仕事のパフォーマンスを上げてもらうワーケーションプレイスの提供
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- 設立:2018年
- 所在地:長野県北佐久郡立科町
- 概要:立科町は長野県の東部北佐久郡の西端に位置する町。稲作を中心としてりんご・高原野菜・畜産などの農業が盛ん。また、女神湖・白樺湖・蓼科牧場を有する一大リゾート地で四季折々の自然の恵みを満喫することができる。

ワーケーションに取り組んだ背景/現状
今回の実証事業における目的や方針について

- 信信州たてしな観光協会では、2017年より企業合宿型を中心としたワーケーション受け入れ事業に取り組んでおり、2022年8月に女神湖畔のワーキングスペース「レイクオフィス」を開設し、2024年4月から正式に稼働させる予定です。
企業合宿型のワーケーションに特化した受け入れ地域として1グループでも多くの企業のオフサイトミーティング・開発合宿の利用を受け入れるために、現在はフルカスタマイズのワーケーションツアーを提案しています。その作業の効率化を図るため、新たにパッケージプランを作り、それによってスムーズに受け入れまで進むことができるか、そして新規のお客様のニーズに応えられるかなどを検証する目的で取り組みをはじめました。
お客様が滞在いただいている間は必要以上に邪魔をしないようにお客様との距離感を意識し、ご相談があれば300%で返すくらいの姿勢で応じるよう心がけています。
取り組み内容やコンテンツについて

- 私たちがこれまでやってきたワーケーションは、アクティビティの要素はほとんど入っておらず、本来の目的である仕事のパフォーマンスをあげてもらうようしっかり仕事をしていただくプランでした。到着してから仕事に入りやすくするためのアプローチとして、アクティビティ要素が強いものではそのあとの仕事に負荷がかかってしまいますが、かといって参加者同士が打ち解けられないままでは仕事や会議も進めづらいので、気分転換自体が本来の業務にプラスになるコンテンツとして、30分くらいでできる自己開示ワークショップや越境学習コンテンツを人材開発などを手がけている会社と連携して作成し、プランの中に組み込みました。
お問い合わせいただいた際は、滞在時期に合わせた服装からおすすめのおみやげまで、写真をたくさん入れた詳細な旅程表を作成します。これまで積み重ねてきたさまざまなパターンを組み合わせることで、お問い合わせから短時間でお送りすることができ、そこで決めていただけることも多くなっています。
そしてワーケーション後、1カ月くらいのタイミングで企業様に伺ってインタビューし、動画を撮影しています。立科のワーケーションは仕事も前進し、関係性も向上してそれが持続する効果があることを伝えるために、旅行や遊びのイメージにつながりやすい綺麗な景色やアクティビティの要素ではなく、ワーケーションに来て1カ月後にどうだったか、という感想に焦点をあてました。この動画をワーケーションの決裁権を持っている方に見せるツールとして使っていただきたいです。
受け入れの取り組みとして、昼食から宿泊費、会議室の利用代まで全てを一枚の請求書にまとめられるようしたことで、評価をいただいています。 また、詳細なしおりの成果か、幹事さんの下見や前乗りもほぼありません。下見は費用もかかりますし、企業さま、幹事さんの負担軽減にもつながっていると思います。
取り組みにおける課題や改善点は?

- フルカスタマイズなのでどうしても工数はかかってしまうのですが、現在はアシスタント2名がついて、問い合わせから成約までを巻き取れるように、まずたたき台として一泊二日、二泊三日のプランを作り、それをもとに話し合ってもらうようにしているので、工数というより手間を大幅に減らすことができました。
またパッケージプランの中の「越境体験」という、ワークとは別の地域体験を入れていますが、ワークの拠点となるオフィス(レイクオフィス)と地域体験の場所が離れすぎていて、車の移動でも30分ぐらいかかってしまいました。往復で一時間のロスになってしまうので、オフィスの周りで歩いて行けるような距離での地域体験を用意することが次に取り組みたい課題です。
今回の取り組みで得られた成果と今後について

- 今回の成果としてアイスブレイクの造成がありますが、もともとアイスブレイクは一番はじめに行うほうがいいと感じていたので、到着後に30分程度の自己開示ワークショップを行っています。そこで行われる自己紹介では自分の内面を話すことも多いので、心情を吐露し合える仲間たちだけでワークショップを進行できるようなファシリテーションビデオも作成し、部外者であるファシリテーターが毎回参加する必要がなくなることにより、ワークショップが盛り上がり、その後の会議での発言が活発になったことも成果の一つかと考えています。
今後は請求書の一本化や詳細な予定表の作成など、企業を受け入れるスキームやノウハウを水平展開しながら、全国各地で企業がワーケーションする文化をボトムアップし、絶対数を増やしていきたいです。
立科はワーケーションの実態調査や観光事業者の視察もかなり多いのですが、その企業さまが別の地域で全然ダメだったという経験をしてしまうと、もう二度とワーケーションをしなくなる可能性があるので、しっかり一定水準でできるようになったらいいと思っています。利用する立場にとっても、今回が立科なら次は九州、その次は北海道・・・と違うところに行く方が、その地で見聞きできるものが変わる転地効果も得られます。いろいろな場所へ行って、一周したらまた立科に戻ってきてくれたら嬉しいですね。