現在国内で使われているエアバッグは、シートベルトの働きを補助して衝突した時に乗員の衝撃を軽減するシートベルト併用式エアバッグで、SRSエアバッグと呼ばれています。SRSとは補助拘束装置(Supplemental Restraint System)の略称です。
エアバッグは前面衝突時に瞬時に膨らみ、乗員がハンドルやインストルメントパネルに直接衝突することを防ぎ、頭部と胸部の衝撃を軽減します。
現在国内で使われているエアバッグは、メーカーが設計上定めた条件で前面衝突した時に膨らみ、シートベルトの働きを補助して乗員に重大な傷害が発生しないように作られているものです。したがって、衝突角度や衝突速度、衝突物によっては膨らまないこともありますし、逆に衝突しない場合でも、縁石などに乗り上げるなどして一定以上の衝撃を感知すると膨らむことがあります。
エアバッグが膨らむ条件と膨らまないことがある事例は一般的には次のとおりです。また、エアバッグは膨らんだ後、 すぐにしぼむため、その後に起きる衝突に対しては効果がありません。
エアバッグはシートベルトを着用しないと十分な効果が期待できません。事故の際、エアバッグが作動したにもかかわらず、乗員が死亡した事例を調査すると、シートベルトを着用していなかった場合には死亡率が約9倍も高くなっています。必ずシートベルトを着用しましょう。
シートベルトを正しく着用していないと、逆に大きなけがをするおそれがあります。次のようなことは危険です。
エアバッグの膨張速度(エアバッグが膨らむ速さ)は時速100㎞〜300㎞に達します。このため、エアバッグが膨らむときに擦過傷(かすり傷)、打撲傷、骨折、火傷等の被害を乗員が受ける可能性があります。
また、シートベルトを着用しなかったりして、使用上の注意事項を守らないと、さらに大きな被害を受ける可能性もあります。なお、エアバッグが膨らむ際に発生するガスそのものは特に有害なものではありません。
エアバッグが装備されていてもシートベルトは必要ですか?
エアバッグはシートベルトの機能を補助する装置です。シートベルトを着用していないと、エアバッグの効果が少ないばかりか、逆に大きなけがをするおそれがあります。
体の小さい人について、エアバッグの危険性が米国で指摘されているようですが?
米国では、シートベルトを正しく着用していなかったことなどから、小柄な人がエアバッグの衝撃で被害を受ける事故が発生しています。
エアバッグを装備した車両で前面衝突事故にあったところ、エアバッグが作動してけがしてしまったのですが?
エアバッグは前面衝突事故の際に乗員が致命的な傷害を受けないように設計・装備されています。このため、ある程度の高速の衝突を想定して、エアバッグが膨らむタイミングや膨らむ速度などを決定しています。従って、エアバッグが装備されていても全ての前面衝突事故において全く傷害を受けないで済むというものではありません。
サイドエアバッグは、側面衝突時に瞬時に膨らみ、頭や胸などの上体への衝撃を軽減します。運転席や助手席のエアバッグと同様、シートベルト併用式(SRS)ですので、シートベルトを着用していないと十分な効果は期待できません。また側方からの衝突の場合に対してのみ膨らみ、すぐしぼむため、前面衝突、後面衝突、多重衝突、横転・転落などの場合には効果がありません。
最近では、頭と胸を同時に保護するサイドエアバッグや頭部を保護するカーテンエアバッグといわれるものもあります。