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大丸有 Area Management City Index(AMCI)

実施事業者PwCアドバイザリー合同会社 / 株式会社アブストラクトエンジン(パノラマティクス) / 一般社団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会
実施場所東京都千代田区 大手町 / 丸の内 / 有楽町地区
実施期間2021年9月〜2021年11月 (WEBは終了後も継続公開)
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3D都市モデルの持つ特徴を活かし「一目瞭然」に「エリアマネジメント活動」を伝える。解像度の高い都市活動データを用いた魅力的なビジュアライゼーションにより、エリアマネジメント活動への共感ある参加を促すとともに、効果的なシティプロモーションに寄与することを目指す。

実証実験の概要

エリアマネジメントによるまちづくりでは、活動の状況や成果を俯瞰的・継続的に伝えるツールがなく、企業や個人に対しエリア活動への参加を促進できないという課題がある。今回の実証実験では、3D都市モデルの持つ「一目瞭然」に「エリア」を可視化する特徴を活かしてエリアマネジメント活動のビジュアライゼーションを行い、企業や個人の参加促進を図るプラットフォーム“Area Management City Index(AMCI)”の開発を行う。

AMCIを用いることで、本地区で開催している「大丸有SDGsACT5」期間中にユーザーに付与されるポイントアプリデータ等をビジュアライズ・発信し、企業や個人の活動への参加促進効果を検証する。

実現したい価値・目指す世界

「経済」、「社会」、「環境」、「文化」のバ ランスのとれた、社会的価値と経済的価値の両立したサステイナブ ル・ディベロップメントの実現のためには、公民協調によるエリアマネジメント体制の中で エリアのステークホルダーが一体となった総合的なまちづくりに取り組んでいくことが求められる。

一方で、現状では、エリアマネジメント活動の状況や成果を俯瞰的・継続的に伝えるツールがなく、企業や個人に対しエリア活動への参加を促進し難いという課題がある。またエリアマネジメントによるまちの価値向上や立地競争力強化への寄与を把握し内外に効果的に提示する術も乏しい。

近年、スマートシティの進展により、エリアマネジメントの取組・活動を、解像度の高い都市活動データを用いて把握・計測することができるようになってきている。これらのデータを3D都市モデルを活用したAMCI上で「一目瞭然」に魅力的に可視化することにより、共感ある取組として多様なステークホルダーの参加を促進することができるようになる。また、エリアマネジメントによるまちの価値向上の効果をわかりやすく伝えるシティプロモーションが可能となる。

これにより、エリアマネジメントによるサステイナブル・ディベロップメントの取組を発展させることができる。

対象エリアの地図(2D)
対象エリアの地図(3D)

検証や実証に用いた方法・データ・技術・機材

AMCI [Area Management City INDEX]
今回の実証実験では、大丸有エリアを起点にSDGs達成に向けた活動を推進する「大丸有SDGs ACT5」期間中のメンバーポイントアプリデータ等をもとに取得した、エリア内のポイント発行数、人流、SDGs活動への貢献指標等を3D都市モデル上にビジュアライゼーションするウェブアプリを開発した。このための技術として、three.jsを用いたWEB GLによるグラフィック表現を採用し、ウェブ上での良好なパフォーマンスと操作性を実現した。
今回AMCIで用いたCityGML(OBJ)データをWebサイト上で使用する方法は、Qiitaにてチュートリアルをまとめている。

AMCI Develop Note
また、本サービスの効果検証として、Webサイトの閲覧者及びポイントアプリユーザーへのアンケートや有識者及び企業等へのヒアリングを実施した。

獲得ポイント(ACT5メンバーポイントアプリ)総数
SDGs ACT5参加者の総歩数及び歩行距離

検証で得られたデータ・結果・課題

WebGL技術を用いた3D都市モデル及び動的データのビジュアライゼーションによる見栄えのするビジュアルを快適なパフォーマンスで提供することが可能となり、Webサイトの閲覧者からの評価も高かった。個人や企業にエリアマネジメント活動への参加を促すツールとして、3D都市モデルを用いたデータビジュアライゼーションの高いポテンシャルが導き出された。

一方で、今年度の実証では、AMCIの機能、表現、UIの実装を最優先したため、連携したメンバーポイントアプリのデータ取得からAMCI上へのデータ重畳等は手作業によるものであり、工数が増大した。また、ACT5の活動状況を丸の内、大手町、有楽町の各エリア単位で可視化することは出来たが、ビル単位などより詳細な単位で可視化するには技術的課題があった。

今後、AMCIをエリアマネジメントツールとして一般化するためには、持続的な運用スキームの確立や表現の精緻化、API開発等によるバックデータ取得の自動化や業務システム化による汎用性の確保、各エリア間の比較を行えるようなシステム化が課題となる。

活動場所の表示
SDGs活動の集積

参加ユーザーからのコメント

・Webサイトの閲覧者のコメントの総括:3Dを使ったことによるビジュアル的分かり易さ・とっつき易さ、音楽・表現などのポップさが評価されている。一方で、伝えたい中身がビジュアル表現だけでは分かりづらいとのコメントもあり、共に表示するダッシュボード表現の改善や推計の解説を追加するなどの工夫が必要。
・企業等からのインタビューコメントの総括:まちでのSDGs活動の可視化は革新的取り組みとして受け入れられた。今後は、エリアへのESG投資の誘因へつなぐ長期的な視野を持つことや、まちのプロモーションツールとして活用するうえでの、ESGの”S”の部分の可視化・プロモーションの実施、AMCIを活用したESG投資とエリア価値向上のひな型の作成、などエリアマネジメントによるまちの価値向上のための示唆・要望を頂いた。さらには、立地企業のSDGs活動をエリアマネジメント団体などの第3者が可視化することは企業にとって魅力であり、自社社員のSDGs活動への誘引・啓発にも効果的であるとして、企業や個人の参加促進への有用性も確認できた。

今後の展望

本実証実験の結果を踏まえ、解像度の高い都市活動データを用いた魅力的なビジュアライゼーションにより、エリアマネジメント活動への共感ある参加を促すために、AMCIに重畳する活動データの種類の追加や新機能追加など、効果的なシティプロモーションツールとしての成長を目指す。また、全国のエリアマネジメント等での活用可能性を高めるため、運用面の自動化やシステムの汎用性の改善を図っていく。