大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2021年3月9日(火) 09:01 ~ 09:26
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件について、1点報告があります。
本日の閣議で、当省提出の「航空法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
この法律案は、大きく3点からなり、1点目は、今回のコロナ禍のような航空運送事業に甚大な影響を及ぼす事態の中でも、安全で安定的な航空ネットワークが確保できるよう、国と航空会社等が連携し航空運送事業の基盤強化を図るための新たな仕組みを設けること。
2点目は、空港での保安対策を強化するため、旅客等に対して保安検査の受検を義務付けること。
3点目は、ドローンなどの無人航空機に関し、政府目標である2022年度を目途に、「有人地帯上空での補助者なし目視外飛行」いわゆる「レベル4」を実現するため、機体の認証制度や操縦ライセンス制度等を設けることを主な内容とするものです。
詳細は後ほど資料を配付いたします。
また、閣議決定とは別ですが、今の法案に関連して1点報告があります。
ドローンや空飛ぶクルマといった次世代航空モビリティの早期実現に向けた体制強化についてです。
ドローンに関しては、先ほど御報告したとおりですが、空飛ぶクルマに関しても、2023年の事業開始を目標に、官民による協議会やその下に設置されたワーキンググループにおいて、機体の安全基準、操縦者の技能証明、運航の安全基準など制度の方向性について、議論を進めているところです。
これら次世代航空モビリティの早期実現を更に強力に推進するため、本年4月、関係事務を一元的に担う「次世代航空モビリティ企画室」を航空局に設置することといたします。
また、ドローンや空飛ぶクルマなどの技術革新の最前線として、福島ロボットテストフィールドが大いに活用されることにより、次世代航空モビリティに関する技術実証が円滑に行えるよう、本年4月を目途に航空局職員を福島ロボットテストフィールドに派遣し、常駐させることといたしました。
今後は、先ほど申し上げた新たな次世代航空モビリティ企画室において、福島ロボットテストフィールドとの連携を図りつつ、次世代航空モビリティに関する制度の構築・運用等を一体的に行っていき、しっかり取組を進めていく所存です。
詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。

 

