大臣会見

大畠大臣就任会見要旨

2011年1月14日(金) 23:07 ~ 23:32
国土交通省会見室
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

この度の組閣によって、国土交通大臣を拝命しました大畠でございます。
また、海洋政策担当大臣も拝命をさせていただきました。
基本的なことは、先ほど官邸でお話をしたとおりでございますけれども、改めて、皆さんの前にまいりまして、経産大臣の時には夜中の12時半から記者会見を行ったのですが、今日は今日の内に記者会見できて良かったと思いますが、遅くまで取材される皆さん方にも大変恐縮でございます。
それで、今総理からこういう方針を中心としてやってほしいという私に対する司令書が出されましたので、基本的なところについては、皆さんにお配りした方が良いだろうということでお配りをしておりますので目を通していただきたいと思います。
その資料に基づいて、官邸での記者会見はさせていただきました。
後は皆さんの方から御質問をいただいて、私からお答えした方がいいかなと思いますが、私の基本的な方針というのは、今日の13時半に総理から官邸に呼ばれまして、国土交通大臣を拝命したわけでありますが、経済産業大臣をさせていただいたときに、とにかく経済のベースは流通や、あるいは交通体系というのは非常に大きな要素でありまして、特に年末にチュニジアに行き、昨日戻ってきたわけですが、サウジアラビア、あるいはUAEやイラクにも行ってまいりました。
各国が日本の社会インフラといいますか、日本に非常に憧れを持っています。
それは、資源もエネルギーもない国が、なぜアメリカに次ぐ経済大国、中国に今日追い抜かれたという話も一部漏れ聞いておりますけれども、いずれにしても、資源もエネルギーもない国が、なぜあれだけの経済大国になり得たのか。
そういう意味では中東等でも我々の資源がいつまでも続くわけではないと、従って、これからは資源を超えた形で、将来の国作りはどうしたらいいのかと、そういう意味では日本を一つの目標というか、手本としてやっていこうという機運が非常に強いわけであります。
それで、その経済を支えているのが、この国土交通省の仕事でありまして、そういう意味では非常に大事な仕事をやっていると。
それから、過去の建設省でも運輸省でもありますが、夢のある部署でございました。
今の国土交通省がうんぬんということではありませんが、今日の幹部の皆さんにも将来ビジョンを明らかにして、そしてやっていこうと、こういう国を作るんだと、こういう日本を作っていくんだという土台を国土交通省がやっているわけでありますから、そういうところをしっかりと国民に提示しながらやっていく仕事が大事だろうと。
とにかく6万人も関係の職員がおるわけですから、みんなが、一人一人が、よし、やろうと、こういう心意気で心を一つにして、世のため人のため国民のために、また国益を大事にしながら仕事についていただきたいと、こんなお話をさせていただきました。
菅総理からは、今お手元に示めしました8項目に渡ってしっかりやるようにという指令を受けましたが、特に観光という4番目のところがございますが、日本は私たちから見ると当たり前の地域社会かもしれませんが、海外から見ると非常に魅力に溢れたところがございます。
そういう意味では、国を開くという一つとして観光立国を目指していかなくてはなりませんし、また、6番目の鉄道分野のインフラシステムの輸出という項目がございますが、これについても非常に海外の方では注目をしているところでございまして、確かに激しい競争はありますが、是非、これまで培った諸先輩方の技術や、あるいはそういう基盤を是非必要とする国々には、提供できるように努力したいと私も考えているところでございます。
以上、基本的な考え方を申し上げさせていただきましたが、後は皆さんの方から御質問をいただいて、それに答える形で進めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

質疑応答

(問)最初にマニフェストに関して伺います。
馬淵前大臣は、今日の退任会見でマニフェストの見直しについては現実的な対応が求められると、それを責任持ってやるべきだといった趣旨の発言をしていたのですが、一方で党内ではマニフェストを着実に進めるべきだという声もあります。
国土交通省では八ッ場ダムとか高速道路の原則無料化、それから休暇分散化といったマニフェストを抱えていますけれども、マニフェストの見直しについて大臣はどのようにお考えなのかまずお聞かせください。
(答)私も一昨年の衆議院選挙で当選をさせていただきました。
これは国民との約束ということですから、マニフェストというのは非常に大切であることは事実であります。
そういうものを踏まえながらも、現実にやるためには現実というものを踏まえてどう対処するのかということは正に馬淵前大臣がおっしゃったのだろうと思いますが、例えば八ッ場ダムの問題についても、私も先ほど官邸での記者会見の中で馬淵前大臣の基本的な方針、1つは一切の予断を持たずに検証を行う、それから生活再建事業に万全を期すという2方針というものを踏まえてやりたいと。
というのは、政策というものは現実の社会に適用する場合には現実というものを踏まえてやっていかなければいけませんから、当然そういう判断というものはあって然るべきだろうと思います。
したがって、基本的にマニフェストというものは国民の皆様と約束をしたものでありますが、方向性としてはそういう方向性を踏まえて選挙を戦ったわけでありますが、現実にその政策を実行する場合には、現実の地域社会と国民の理解と、そういうものを得なければなりませんので、そういう意味ではいろいろと検証することが必要だろうと、私はそう感じております。

