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公園管理のDX v2.0

実施事業者国際航業株式会社 / Pacific Spatial Solutions株式会社
実施協力国営越後丘陵公園事務所 / 越後公園管理センター/株式会社ホロラボ
実施場所国営越後丘陵公園
実施期間2024年10月〜12月
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3D都市モデルを活用し、地上・地下施設を含めた多様な公園施設の管理業務を効率化するシステムを構築。現場での活用シーンを見据えた利便性向上を図り、効果的な情報蓄積・共有による業務負荷軽減や公園施設に関する計画検討のEBPMを促進する。

本プロジェクトの概要

多くの都市公園では管理業務の多くがアナログ主体で進められているが、施設の老朽化による維持管理費の増大から、デジタル技術を活用した公園管理運営の効率化・高度化が喫緊の課題となっている。

本プロジェクトでは、令和5年度の「公園管理のDX」において構築・開発した、3D都市モデルを活用した公園管理用のリレーショナルデータベースマネジメントシステム(以下、RDBMS)および当システムに紐づく管理・点検用アプリケーションを基礎として、既存施設の移設・廃止を反映したデータベース更新機能 、施設配置の検討(シミュレーション)機能、ARでの情報可視化機能およびオフライン稼働機能等を新規開発する。これらの機能の追加開発と現地実証に基づくUI・UXの改善により、巡視点検の合理化・省力化や公園管理業務におけるEBPMの実践を目指す。

実現したい価値・目指す世界

全国の都市公園では、管理・点検業務におけるデジタル化が少しずつ進められているが、他方で既存資料が紙媒体で保管されている場合や資料がバラバラに保管されている場合があり、必要な情報を必要な時に参照しづらい現状となっているほか、公園管理の関係者がデジタルそのものに不慣れな場合も少なくない。例えば、公園施設の基本情報(位置や形状等)や日々の巡回報告書の情報は、紙媒体または紙媒体のスキャンPDFデータ、Excelデータ、CADデータなど、複数のデータ形式や媒体で管理されている。これにより、公園管理者と巡回点検業務を行う事業者との間で、健全度や緊急度等の施設の基本情報や位置情報、現況の把握の度合いに差が生じ、施設に異常が生じた際に正確な情報や現況を把握しないまま現地に向かい、適切な対処が困難になる場合や対処に遅れが生じる場合がある。

そこで、令和5年度には、「公園管理のDX」のユースケース開発を行い、「公園施設長寿命化計画策定指針(案)(改訂版)」を参考に、RDBMS、3D都市モデルを活用した巡回点検用アプリケーションと、管理用アプリケーションを開発した。
巡回点検用のアプリケーションは、位置情報が紐づいた公園施設情報をスマートフォンの画面上で閲覧できるほか、GPSと音声入力機能を使用しながら巡回点検や異常時の報告を行うツールであり、実証に参加した巡視員から基本的には肯定的な意見が得られた。一方、通信環境が不安定なエリアでの機能不全が発生したことや、音声入力で長文を記録した際の確認フォームの使いやすさに改善を求める意見があり、UI/UXの観点での課題が残った。
また公園全体管理用のアプリケーションは、Webブラウザ上で公園施設・樹木の基本情報や巡回点検時に報告されたインシデントを一元管理・閲覧できるツールであり、これについても肯定的な意見が得られた。一方、対象は地上の公園施設に限定されていたほか、一部工事中の施設も除いていたため、地下埋設物や更新(撤去・新設・移設)した施設の情報管理も期待する意見があり、公園全体の施設管理の観点での課題が残った。

本プロジェクトでは、2023年度の取組により判明した課題を解決する機能の追加開発や不足していたデータの追加整備を行い、システムの更なる利便性向上を図るほか、UI/UXの改善を行う。
RDBMSにおいては、公園管理事務所および管理センターが地上・地下にある公園施設を一元的かつ網羅的に管理するため、地下埋設物モデルや新設した施設のモデルを新たに整備する。
巡回点検アプリでは、園内すべての場所で点検・報告できるよう、オフライン機能を開発し、通信ができる環境になった際に記録内容をクラウドに保存することを可能とする。
公園管理アプリでは、公園施設の更新検討において、写真や図面、パースに頼った検討だけでなく、メーカーが作成する遊具等製品の3Dデータを活用しながら配置場所や施設を比較できるようにするため、Webブラウザ上で施設の配置シミュレーションができる環境を開発する。また撤去・新設した施設についても、RDBMS上に登録し情報管理や日々の点検に即時使用できるようにするため、点群データを活用した3Dモデルの生成やデータベースを更新する機能を追加する。
そして新たに情報閲覧ARアプリを開発し、スマートフォン画面上に地上・地下の公園施設の3Dモデル及びその施設の属性情報を表示することで、現地へ紙の資料を持ち出さなくても施設情報の把握を可能とする。

