受入地域向け

受入環境の整備方法

受入環境整備の重要性

 ワーケーション・ブレジャーを推進する上では、地域の受入環境を整備することが重要になります。以下の項目に従い、受入環境整備の方法を理解して、各地域で整備を進めましょう。なお、地域内の宿泊施設が独自にワーケーションプランやブレジャープランなど宿泊プランとして販売しているケースもありますが、ここでは受入地域全体としての環境整備面について確認をします。

01

準備

  •  まずはワーケーションを受け入れることが可能となるように推進体制を地域に作ります。地域の利害関係者が一堂に参加する協議会形式や、DMO、観光協会などの観光関連団体でも構いません。行政の一部署が担当を担うこともありますが、まずは推進・実行できる母体を作ることが大切です。
     次に、自地域のリソース(=資源)を確認します。拠点となる宿泊施設やワークスペースがあるのか、観光資源がありバケーション要素は提供できるのかなど、ワーケーションを推進する上での地域のリソースを確認しましょう。
     その上で、地域事業者、住民に対してワーケーション等を推進することが自地域にどのような意義があるのか等、その必要性を議論する機会を作ります。勉強会、ワークショップ形式で実施します。カタカナ語の新しい概念ゆえに、丁寧に時間をかけて意義を説明し、地域にとっての必要性を理解してもらうように働きかけましょう。

    推進体制の構築
    ワーケーションを推進する母体を作り、地域の多くの利害関係者が入る母体が望ましい
    地域のリソース(=資源)確認
    ● 宿泊施設の有無
    ● ワークスペースの有無
    ● 観光資源の確認 など
    地域事業者・住民への説明
    地域としてのワーケーションの意義を 理解し、協力的な風土を構築する

02

施設・ハード面

  •  ワーケーションを推進する上で、まずは地域内の宿泊施設の整備状況を確認します。①Wi-Fiなどの通信環境があるか、②セキュリティ対策が実施されているか、③コワーキングスペースなどワークスペースが施設内にあるか、④ワークスペース内では、複合機、机、いす、照明など、通常のオフィスで仕事をするものと同じ環境が整っているかなどです。必ずしもワークスペースやオフィス環境は必要ありませんが、利用者満足度を考えた場合、今後検討すべきポイントです。 その他にも、宿泊施設とは別に地域の中にサテライトオフィスやコワーキングスペースがあるかも確認します。古民家や使われていない施設はサテライトオフィスに転用することもできるので、そのような建物についても調査をします。
     また、長期滞在に対応できる地域・施設かどうかも重要です。宿泊施設でいえば、連泊対応が可能か、泊食分離は可能か、地域内にスーパーやコインランドリーなどについても確認しましょう。また地域内の移動手段についても確認と整備が必要になることがあります。

    宿泊施設内におけるハード面の整備
    ● Wi-Fiなどの通信環境整備
    ● セキュリティ対策
    ● コワーキングスペースなどの
    ワークスペースの整備
    地域内の独立したコワーキングスペースの整備
    サテライトオフィス、コワーキングスペースとなりうるワークスペースの整備
    生活面における環境整備
    ● 連泊対応の宿泊メニュー・泊食分離の対応
    ● スーパー、コインランドリーなど長期滞在向けの環境の確認
    ● 二次交通の整備(公共交通機関/レンタカー/レンタサイクルなど)

03

人材面

  •  業務型ワーケーションの受入を検討している地域は、地域コーディネーターの採用、育成が重要です。ワーケーションに関する企業ニーズは多岐にわたり、単なる観光メニューの提供にはとどまらないので、対応できる人材を配置することは業務型ワーケーション誘致の成否に繋がります。

    地域コーディネーターの業務
    ● 業務型ワーケーション(地域課題解決型/合宿型)に対する企業ニーズの理解
    ● 地域課題解決型、合宿型ワーケーションに対するプログラム開発
    ● 受入地域側の準備対応(地域の事業者/住民と進出企業とのマッチング)
    ● ワーケーション実施に向けた企業との調整
    ● 合宿・研修、イベント等のワーケーションにおける当日のコーディネート
    ● 継続的な関係づくりのための連絡 等
    地域コーディネーターの採用・育成
    地域コーディネーターを採用、育成するための研修プログラムや採用方法の検討

04

プログラム面

  •  休暇型ワーケーションを推進する場合は、業務の合間や休暇中に利用者が気軽に楽しめる観光メニューを準備します。特に、グルメに関するメニュー、地域で一押しの観光メニューはわかりやすく訴求します。一方、地域住民とともに交流する体験メニューなど継続的に利用者が参加したくなるような内容をラインアップします。
     業務型ワーケーションを推進する場合は、地域課題の抽出や地域事業者を巻き込んだプログラム開発、合宿型のワーケーションの場合は研修プログラムなどの開発も必要になります。

    休暇型ワーケーションにおける観光メニューの整備
    ● 着地型観光商品や滞在プログラムの開発
    ● 予約申し込み、問合せ機能
    業務型ワーケーションにおける観光メニューの整備
    ● 地域課題解決型:地域課題の洗い出し、地域事業者の選定
    ● 合宿型:研修プログラムの開発、サポート

05

資金面

  •  地域における受入環境を整備する際は資金面が大切です。設備面などのハード整備については、民間事業者が投資として実施するケースや行政などの助成金、補助金を活用するケースがあります。いずれにしても、投資対効果を事業計画という形でまとめてから資金調達方法を検討します。

    事業計画の策定
    ● 初期投資にいくらかかり、維持管理にどのくらいかかるかを算出
    ● 投資したものからどの程度の売上・利益が見込めるかを中長期で算出
    資金調達方法の検討
    初期投資の費用に対して、行政等の助成金・補助金、金融機関等の融資、地域ファンド等からの投資など、ありとあらゆる調達方法を検討する
情報発信
受入環境整備が整い、ワーケーションを推進する段階に到達したら積極的に情報を発信します。自社ホームページやSNSを通じて、顧客と直接やり取りできる仕組みを作ります。また、メディアに取り上げてもらいニュースとして発信できるような働きかけをします。

以上のように受入環境整備の5つのステップと情報発信を進めることで、地域と利用者にワーケーションが浸透するようになります。

「新たな旅のスタイル」
ワーケーション & ブレジャー
受入地域向けパンフレット