円滑に進むように、MSCで採択された、「海上事故又は海上インシデントの安全調査のための国際基準及び勧告される方式に関するコード(事故調査コード)」及び同コードの一部を義務化するためのSOLAS条約が、平成22年1月に発効しました。同コードは、事故調査手続の標準化や国際調査協力の枠組みの構築等を目的としたもので、その発効により、同条約の適用を受ける船舶の事故が発生した場合には、同コードに則った対応が確実に求められることとなり、各国間の国際調査協力が今まで以上に広がることが期待されています。