開発したシステムは、国営越後丘陵公園において、公園管理事務所職員および管理センター職員による実証を行い、公園施設の配置検討業務や点検・巡視業務等への活用の実現に向けて、効率性、有用性等を検証する。また、本システムの社会実装に向けて、国営越後丘陵公園以外の公園管理者に対しても、システムの説明や機能等に関するアンケート・ヒアリング等を行い、開発したシステムの社会的な有用性を調査する。

3D都市モデルを活用した公園の施設点検・管理支援システムの社会実装を目指すとともに、全国の公園管理業務において、デジタル技術を活用した業務プロセスの改善の加速を図る。

対象エリア(長岡市)の地図(2D)
対象エリア(長岡市)の地図(3D)

実現したい価値・目指す世界

全国の都市公園では、管理・点検業務におけるデジタル化が少しずつ進められているが、他方で既存資料が紙媒体である、保管場所が一様ではないなど、必要な情報を必要な時に参照しづらい現状となっているほか、公園管理の関係者がデジタルそのものに不慣れな場合も少なくない。例えば、公園施設の基本情報(位置や形状等)や日々の巡回報告書の情報は、紙媒体または紙媒体のスキャンPDFデータ、Excelデータ、CADデータなど、複数のデータ形式や媒体で管理されている。これにより、公園管理者と巡回点検業務を行う事業者との間で、健全度や緊急度等の施設の基本情報や位置情報、現況の把握の度合いに差が生じ、施設に異常が生じた際に正確な情報や現況を把握しないまま現地に向かい、適切な対処が困難になる場合や対処に遅れが生じる場合がある。

そこで、令和5年度には、「公園管理のDX」のユースケース開発を行い、「公園施設長寿命化計画策定指針(案)(改訂版)」を参考に、RDBMS、3D都市モデルを活用した巡回点検アプリと公園管理アプリを開発した。
巡回点検アプリは、位置情報が紐づいた公園施設情報をスマートフォンの画面上で閲覧できるほか、GPSと音声入力機能を使用しながら巡回点検や異常時の報告を行うツールであり、実証に参加した巡視員から基本的には肯定的な意見が得られた。一方、通信環境が不安定なエリアでの機能不全が発生したことや、音声入力で長文を記録した際の確認フォームの使いやすさに改善を求める意見があり、UI/UXの観点での課題が残った。
また公園管理アプリは、Webブラウザ上で公園施設・樹木の基本情報や巡回点検時に報告されたインシデントを一元管理・閲覧できるツールであり、これについても肯定的な意見が得られた。一方、対象は地上の公園施設に限定されていたほか、一部工事中の施設も除いていたため、地下埋設物や更新(撤去・新設・移設)した施設の情報管理も期待する意見があり、公園全体の施設管理の観点での課題が残った。

本プロジェクトでは、令和5年度の取組により判明した課題を解決する機能の追加開発や不足していたデータの追加整備を行い、システムの更なる利便性向上を図るほか、UI/UXの改善を行う。
RDBMSにおいては、公園事務所及び管理センターが地上・地下にある公園施設を一元的かつ網羅的に管理するため、地下埋設物モデルや新設した施設のモデルを新たに整備する。
巡回点検アプリにおいては、園内すべての場所で点検・報告できるよう、オフライン機能を開発し、通信ができる環境になった際に記録内容をクラウドに保存することを可能とする。
公園管理アプリでは、公園施設の更新検討において、写真や図面、パースに頼った検討だけでなく、公園施設メーカーが作成する遊具等製品の3Dモデルを活用しながら配置場所や施設を比較できるようにするため、Webブラウザ上で施設の配置シミュレーションができる環境を開発する。また撤去・新設した施設についても、RDBMS上に登録し情報管理や日々の点検に即時使用できるようにするため、点群データを活用した位置参照やデータベースを更新する機能を追加する。

そして新たに情報閲覧ARアプリを開発し、スマートフォン画面上に地上・地下の公園施設の3Dモデル及びその施設の属性情報を表示することで、現地へ紙の資料を持ち出さなくても施設情報の把握を可能とする。

