地域

ワーケーションまちづくりラボ
(株式会社ふろしきや)

ワーケーションまちづくりラボ
(株式会社ふろしきや)

 

取組テーマ

地域課題解決

新規事業創出

地域のつながりから生まれる、広域回遊型ワーケーション

  • 設立:2016年
  • 従業員数:2名
  • 本社所在地:長野県千曲市
  • 事業内容:ソーシャルビジネス実証事業(ワーケーションまちづくり・温泉MaaSプロジェクト) まちづくり・社会実装支援事業(地域ブランディング要件定義・データ、情報解析による調査・提言)

ワーケーションに取り組んだ背景/現状

今回の実証事業における目的や背景について

  • 株式会社ふろしきやがワーケーションにチカラを入れるようになったのは、2019年の台風19号の被害、その後のコロナ禍により千曲市の観光関係者が大きな痛手を受けたことがきっかけでした。人々の移動が制限される中でも「ワーケーションという名目なら人の流れを生み出せるのでは」というアイデアに千曲市行政関係者や観光局職員が理解者として動いてくださり「民間事業者が受け入れるリスクを負い、行政はバックアップする」という体制のもと、3ヶ月に一回程度のイベントを続けてきました。
    長野県では「信州リゾートテレワーク」としてリゾート地でのテレワークを打ち出していますが、千曲市はレトロな温泉街で、コワーキングスペースはゼロからのスタートとなりました。
    しかし私たちは世間的な注目がなくても「人の流れ」は生み出せると考え、仮設の絶景コワーキングスペースを設け、飲食店やスナックが多いレトロな温泉街の特徴を活かした、対話がゆっくりできるコンテンツを育んできました。その過程で社会課題のアイデアソンなどを参加者と共同企画で行ったことで、ノマドワーカーと言われるスタートアップの来訪者の専門性と受け入れ側の地域のニーズが交わり自然発生的にプロジェクトが生まれることが多くなりました。その効果の大きさを目の当たりにした観光関係やまちづくり関係者の注目が大きくなる中、私たちのワーケーション事業とまちづくりが連携をしている「関係人口型」ワーケーションをさらに再現性高く広域な発展に繋げるべく、今回の取組を推進しようと考えました。

取り組み内容やコンテンツについて

  • 千曲市では交通事業者の協力のもと、日本初の取り組みである「トレインワーケーション」を行っています。これは貸切の観光列車をコワーキングスペースとし、仕事をしながら車窓の景色や美食を楽しむことができるという企画です。今回、観光列車に加えて通常車両も貸し切り、朝から晩まで往復運行させて、電車をコワーキングスペースとしつつ、好きなところで降りてカフェに行って仕事をしたりご飯を食べに行ったりと、駅の近くでの地域回遊をしていただきました。それに加えて「レボ系ワーケーション」(ワーケーションで新しい価値を生み出していこうという旗印)のもと、沿線各地で用意された地元住民との交流&プロジェクト共創機会を創出しました。参加いただいた企業によっては「トレイン」という特別な環境を使って何かしたいと、「トレイン面接」という試みもあったようです。

    さらに駅を起点に人が行き来する「まちづくり」の施策として、しなの鉄道を利用したデジタルフリーパス「千曲川ゴーランド」も活用しています。この鉄道では約6割が無人駅なのですが「それならスマホで完結する仕組みを作った方がほうがいい」という考えのもと、Webサービス等利用した簡単な決済システム、単純なチケットの表示のみで改札を通れる仕組みを取り入れました。

    これらの取り組みは、以前から行政と鉄道事業者が鉄道沿線のまちづくりに関するアイデアソンを行っていたため、「一緒に街をよくしていこう」という人の繋がりがベースにあり実現できたと思います。こうしてワーケーションを入口としながら広域で連携し、各地域の良さを活かす取り組みを自発的かつ活発に実施しているのは千曲市そしてしなの鉄道沿線ならではだと考えています。

取り組みにおける課題や改善点は?

  • 目標としていた予定人数に届かなかったことで、集客の難しさを改めて痛感しました。私たちのワーケーションは人との対話や想いの共有を重視している側面があり「明確なビジネスチャンスがある場所に行って、関係者とディスカッションしたい」と直接的なアプローチを求める立場のビジネスパーソンには響きにくかったのかもしれません。どちらかというと他の会社の方やビジネスパーソン同士での交流を通して「成長性」そして「その先にあるプロジェクト創生」という、より広い視野かつ長期でワーケーションの価値をとらえてもらった方が魅力的に感じていただけるのではないかと考えています。今後はそのスタンスで、既に成熟して満たされている企業やビジネスパーソンよりも、「何か取り組みたい」「成長したい」という意欲がある層へアプローチしていきたいと思います。

今回の取り組みで得られた成果と今後について

  • スタート時には地元のテレビ局や新聞社にプレスリリースを発信し、社会的な意義や新規性を伝える形で報道されたことにより、それを見た地域の方が取り組みを理解し協力してくれました。そのためワーケーション参加希望者は長野県内の方も多く、地域からの集客につながりました。農家の方まで「トレインワーケーションという、新しい流れを作っているんだね」と認識していただいたことは、大きな成果でした。

    「トレインワーケーション」は移り変わる景色や途中下車でいろんな地域を味わえるため、仕事と気分転換の両立という面では圧倒的に時間効率が良いと思います。そして地図上で同じように見える沿線地域も個性に富んでいて、訪れることで多様な魅力に気づいてもらえたと思います。長野県は広いですし隣接している都道府県も多いので、今後も枠を広げながら続けていきたいですね。例えば令和6年度3月には北陸新幹線が敦賀まで延伸するので、北陸を通してお互い行き来が少ない関西方面に広げていきたいです。関西と中部を人と人がつながるコンテンツでつなぐことができれば、それこそまさにツーリズムにつながっていくのではないでしょうか。

インタビューにお答えいただいたのは:株式会社ふろしきや 田村 英彦さん

今回の取り組みにおいて、1泊2日でもお互いのマインドを高めて刺激を与え合うことができ、地域のポテンシャルを引き出せて、非常に実りのある取組みだったという手応えがありましたので、改めて「ワーケーション」という入り口はとても良いと感じています。

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