質疑応答

(問)東日本大震災では、地盤をかさ上げした地域では想定より人が戻らず、空き地が目立つといった課題も浮き彫りになっているかと思いますが、震災における課題認識と、今後の被災地の復興だけでなく、将来起こる可能性がある災害発生時の復興対策に、今回のような課題をどのようにつなげていくか、大臣の考えをお聞かせください。
(答)御指摘の点は、大変難しい問題であると思っており、今となって振り返ると、10年間東日本大震災の被災地域の自治体、住民の皆さまの意向を確認しながら、あるべき姿というのを模索して、土地区画整理事業の手法に加えて、防災集団移転促進事業の高台移転など、様々なことを行いながら懸命に努力されてきた結果だと思います。
他方、この10年間で、被災者の皆さまは10年間分高齢化する。
そして、お子さんも独立されるなど御家族の状況も随分変わる。
こうした変化の中で、当初の御意向と随分異なってくるということもあったと思います。
かつてこの地域で安全に、生業が繁盛していたものの、人口が減少していくと、そこで商売が継続しにくくなり、簡単には言えないのですが、時の経過の中で被災地の状況というのは、東日本大震災の被災地域だけでなく、阪神淡路大震災の時にも地元に住んでいてそのように痛感しました。
なかなか解がないと思いますが、時間の経過が非常に状況を変えるという観点から、なるべく時間がかからないような工夫をしていくことが大事だと思います。
今回、国土交通省として、「東日本大震災による津波被害からの市街地復興事業検証委員会」を10年目の節目として設け、様々な議論をしていく中で、土地区画整理事業については、例えば、地区を区分して段階的に事業に着手した宮城県石巻市(いしのまきし)新蛇(しんへび)()地区の事例はよかったのではないかという評価や、また、複数事業の組合せをした、例えば、住居系の区画整理の区域を大きな面積で考えていたものの、なかなかその地域に人が集まらないということで、その区域を減らし、その減らした区域を防災集団移転促進事業で買い取って、かさ上げをしない産業団地として整備をしたと。
このような事例も、この検証委員会で御評価もいただいているところです。
ただ、現実として、昨日の各紙の報道でもありましたが、空き地や被災地の活用が十分ではないという御指摘もあります。
地元の方はもちろんですが、それ以外の方たちの土地を活用したいという意向をマッチングさせるということが必要だと思います。
空き地バンクや事業者エントリー制度による、土地を利用したい人とのマッチングや、地権者の売却の意向や貸付けの意向等を図面化し、外の人から見てもすぐ一覧としてわかるようにするなど、コロナ禍で地方移住を新たに考えている方たちというのは既にたくさんいらっしゃるわけで、そのような人たちとの接続をしていくことが、非常に大事ではないかと思っております。
今後は、これだけの大型災害があって、集団移転をするということがないようにしていかなければならないのですが、どのくらいの確率であるかわかりませんが、極めて確率が低いことに対しての制度設計というのは非常に難しいと思います。
一方、例えば、ある観光地では、10年後の姿ということをいろいろ議論して、10年後にはこうしようという話合いが行われています。
住宅地ではそうしたことはなかなかないのですが、住宅地も10年後には間違いなく10年間高齢化するので、人が減る、増える、様々なトレンドを、その地域の特性で分析をして、将来的な姿を描いていくことが本当は必要なのではないかと思います。
自治会でそのようなことを行うのは荷が重すぎるので、単位は限られていますけれども、やはり地方自治体がそのようなことをきめ細かく想定していく。
将来、ある市ではどのくらい人口が減少するかということは、ある意味では分析できる訳ですし、その市の中でもこの地域、この地域ということはそれなりに想定ができる訳で、その時に、どのような不都合な事由というか、高齢化が進むとこれをどう維持していくのかといったことや、学校の統廃合なども分析をすれば相当予見性が高く判断できるはずなので、私が申し上げたいのは、そうしたことを日頃から計画的に準備をしていくということが大事だと思います。
災害があると、さあ困った、どうしようかということで住民の人たちの意向を聞き、そしてその意向自体が「こんなはずではなかった」と時間が経つと変わっていく。
最終的には、当初予定していたとおりのまちづくりができないということが、確率的に高くなってしまうので、この地域は、普通にしていれば人口がどのくらいになる、高齢化がどのくらい進み、そのために必要な、例えば高齢者施設、学校施設はどうするか、学校の転用はどうするかといった、10年後、20年後の地域の姿を作っていくということが本当は大事なのではないかと思います。
これは私個人の認識ですが。
このようなことを検証委員会でもしっかり議論していただいたりとか、また、都市局や国土政策局辺りでこのコロナ禍を踏まえた今後のあり方を、今、しっかり検討しており、今回、10年目という大変大事な機会ですので、今後の防災という観点も入れて、少し議論をしていきたいと思っております。
回答になったかわかりませんが、そうした考えです。
 