改修・開発したシステムの有用性等を検証するため、国営越後丘陵公園において、公園事務所職員及び公園管理センター職員を対象にテスト利用を実施し、その後アンケート・ヒアリングを行う。さらに、本システムの社会実装に向けた有用性を検証するため、国営越後丘陵公園以外の国営公園の関係者や公園施設メーカーを対象としてアンケート・ヒアリングを実施する。これらの過程で得られた意見等を基に本システムの改良を行い、3D都市モデルを活用した公園の施設点検・管理支援システムの社会実装を目指す。併せて、全国の公園管理業務において、デジタル技術を活用した業務プロセスの合理化を目指す。

検証や実証に用いた方法・データ・技術・機材

令和5年度に開発した巡回点検アプリと公園管理アプリの機能を基盤に、巡回点検アプリはオフライン機能、SMS機能、NFC機能の実装とUI/UXの改良を実施、公園管理アプリは、地下埋設物の統合管理機能と配置シミュレーション機能を実装した。また、新たに情報閲覧ARアプリを開発した。これにより、公園管理業務のさらなる利便性向上を期待できる、公園管理用RDBMSの構築を行った。

巡回点検アプリは、取得されたデータを公園管理アプリ側へ送信し、PostgreSQLを用いたRDBMSにおいてデータベース化し、音声(MP3形式)、画像(JPG形式)も併せて格納する機能が実装されている。これにより、規定様式の巡回報告書へ異常対応箇所・内容、巡回時間、水温記録等を手書きで記録・転記する手間を省き、短時間でミスなく日次報告が行えるようにした。
このアプリに対して、通信環境が悪いエリアでも記録できるように、異常の内容、現地の写真や位置情報をスマートフォン本体に一時的に保存し、通信環境が回復した際に、自動的に公園管理アプリ側へ送信され、データベースに格納される機能を追加実装した。
また、NFC技術を採用し、施設のIDを登録したNFCタグを施設点検時にスマートフォンで読み取り、本アプリで該当施設の点検時刻をデータベースに保存する機能も追加実装した。これにより、施設での作業内容(点検作業や休憩など)を正確に識別でき、点検時刻が公園管理アプリ内の日次報告シートへ自動的に反映されるようにした。これにより、正確な施設の点検時刻が公園管理アプリ内の日次報告シートへ自動的に反映されるようにした。
さらに、高齢の巡視員にとっても使いやすいように、アプリ内の文字やボタン表示の視認性、操作性の向上などといったUI/UXについての改良を実施した。

巡回点検アプリを用いた異常の報告

公園管理アプリでは、公園施設長寿命化計画の対象施設や植物管理台帳の樹木などの情報を一元管理できるように標準化した上で、PostgreSQLを用いて3Dモデルと紐づくリレーショナルデータベースが構築されている。これに対し、地下埋設物施設についても3D都市モデルを作成し、このリレーショナルデータベースに統合することで、より網羅的な管理と様々な用途への活用を可能にした。
また、公園施設メーカーから提供された公園施設の3Dモデルデータ(OBJ形式)を、FMEを活用して3D Tiles形式に変換することで、Cesium ion、CesiumJSで構築された3D地図で3Dでの配置シミュレーション(既存施設の移設、新設及び廃止)ができる環境を整備した。
さらに、巡回点検アプリと公園管理アプリ間の連携においては、巡視員が巡回点検アプリを使用して異常を報告した際や、マネージャーが公園管理アプリを使用して巡視員に対応指示や確認コメントを送信した際に、使用しているスマートフォンにSMSを一括送信する機能を開発し、情報共有の迅速化及び対応漏れの防止を図った。また、巡視員や修繕係へコメントを送信する際の画面では、入力を簡単化するラジオボタンの導入や、対応進捗状況を確認できるステータスバーの表示など、実務での利便性向上を目的とした機能を搭載した。

公園管理アプリを用いた異常報告の確認

新規で地上・地下にある施設の基本情報を現地で参照しやすくするための情報閲覧ARアプリをUnityで開発した。本アプリは、データベースに登録されている3Dモデル及び施設情報を参照し、ユーザーの現在地に応じた地上施設・地下埋設物施設の3DモデルをCesium for Unityを用いてスマートフォン画面上に表示する。そして、3Dモデルをタップすることで施設の属性情報が確認できる機能を開発した。施設位置の精度向上を図るため、ユーザーの現在地取得では、ARCore Geospatial APIを利用する「VPSモード」と、QRコード(緯度経度を記述したJSONへのリンク)を読み込む「QRコードモード」の2種類のモードを用意した。また、3Dモデルを適切な位置に表示させるため、カメラから100m以内を標準とした描画範囲を設定し、表示範囲を10m~100mまで変更する機能と表示高さを上下に調整する機能も実装した。

