タンジブルインターフェースを活用した住民参加型まちづくり等 v2.0
実施事業者 | インフォ・ラウンジ株式会社 / 株式会社山手総合計画研究所 / サイバネットシステム株式会社 |
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実施場所 | 関内駅周辺、曳舟駅周辺、他 |
実施予定 | 2024年5月〜2024年12月 |
タンジブルインターフェースで体験型のアーバンプランニングを実現。参加型のまちづくりワークショップを複数都市で実施し、多様な主体によるコミュニケーションの活性化を実現。
本プロジェクトの概要
本来、都市計画にはプランナーや設計者、自治体担当者、地域住民といったあらゆる主体が関わり、相互に意見を交わしながら、可能な限り全員が納得感を得られるような形で進められるべきである。しかし、現状では、まちづくりに関わる人それぞれが持つ背景知識や空間認知能力の差など、非対称性によって生じるコミュニケーションのギャップが問題となり、各主体が相互に対話し理解を深めるための有効な機会が設けられているとは言いがたい。本プロジェクトでは、タンジブルインターフェースを用いた体験型のワークショップ手法を通じて、そのような課題を解消していくことを目的としている。
本プロジェクトでは、2023年度までに開発してきた「タンジブルインターフェースを活用した住民参加型まちづくり等」を基礎として、タンジブルインターフェースの性能や使いやすさに関する課題を改善することで、より多くの現場で活用の機会が得られ、多くの主体が直接的にまちづくりに参加できるような環境を提供する。また、過年度までの実証地である横浜市に加えて複数の都市計画の現場での利用を通じて、さまざまな場面で本システムを活用できるよう、より詳細な現場のニーズを反映し、社会実装に向けて汎用的なツール開発を目指す。
実現したい価値・目指す世界
専門知識をもたない一般市民にとって、都市計画の過程において設計図やパースなど与えられた情報をもとに頭の中で視点を変えながら空間イメージを構成することや、都市計画やまちづくりのアイディアを言語化することは、特に経験のない場合は難しい。計画段階において市民参加を活性化させ、実際の開発の前に多様な意見を取り入れるほか、開発イメージの認識の一致を実現するためには、直感的な理解やお互いの意見のわかりやすい共有を可能にするコミュニケーション支援ツールが求められている。
2023年度までに開発してきた「タンジブルインターフェースを活用した住民参加型まちづくり等」では、デバイス上に置かれた、建物やキッチンカー、ベンチ等のストリートファニチャーの模型を置いたり動かしたりすることで、簡単かつ直感的な操作で参加者の頭の中にあるイメージを可視化することができ、専門知識の有無を問わず誰もが一緒に意見を出し合い、認識を共有しながらまちづくりに関する議論ができることを実証した。一方、これまでは、単一地域を対象としたシステムの設計とワークショップの開催に留まっており、横展開を容易にするようなシステム上の工夫が求められている。また、これまでは、いずれも一般市民を中心とした計画構想段階のアイディア出しに利用していたため、今後は事業者による関係者間や地権者との合意形成における利用や、設計段階や空間の活用段階など、まちづくりにおけるあらゆるフェーズでの利用についても対応する必要がある。
本プロジェクトでは、2023年度までに開発してきたツールおよびワークショップ手法を基礎として、多地域展開を目指し、システム面では操作性、安定性、汎用性、メンテナンス性を向上させることで、本システム・ツールの運用にかかるコストを抑えつつ、都市計画のさまざまなニーズにもフィットするようにする。また、運用面では、まちづくりにおける複数の工程(構想、計画、設計、管理、活用)への応用を目指し、一般市民、専門家、自治体職員など、あらゆる主体に対する有用性の検証を行い、社会実装に向けた筋道を立てる。
タンジブルインターフェースおよび同ツールを活用したワークショップ手法によって、あらゆる主体が参加し、密度の高い対話ができる環境を整え、まちづくりプロセスの民主化を目指す。