(問)航空法の閣議決定がありましたけれども、今回、コロナを受けて、航空会社の支援等が予算案に盛り込まれているかと思うのですけれども、改めて今回、航空法を改正し、今後の危機に備えるような内容になっていたかと思うのですけれども、こうした意義について、大臣の所感をお願いします。
(答)一連のコロナ禍の影響を受けまして、国会でも航空各社に対する支援について、これは与野党超えて、各党会派から強く要望が出た案件です。
正に今回のコロナ禍で航空各社、航空運送事業全体に大変甚大な影響が及んでいると。
こうした中で、公共交通としての安全で安定的な航空ネットワークを確保するということは並大抵のことではなく、付け焼き刃ではなかなか対応できないのではないかと思っております。
そこで、国が航空運送事業の基盤強化の方針を策定し、それに基づいて、各航空会社等への支援を行うとともに、航空会社が、国の方針に沿って、基盤強化のための計画を作成し、取組状況を国に定期的に報告していただく新しい仕組みを設けます。
特に、令和3年度に行う予定の大規模な着陸料や航空機燃料税等の減免、1200億円程度になると思いますが、こうしたことも基盤強化の方針に盛り込み、航空会社から設備投資の実施状況を国へ報告してもらうこととします。
先ほど申し上げました今回の法改正には3つの柱があり、2点目は、保安検査は、現在、法的位置付けがないので、保安検査の受検を法律上義務付け、その中で、保安職員が職務遂行のための指示を出す権限を明確化します。
また、国が危害行為防止基本方針を策定し、航空会社等の関係者の役割の明確化や連携強化を図ります。
そうしたことを行うことによって、現在、保安職員は離職率が大変高い状況ですので、こうしたことを含めた課題を解決し、保安検査の量的・質的向上を図っていきたいと考えております。
3点目は、ドローンなどの無人航空機についての制度改正です。
冒頭申し上げましたが、2022年度を目途に、「有人地帯上空での補助者なし目視外飛行」、いわゆる「レベル4」を実現することが政府目標となっており、都市部上空での荷物配送など無人航空機の更なる利活用を目指しています。
このため、無人航空機の飛行の安全を厳格に担保しつつ、ドローンの利活用の拡大が図られるよう、機体認証を受けた機体操縦ライセンスを有する者が操縦する場合に、国の許可・承認を受けた上でレベル4飛行を可能とするなどの仕組みを設けます。
いずれにしましても、今回の法改正で、航空会社の安定的な経営と航空利用者の利便性の向上、更なる航空の安全の確保をしっかり推進していきたいと考えております。
 
(問)コロナ禍の対策についてお願いいたします。
駐車場整備についてです。
都市部における貨物自動車やバイクの駐車スペースの不足が相変わらず問題になっております。
国土交通省は、これまで、貨物自動車の荷さばき場やバイクの駐車場整備は、本省として位置付ける必要はないということを言ってきましたけれども、一方で乗用車の附置義務については、実態を踏まえた緩和が成されていて、貨物自動車などについても新たにこれを義務付けて駐車場整備を進めることが必要ではないかと。
警察庁も取締りについて不断の見直しをするというようなことも話しておられますので、連携して対応を進めるべきではないのでしょうか。
(答)国土交通省としてそのように申し上げたということは定かではありませんが、私は、大臣になるまでは周辺を自転車で利用しており、率直に申し上げますと、東日本大震災後なのかもしれませんが、自動二輪車も駐車できる都内の駐輪場自体は大変増え、随分便利になったと感じました。
一方で、現状、宅配・デリバリーの増加により、タクシー事業においても、新しく有償貨物運送を認め、大変な勢いで増えていることは御指摘のとおりだと思います。
そうした現象が起こっているけれども、駐車場の整備台数についてはおそらく十分ではない状況があるということは御指摘のとおりだと思います。
駐車場の整備については、基本的には民間が自主的に行い、加えて、地方公共団体が駐車場法に基づいて、公共駐車場を整備するとともに、条例によって、商業施設等の建築主に駐車場の附置義務を課すことができるとされております。
その中で国土交通省では、社会資本整備総合交付金などにより、その整備費用の一部を支援しております。
地方公共団体がこのような条例を制定する際の参考となる、標準的な駐車場条例をお示しし、駐車場の整備を促進しているのが現状です。
また、道路上の駐車対策という観点では、警察庁から、荷さばき車両の短時間駐車や自動二輪車について、交通の状況等を考慮しつつ駐車規制が必要最小限のものとなるよう見直しを行うべき旨を通達しており、国土交通省としても、地方公共団体に対し、都道府県の警察と連携して、駐車対策に取り組むべき旨を通知しております。
冒頭申し上げましたとおり、宅配の需要は増えていますので、おそらく、我々がまだそれを自覚していない現場での混乱があるとの御指摘だと思いますので、今一度、地方公共団体や警察庁とも連携し、必要な対応をとっていかなければいけないと思っております。
今後ともよろしくお願いします。
 