本実証は、各アプリの主な想定ユーザーの違いを考慮し、2回に分けて実施した。巡回点検アプリについては、公園管理センターの巡視員、修繕係及びマネージャーを対象として、テスト利用後にヒアリング及びアンケートを通して有用性を検証した。公園管理アプリと情報閲覧ARアプリについては、公園事務所の職員を対象として、テスト利用後にヒアリング及びアンケートを通して有用性を検証した。また、システムの将来的な社会実装を見据えて全国の国営公園の関係者や公園施設メーカーを対象として、実証閲覧(WEB配信を含む)後にアンケートを実施し、巡回点検アプリ・公園管理アプリ・情報閲覧ARアプリの機能や使いやすさ等を評価した。

検証で得られたデータ・結果・課題

巡回点検アプリの検証では、実際の巡視員と修繕係及びマネージャーを対象に、日常の巡回点検や遊具の破損等を仮定した異常対応のシミュレーションを実施した。アンケート調査により、前年度の実証にも参加した巡視員及びマネージャーからは、日常点検で1日あたり20分程度、異常発見・報告時には1回あたり20~25分程度の時間短縮が見込めるとの回答があり、前回実証時よりも15分程度の時間短縮効果が見込めるとの評価を得た。
さらに、オフライン機能により通信環境が悪い場所でも異常報告が可能となったこと、及びSMS機能、対応未完了のインシデント閲覧機能により報告内容がリアルタイムで全利用者に共有されることで、迅速なインシデントの解決に繋げられる。NFC機能に関しては、GPS情報のみでは判断できなかった施設への出入り(点検又は休憩など)の識別が可能になった。ただし、新規開発したNFC機能については、各巡視員の点検時の動線や所作に基づくNFCタグの設置場所の最適化を図る必要があることや、対応未完了のインシデント閲覧に関して、「コメント欄の文字が小さい」「登録日時が表示されておらず、最新のものや時系列がわかりづらい」等の意見が寄せられ、表示の文字サイズ調整や時間情報の追加などいくつかの改善点が明らかになった。

巡回点検アプリ画面(インシデント一覧画面、点検メニュー画面、地図画面)

次に、公園管理アプリについては、越後丘陵公園事務所職員による実証実験を行い、併せて全国の国営公園の関係者や公園施設メーカー向けにもリモートで検証を行った。アンケート調査の結果、3Dモデルを活用したRDBMSにより、これまで分散していた公園施設情報を検索、抽出、出力等できることから、任意の施設情報を閲覧し共有する際の作業時間の短縮や業務の省力化が見込めると評価された。また、配置シミュレーション機能を導入したことで、3Dモデルを活用した公園施設の配置検討が可能となり、システム利用者自身の現状の施設配置への理解が深まるとともに、将来イメージの共有が容易になった。今回、遊具メーカーから入手した3Dモデルを扱うことにより、業務効率化だけでなく、遊具のスケール感を考慮しながら、利用者の動線や安全領域にも視点が向けられ、現行の図面等での検討よりも効果的な施設配置検討ができる可能性があることが知見として得られた。さらに、3Dモデルを提供した公園施設メーカーからは、自社製品への理解促進や新規遊具の提案活動の一環として3Dモデルデータの利用促進が期待できるという観点で高い評価を得た。また、地下埋設物の情報もデータベースに統合され、包括的な施設管理が実現した。一方で、3Dモデルのデータ容量が原因で反応速度が低下することや、事務所のパソコンの入れ替えやメモリの増設が必要となる可能性、操作の習熟に時間を要するなど、いくつかの課題や懸念が確認された。

