マインドセットプログラムにより従業員のウェルビーイングを高めるワーケーション
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- 設立:2022年
- 本社所在地:静岡県伊東市
- 事業内容:地域活性化事業として、伊豆高原の3つのブランド「ペットツーリズム」「自然」「アート」の柱を中心に、地域インフラ整備、教育旅行事業、ワーケーション推進、SDGs推進等観光を中心に地域の様々な事業に取り組んでいます。

ワーケーションに取り組んだ背景/現状
今回の実証事業における目的や背景について

- 伊東市は首都圏から近いこともあり、首都圏の企業を中心に生まれたワーケーションの需要を取り込みとそこで働く人との交流する機会の創出を推進するため、国の地方創生交付金事業を活用したワーケーション事業にチャレンジしたいということが契機となり、現在取り組み4年目を迎えています。
令和3年度より、非日常を体験することで心理的・クリエイティビティが向上するという仮説の下、Family、Creative、Education、Wellbeingのカテゴリでコンテンツ造成や既存施設の提供を行っていますが、今回は日常業務の延長としてのワーケーションではなく、新たなマインドセットを促すプログラムや地域との交流を持ってもらい関係人口や協働人口の創出を実現すべく、企業ニーズに応えていくためのプログラムの見直しとブラッシュアップを行い、推進をしました。
取り組み内容やコンテンツについて

- 共通プログラムとして、各企業に体験いただくプログラムを設定しています。それが大室山マインドセットプログラムとアイスブレイクとしてのボッチャです。
大室山は伊東市のシンボルでありあがめられている存在ですが、その山に登頂してもらい、一定時間スマホへのアクセスを禁止し、日常からの切り替えとそれによる集中力や思考力の向上を狙いました。ボッチャは伊東市からパラリンピックの金メダリストを輩出しており、チーム競技として戦略性もあり盛り上がりますので、参加者にも大変好評です。
企業別のプログラムでは、例えばチームビルディングの場合、事前に高校時代の写真を用意して当時頑張っていたことを書き出してもらい、それをもとに仕事に対する価値観を共有するプログラムをおこなっています。地域の交通課題に関するヒアリングを地元のタクシー事業者、バス会社、地元の住民、行政にしていただき提案をするプログラム、参加企業社内の新規事業開発プログラムと連携し、伊東市の子育て支援課や子育て中のお母さんや託児所にヒアリングをおこない、子育て支援アプリの提案をするプログラムなどを実施しました。企業から今後も連携していきたいという声をいただいており、今後も協同で取り組んでいきます。
取り組みにおける課題や改善点は?

- プログラムに取り組んでもらい、苦労して社会課題に対するご提案をしていただくのですが、その後のアクションにつながらないというのは大きな課題かと思います。提案を受ける地元が「勉強になりました」というスタンスで、次に何をやっていいかわからないということがあるしれませんが、もっと地域に前のめりになっていただくような体制作りや働きかけが必要かと考えています。
受け入れる宿泊施設なども、Wi-Fiや家具など、参加者の求めるものと用意できるもののギャップがあり、それに設備投資をするのが望ましいですが簡単ではなく、施設側にも受け入れのメリットを長期的な視点で考えてもらうのが必要かもしれません。また、モニターツアー以外で企業が自費でワーケーションに参加いただくことが少ないことや、リピート率も課題ですが、これについては参加いただいた皆様が、参加することによってこんな成果に結びついたよ、という小さな成功体験を積み重ねていくことで改善ができると考えています。
今回の取り組みで得られた成果と今後について

- モニターツアーに参加いただいた方の満足度は9割を超えています。一方でモニターツアー以外で伊東市に来ていただく機会が少ないことや、リピート率は課題ではありますが、提供しているワーケーションプログラムの効果が仕事に反映されるには時間のかかることもあると思いますし、その効果の測定は難しさもあります。
ただ、3年前にワーケーションを実施したある企業の担当者が社内で啓蒙して、その方のチームを連れてきてくれたことがありました。また、ある企業はアイデア出しを目的にして参加いただいたのですが、目標の11個を大きく上回る30個のアイデアを生み出しました。こういったことは伊東市のワーケーション環境だからこそ実現できた成果であると思います。このような成功体験を積み重ねるのが重要だと考えています。
今後は、以前実施していた早朝に漁船に乗る体験を復活させるなど、地元の観光資源を見直し、新たな価値を付加した形のプログラムを提供することで、伊東市ワーケーションに参加した方に成果を持ち帰ってもらい、また課題をみつけ改善をすこしずつ積み重ねていきたいです。
企業が何をしたら継続して来ていただけるかを、地元の方々との話し合いや調整をしていきながら、企業の皆様と一緒に考えていくことができればと思います。
過去の実績や人気のあるプログラムなどもわかってきましたので、企業のニーズをくみ取りつつ、今後のプログラムを作ってきたいと考えています。