(問)先ほど大臣から、震災に絡んで10年後のまちの姿、高齢化の姿を描いておくことが大切だというお話がありましたが、それに関連して、本日午後から「全国二地域居住等促進協議会」が開催されると思います。
それには3分の1の600の地方自治体が参加しますが、この協議会は、東京一極集中の解消まで考えたものなのか、その辺りの狙いと、600が参加することについての大臣の評価、感想をお聞かせください。
(答)この協議会は、当初、コロナ禍が与える社会の変化に伴って、どのような現象が起こるのか、そういう視点で、防災・減災のマスタープランというようなことと同じようになっていくかどうかは別として、純粋に、コロナによって働き方改革が進み、毎日会社に行かなくてよくなるという状況の中、私もテレワーク、リモート会議をやりますと、狭いマンションなどでは非常にやりにくい。
今は宿舎に1人で住んでいますので、私はそういうスペースがありますが、家族と一緒に住み、小さな子供がいる方からは、非常にやりにくい、書斎があるような少し広いスペースが必要だという声も聞いております。
そうすると、高い家賃で便利なところよりも、少し環境の良い広い住宅に住みたいと思われる方が出てくるのではないかということで、国土交通省各局に対し、働き方の変化とともに、住まい方の変化や、国民1人1人の個人の価値観の変化は相当大きくなるのではないか、新たな地方のあり方、地方創生の1つの契機になるのではないかという意識の下に指示をする中で、このような協議会を立ち上げることとなりました。
仰られるように、600もの参加は非常に驚きでありますが、逆に言うと、それぞれの地方自治体も同じような認識でいらっしゃるのだろうと思います。
東京都の転入人口と転出人口を見ますと、これまでは転入人口が超過するトレンドでありましたが、昨年以来、7か月連続で転出人口が超過しているのは、地方への移住や二地域居住、もしくは、三地域居住ということが現実に始まっている。
私も観光関連事業者や交通事業者との意見交換会や災害現場視察等で地方に行ったときに、様々な意見交換をする中で、地方の旅館が平日にワーケーションを目的とした宿泊により部屋が埋まっている現象や、先日、軽井沢で意見交換会を行いましたが、軽井沢の町長からも、目に見えるような形で移住者が増えており、土地代も上がっていると聞いています。
軽井沢の場合は、私立の新しい小学校、中学校ができ、そうしたことも背中を押しているというようなお話もありました。
ですから、これまでの価値観で毎日会社に行かなければならない、通勤時間はなるべく短くというような価値観から、テレワークが導入されることによって、働き方が変わり、その結果、家族との団らんができるようにとか、子供の教育のためになど、今までと違う価値観が導入され、随分変化が出てくるのではないか。
そうしたときに国土交通省としては、後を追うのではなく、そうしたトレンドの先に行けるようなしっかりとした行政をしなければいけない。
それは、局の壁を越えてやっていかなければならないことになるかも知れませんし、もっと言うと、総理がよく言われていますが、省庁間の縦割りを打破し、悪しき前例主義をなくしていかなければできないことかも知れないので、ブレーンストーミングを行い、そういう指示をしていたのですけれども、現実にそうした問題意識というのは共有されていて、今回、600の団体に参加していただけるということで、良いものにしていかなければいけないと思っておりますし、地方創生というのは長らく言ってきたことでありますが、どうしても少子高齢化、人口減少のトレンドの中で、なかなかやる目星がなかったわけでありますが、コロナ禍という大変な制約の中、逆に地方創生に対する可能性が出てきたのではないかと前向きに捉え、しっかりと対応していきたいと思っております。
なかなか簡単ではないと思いますが、またいろいろと御指導いただければと思います。

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