インシデント管理画面(公園管理アプリ)
配置シミュレーション画面

最後に、情報閲覧ARアプリでは、越後丘陵公園事務所の職員や北陸地方整備局等の職員により現地で検証を行い、その様子を国営公園の関係者もリモートで閲覧した。ARによる地上・地下施設の可視化機能では、配置シミュレーションの結果を現地で確認し、外部から提供される3Dモデルや既存の公園施設の3Dモデル等を管理し配置検討を行う業務にも適用できる可能性があるとの評価が得られた。また、実証閲覧者からも、現地でのAR確認により、これまでの図面等での確認よりも公園施設の情報を共有しやすくなることに期待する声も挙げられた。一方で、現地でのモデル表示速度や、アプリ画面内の文字の大きさ、ボタン表示などの一部UI、操作性については、さらなる改善が必要との指摘もあった。さらに、現在地取得のためのモード別試行では、VPSモードは手軽に利用できるが、特徴点がまばらである園内では、場所によって位置がどの方向にもズレやすい傾向があり、目視による位置補正機能が効果を発揮することがわかった。一方、QRコードモードでは比較的安定して現在地の取得でき、漏水箇所周辺の管種や付属情報の確認まで行うことができたものの、事前にQRコードを設置する手間が課題となった。以上を踏まえ、園内の環境や運用体制に応じて両モードを適切に使い分けることが重要と考えられる。

情報閲覧ARアプリ画面

以上のように、3つのアプリケーションの機能は、公園内の巡回点検及び個別施設の情報管理・利用において、既存の業務をカバーするとともに業務効率化に寄与できることが分かった。一方で、当初想定していたUI/UXの改善に取り組んだものの、高齢者向けの表示サイズ調整や操作性の課題が依然として残されていることが明らかとなった。また、3Dモデル活用に対応するハードウェア環境の整備など、新たな運用上の課題も具体化された。

参加ユーザーからのコメント

(巡回点検アプリ)

【越後公園管理センターの職員】

⚫ 異常の報告受ける側で状況が分かりやすくなって対応が取りやすいと思う
⚫ センターへの連絡が正確に伝達できて対応が早くなっている
⚫ タグの位置が一定でなく、扱いづらいが、利便性があると思う

【国営公園の管理者】

⚫ 表示ボタンが大きく表示されていて、押しやすくて良いと思う
⚫ 音声入力は便利だと思うが、音量、滑舌等の明瞭さ等によって便利が左右される懸念がある
⚫ アプリの画面切り替わりが遅く感じる

(公園管理アプリ)

【越後丘陵公園事務所の職員】

⚫ 3Dモデルを使用すると、遊具で遊ぶ人の動線が考えやすくなると思う
⚫ 施設の管理業務において時間の短縮が図れると思う
⚫ PCスペックによって変わってくると思うが、反応速度が遅いと感じた

【国営公園の管理者】

⚫システム操作の習熟が必要
⚫3Dだと配置検討のイメージがしやすい
⚫データが重そうで、利用しづらそう

【メーカー】

⚫遊具配置のイメージが共有しやすいと思う
⚫(営業方法として)3Dデータを移動させるだけなので簡単だと感じる
⚫細部まで作りこむと重いので、単純化した軽いデータを準備する必要があると感じる

(情報閲覧ARアプリ)

【越後丘陵公園事務所の職員】

⚫配置などを検討する時に、いろいろな方向から確認できる
⚫現地でも情報閲覧アプリで施設の位置を動かせるようになると良い

【国営公園の管理者】

⚫現地での情報共有に有効だと思う
⚫(ボタンの)選択肢に検討の余地あり、幅広く意見を収集してはどうか

今後の展望

公園内の巡回点検及び施設の情報管理・利用において、本システム及びアプリを実体験した国営越後丘陵公園事務所や越後公園管理センターの職員、実証に際し現地参加又はWebで閲覧した公園管理関係者へのアンケート調査やヒアリングでは、既存業務の効率化に寄与する、3Dモデルによりイメージがしやすい、などの評価を得た。

一方で、アプリ内の文字サイズが小さい点や、一部操作においてアプリの反応速度が遅くなる点など、ユーザビリティに関する課題が明らかとなった。また、NFCタグ設置場所が点検動線上になく効率化を妨げた点や、メーカー等から取寄せる3Dモデルのデータ量が大きすぎた点など、システムの運用面に関する課題も明らかとなった。

これらの課題に対して必要な改修を継続的に実施しながら対応範囲を拡張することで、公園管理業務のDXを促進させることが可能である。この結果、業務効率化や生産性向上に加え、慢性的な人材不足への対応や公園の安全性向上が期待できる。

また、現時点では、国営越後丘陵公園の管理業務を主な対象として設計されたシステムであるが、実証に参加した国営越後丘陵公園以外の公園管理関係者からも、本システム及びアプリの機能について好意的な評価が寄せられている。このため、上記のユーザビリティへの課題を改善するとともに、さらに多くの公園管理関係者からの意見を収集することで、各公園の管理業務の特性に合わせた機能カスタマイズを進め、本システムの他地域への利用拡大を目指す。