(問)もう1点ですが、副大臣、政務官の人事について、来年度の予算の審議が控えておりますが、できるだけ現状の布陣で臨むお考えなのか、入れ替えの規模等について現時点でのお考えをお聞かせください。
(答)まだ大臣を拝命して10時間くらいしか過ぎておりませんので、まだそこまで思考がまわっておりませんでしたけれども、できればこれまで一生懸命やってきた方々の意見を聞きながら、そういうものを踏まえてやっていくのがいいのかなと思うのですが、まだその件については検討しておりません。

(問)海上保安庁の海上警察権の見直しについて、昨年末に馬淵前大臣が検討する組織等を立ち上げられましたけれども、この点についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
(答)馬淵前大臣が今おっしゃった海上警察権のあり方に関する検討の国土交通大臣基本方針というのを1月7日に公表したということは伺っておりまして、いずれにしても非常に大事な問題なので、その課題については私も、先ほど伺ったら日本国は世界で6番目の海洋国であると、そういう意味でその海洋の権限をしっかりと守るために様々な事象が起きておりますから、それに対してきちっと対応するために、馬淵前大臣が政務三役による議論を踏まえて基本方針というものを出されたということでありますから、私もその基本方針を踏まえてしっかりとした世界第6番目の海洋権という位置付けを、特に国益をしっかりと守るために体制の強化をしたいと私もそう思います。

(問)馬淵前大臣は海上保安庁法の見直しについて、早ければこの通常国会にも法案提出ができればということを示唆されていたのですが、大臣はこれについてどうお考えですか。
(答)私もまだ細かいところを聞いておりませんので、その辺をよく聞いて対処したいと思います。

(問)高速道路の件ですが、先ほどの会見の中では 基本的には馬淵前大臣の考え方を踏襲するというような趣旨の御発言をされていましたが、基本的に高速道路を無料にすべきか否かという点について、大臣自身の何か明快なお考えがありますでしょうか。
(答)これも予算が沢山あればそういうことになると思いますが、私も経済産業大臣のときに、法人税の5%引下げで1兆数千億減収になると、では経済産業省の方でその分だけ補填しなさいと、ペイアズユーゴーの原則というものをいろいろ御指摘賜りましたけれども、非常に今、財政が厳しいことは事実です。
ですから、そういう財政の厳しさというものを踏まえて、現実問題はやらなければならないので、基本方針は基本方針としながらも、やはり利用者の方の御意見とか、あるいは関係者の皆さんの御意見とか、そういうものを踏まえてやらなければ、どんなに理想的なものを掲げても前に進みませんから、私としてはもの作りの世界で15年原子力プラントの設計者をやってまいりましたが、どんなに図面に完璧なものを出したとしても、現場で加工できない図面とか、材料がそろわないような図面ではものができないのです。
ですから、あくまでも利用者の御意見とか、あるいは関係者の御意見とか、いろいろ専門家の方の御意見とか、そういうものを踏まえて実施できるような計画を長期的にわたってやるべきかなと、そう私は思います。

(問)関連して、ETCは大臣は必要だとお考えですか。
(答)今、ETCを設置された方がずいぶんおられますよね。
今、日曜日の千円、休日の千円というのがあって、これはETCを設置した方ということなので、すぐにはなかなか民主党のマニフェストどおりのことが現実問題難しいところがありますから、そういう意味では、現在のシステムというものを有効に活用することが重要かなという感じはします。
実は、私は十数年前にシンガポールに行きまして、非常に渋滞を避けるための仕組みというものがシンガポールの町の中であるんです。
朝方渋滞するような所は料金をたくさん取って、そして渋滞が少ない所は安くして、できるだけ渋滞を避けるような形の仕組みがあったんですね。
そのときには自動車もオートバイもプリペイドカードみたいなものを先頭に置いておいて、チェックポイントみたいなものを通過するときに料金を引いているんです。
そういう所にもシンガポールなどはうまく使っていますので、基本的な方針は方針としながらも、現実を踏まえて私はやるべきなのではないかと。
いずれにしても当面は、機械をせっかく取り付けた方もいらっしゃいますし、そういう現在のシステムというのは活用すべきではないかと、私はそう思います。

