環境

令和4年度全国多自然川づくり会議 開催記録

  • 日時:令和4年12月19日(月)・21日(水)
  • 会場:オンライン開催
  • 参加者:約200名(国、都道府県、政令市の河川担当者)
  • プログラム:PDF

全国多自然川づくり会議は、多自然川づくりに対する知見の蓄積や意識の向上を目的とし、国土交通省主催で、平成15年頃から国・都道府県・政令市の河川担当者を対象として毎年開催しています。

令和4年度は、各地方整備局単位で実施されるブロック会議(地方予選)で選抜・推薦された優秀事例を、オンライン会議方式で発表・議論頂き、その中から「代表事例」4事例が選定されました。

1日目:12月19日(月)

分科会発表・討議
9つの地方ブロック会議(計97事例)において選ばれた28事例の発表を行いました。

2日目:12月21日(水)

基調講演「水害後のかわまちづくりを考える」
 法政大学デザイン工学部都市環境デザイン工学科 教授 福井恒明先生からご講演を頂きました。

全体発表
 28事例から選ばれた代表4事例について、発表及び討議を行いました。
 また、代表4事例について、表彰を行いました。

地方ブロック会議概要

令和4年度】 計97事例
令和3年度】 計96事例
令和2年度】 計83事例
令和元年度】 計105事例
平成30年度】 計109事例

分科会発表・討議

第1分科会:河川改修等における⼯夫事例 ~河道掘削の取組など~

  • 第1分科会 発表事例一覧 発表事例一覧
  • (1)渚滑川のケショウヤナギ保全に向けた取り組みについて
    北海道開発局 網走開発建設部 遠軽開発事務所  加勢 功明
    事例概要  発表資料 
  • (2)豊栄川における環境創出について :代表事例
    北海道 上川総合振興局 旭川建設管理部 士別出張所  松本 崇男
    事例概要  発表資料 
  • (3)河道掘削工事箇所における重要種(サジオモダカ)の保全について
    東北地方整備局 酒田河川国道事務所  澤 隼斗
    事例概要  発表資料(重要種の位置情報を含むため非掲載)
  • (4)円山川における新たな湿地環境の創出を目指して
    ~中郷遊水地の湿地環境について~

    近畿地方整備局 豊岡河川国道事務所  天良 尚紀
    事例概要  発表資料 
  • (5)高津川におけるアユの産卵状況に配慮した河床掘削(試験施工)とモニタリング結果について
    中国地方整備局 浜田河川国道事務所  山田 隆成
    事例概要  発表資料 
  • (6)自然環境に配慮した維持管理の容易な船底形河道
    四国地方整備局 高知河川国道事務所  福富 竜生
    事例概要  発表資料 
  • (7)有水川における河道掘削工事の工夫
    宮崎県 都城土木事務所  東 貴広
    事例概要  発表資料 

第2分科会:環境整備事業等における工夫事例

  • 第2分科会 発表事例一覧 発表事例一覧
  • (1)川原川総合流域防災事業による「復興かわづくり」 :代表事例
    岩手県 沿岸広域振興局土木部大船渡土木センター  原田 雅仁
    事例概要  発表資料 
  • (2)一級河川湯川における多自然川づくりについて
    長野県 建設部 佐久建設事務所  中山 剛
    事例概要  発表資料 
  • (3)黒部川における魚類(サクラマス)の生息実態調査について
    北陸地方整備局 黒部河川事務所  高村 直幸
    事例概要  発表資料 
  • (4)阿賀野川自然再生計画における浅場再生の検討について
    北陸地方整備局 阿賀野川河川事務所  吉田 遥
    事例概要  発表資料 
  • (5)河川改修・災害復旧による琵琶湖河口への供給土砂量減少河川における湖岸保全再生
    滋賀県 流域政策局  片山 大輔
    事例概要  発表資料 
  • (6)吉井川河口部における干潟保全に向けた調査検討
    中国地方整備局 岡山河川事務所  松井 大生
    事例概要  発表資料 
  • (7)「芹川 かわまちづくり」における取り組みについて
    大分県 竹田土木事務所  長野 友彦
    事例概要  発表資料 

第3分科会:河川改修等における工夫事例 ~災害復旧、樹木管理の取組~

  • 第3分科会 発表事例一覧 発表事例一覧
  • (1)天塩川下流域樹木管理方法の紹介について
    北海道開発局 留萌開発建設部幌延河川事務所  鈴木 順也
    事例概要  発表資料 
  • (2)河道内樹木の再繁茂対策について自走式伐採混合機による試験施工の取り組み
    東北地方整備局 北上川下流河川事務所  竹内 崇暁
    事例概要  発表資料 
  • (3)滑川地区における環境配慮の取組み
    東北地方整備局 福島河川事務所  小笠原 魁
    事例概要  発表資料 
  • (4)天竜川下流部における河道内樹木の再繁茂抑制対策検討
    中部地方整備局 浜松河川国道事務所  足立 美津江
    事例概要  発表資料 
  • (5)木曽川の河道の二極化に関する課題と対策
    中部地方整備局 木曽川上流河川事務所  黛  由季
    事例概要  発表資料 
  • (6)肱川 柚木・如法寺地区の景観について
    四国地方整備局 肱川緊急治水対策河川事務所  森本 万人
    事例概要  発表資料 
  • (7)山国川における景観と環境に配慮した河川整備について :代表事例
    九州地方整備局 山国川河川事務所  安部 寿雄
    事例概要  発表資料 

