近年、海上安全の一層の向上、船上の労働環境改善、産業競争力の向上・生産性の向上等の観点から、船舶の自動運航技術の実用化への期待が高まっていますが、国土交通省海事局では、交通政策審議会海事分科会海事イノベーション部会報告書(2018年6月1日)において、自動運航船の実用化に向け、技術開発と基準・制度見直しの大枠を示したロードマップを策定しました。
自動運航船の実用化に向けたロードマップ
同ロードマップでは、「陸上からの操船やAI等による行動提案で、最終的な意思決定者である船員をサポートする船舶」を「フェーズII自動運航船」と類型化し、2025年までの実用化の目標を示していますが、国土交通省はそのコア技術となる自動操船、遠隔操船及び自動離着桟の3つの技術の早期実証のため、2018年度より実証事業を実施しています。
自動運航技術の実証事業(自動操船、遠隔操船、自動離着桟)
また、2020年5月に海事局がとりまとめた「海事産業将来像検討会報告書」では、当面、様々なレベルで自動運航船の実船検証等が進められると考えられるため、さしあたっては、実証事業の知見を生かしつつ、自動運航船の設計、自動操船システムの搭載、自動運航船の運航等において留意すべき事項などをガイドラインとして整備し、我が国における自動運航船の実用化に向けた動きを加速していくこととしています。
今般、これまでの実証事業で得られた知見を活用しつつ、自動運航船の設計、自動運航システムの搭載、運航の各段階において安全上留意すべき事項等について、「海事イノベーション戦略推進本部(2018年10月設置)」の下に設置された「自動運航船安全検討WG(2019年1月設置)」において検討を実施し、「自動運航船の安全ガイドライン」を策定しました。
「自動運航船の安全設計ガイドライン」報道発表資料