第4分科会:地域連携、人材育成・普及啓発における工夫事例

  • 第4分科会 発表事例一覧 発表事例一覧
  • (1)既存浄化施設における地域連携と新たな価値の創造
    ~廃止になりかけていた施設を再稼働し、新たな活用を模索~
     :代表事例
    関東地方整備局 霞ヶ浦河川事務所  小野 正人
    事例概要  発表資料 
  • (2)三ツ又沼ビオトープにおける多様な主体と連携した保全管理の紹介
    関東地方整備局 荒川上流河川事務所  安東 靖彦
    事例概要  発表資料 
  • (3)ICT施工による曲線断面河床掘削
    新潟県 長岡地域振興局地域整備部  石田 真也
    事例概要  発表資料 
  • (4)地元と関係機関が連携した水みちの連続性確保の取り組み
    岐阜県 県土整備部河川課  後藤 寿志
    事例概要  発表資料 
  • (5)恵み豊かな清流千種川の復活に向けた取組について
    兵庫県 西播磨県民局光都土木事務所  臼田 妃那
    事例概要  発表資料 
  • (6)親水性護岸と蛍護岸の整備について
    香川県 小豆総合事務所  浪越 宥弥
    事例概要  発表資料 
  • (7)地元との合意形成 地産品(新燃 レンガ)
    ~都城かわまちづくり~

    九州地方整備局 宮崎河川国道事務所  山口 貴也
    事例概要  発表資料 

基調講演

水害後のかわまちづくりを考える

法政大学デザイン工学部都市環境デザイン工学科 教授 福井恒明

「水害後のかわまちづくりを考える」と題して法政大学の福井先生よりご講演いただきました。
ご講演では、水害後の河川事業で、“かわとまちの関係を保持する際の方向性”や“水際空間を再構築する”考え方について、阿賀野川咲花地区復緊事業などの事例と共にお話しいただきました。堤防を構築する際に必要な景観・水辺利用の視点や、空間設計を行う際の基本的な考え方など、実事例を題材にご紹介いただきました。


全体発表

コメンテータ

  • 熊本大学工学部社会環境工学科 准教授 皆川 朋子
  • 法政大学デザイン工学部都市環境デザイン工学科 教授 福井恒明
  • 岐阜大学 准教授 原田 守啓
  • 東京大学地域未来社会連携研究機構 特任助教 坂本 貴啓

選出された代表事例

第1分科会

  • 『豊栄川における環境創出について』
  • 北海道 上川総合振興局 旭川建設管理部 士別出張所  松本 崇男
  • 事例概要  発表資料

選出理由

  • 遊水地の樹林化対策の成功事例である。
      ヤナギの繁茂を抑制するために、表土を工夫した点が今まで知見が少ない。また、地下水位を考慮して湿地化した点も評価できる。
  • 今後の施策(流域治水)で遊水地整備が多くなる中で、本事例を全国へ展開し、環境配慮の参考事例となることに期待したい。
  • 中小河川の先進的な事例であるので、モニタリング・地域との連携等を含めた維持管理や治水面の検討も含め、知見等の蓄積を期待したい。

第2分科会

  • 『川原川総合流域防災事業による「復興かわづくり」』  
  • 岩手県 沿岸広域振興局土木部大船渡土木センター  原田 雅仁
  • 事例概要  発表資料

選出理由

  • 周辺の状況にあわせてテーマを設定し、実際の護岸整備等にあたっても、生態系や景観等に配慮された河川環境が創出されている点が評価できる。
  • 特に、河道の拡幅を行い、なるべく護岸を設置しないことにした点や、公園整備と潜り橋を併用し水辺の動線をしっかり確保できた点が評価できる。バーブ工の使い方もとても良い。
  • 除草を住民が行うなど、地域の参画・連携が図られており、継続性が感じられる。

第3分科会

  • 『山国川における景観と環境に配慮した河川整備について』
  • 九州地方整備局 山国川河川事務所  安部 寿雄
  • 事例概要  発表資料

選出理由

  • 限られた期間の中で、その川が流れる地域の歴史風土を尊重した多自然川づくりを丁寧かつスピーディに行っている。全国で大規模な水害が相次ぎ、これに伴う災害復旧事業が行われている中、これらの事例から学ぶべきこと、展開すべき情報は非常に多いと考えた。
  • 平成24年7月九州北部豪雨を受けた床上浸水対策特別緊急事業において、多自然川づくりアドバイザー会議、景観ワーキンググループといった専門家の知見と現場のコミュニケーションを通じて、山国川床対事業における設計・施工のオリジナルルールである、「山国川ルール」を策定し、設計施工関係者に周知する取り組みがなされ、これが実際によく機能している。
  • 特に景観と生態系への配慮が必要な岩盤河床の区間では、岩掘削後の模型やこれに基づく岩掘削をICT施工で行うなど、人と人のコミュニケーションというアナログな部分と、新技術の活用とが積極的になされた点が高く評価した。

第4分科会

  • 『既存浄化施設における地域連携と新たな価値の創造
    ~廃止になりかけていた施設を再稼働し、新たな活用を模索~』
  • 関東地方整備局 霞ヶ浦河川事務所  小野 正人
  • 事例概要  発表資料

選出理由

  • 地域連携のテーマに沿った事例の中でも行政と地域の双方向からの連携が図られた事例である。
  • 湖岸の再生事例は全国的にも多くないため、良い参考事例となる。

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