(問)先ほどの官邸の会見で、公共事業のボリュームについて質問があって、積極的にというお話をされたかと思うのですが、2011年度予算で4%マイナスの数字になっているんですけど、その辺りのボリュームに対してどのようなお考えでしょうか。
(答)これからは全体のボリュームが云々ということではなくて、橋だって、国道の橋はだいたい耐用年数で取り替えたりしているのですが、県道とか市道の橋などはもう耐用年数が過ぎている所もあるんですね。
ですから、例えば建物などでも、消防署で耐用年数を過ぎて建て替えたいけど、予算が無くて建て替えられないところなどあるんです。
ですから、私が申し上げたのは、公共事業についても、その対象物が耐用年数が来れば、当然それを取り替えなければならないし、全体の予算額が云々というよりも、そういうところをきちんとマークしておいて、小学校の体育館だって、地震のときとか災害のときには大変重要な拠点になりますから、そういう意味では、公共物が地震で壊れると困りますから、そういう所については順番的に、予算の許す範囲ですが、積極的に取り替えていくということは大変大事だと思います。
ですから、全体のボリュームということではなくて、お金を有効にどう使っていくかということで考えるべきだと私は思うんです。

(問)少々各論に入って恐縮ですが、八ッ場ダムの関係で、利根川の基本高水の検証を今、前大臣のときから始まってまして、推進派も反対派も納得できるような枠組みで検証していきたいというようなことを馬淵前大臣はおっしゃっていました。
その考えについては、大臣もお変わりないでしょうか。
(答)先ほどの私の「一切の予断を持たずに検証したい」というものの中には当然、基本高水の問題も入っていると思いますし、馬淵前大臣もいろいろ御苦労されながら、そこまで持って行きましたので、私もその馬淵前大臣の御苦労の一つの考え方というのは踏襲したいと思います。

(問)関連で八ッ場ダムの件ですが、まだ就任されて間もないのですが、地元の視察ですとか考えていらっしゃいますか。
(答)私は、物造りの世界で、現場主義できましたけれども、そういう意味では現地の議会とか、あるいは住民の方とか関係者とか、そういう人の話を良くお伺いして、理解と納得が、あるいは理解と協力が得られなければいろいろな施策は実行できませんから、そのためにいろいろと機会を作ってお話を聞きたいと。
お話を伺うと、検討会というのが関連の知事さんでやっていらっしゃるし、幹事会というのが各都道府県の土木部長さんたちがやっていると。
当然、住民の方とか、当該する自治体の市町村の方々にもお会いして、特に議員さんが選挙で選ばれた代表者としておられるわけですから、その関係する市町村の議会の方々ともお話をして、皆様の理解と協力が得られるような形を私自身も努力をしたいと思います。
私はイラクまで行ってきましたから、必要があればどこにでもまいります。
イラクまで行くのに大体17時間掛かりました。
サウジアラビア、あるいはチュニスに行くのには確か24時間ぐらい掛かりました。
ですから、どこにでも行って、直にお会いして話をしっかり聞きたいと思います。

(問)具体的に時期というのは。
(答)まだ、今日の13時に拝命したばかりですから、事務次官や皆さんのお話を聞いたり、あるいはこれまで御苦労されてきた副大臣、政務官もおられますので、そのお話を伺いながら対応していきたいと思います。

(問)今までのお話にも包含されていたかと思いますが、個別の施策についてかなりの部分は馬淵前大臣の施策を踏襲されると思いますけれども、就任されたばかりですが、あえて今御自身のカラーをこのようなところで出したいとか、そういった思いがあればお願いします。
(答)私のカラーは、ブルーカラーでいこうと思います。
建設省と運輸省と国土庁と北海道開発庁の4つの部分が集まったということなのですが、非常に幅広い仕事をしています。
6万人といったら大企業です。
それもまた優秀な人がたくさんいるのですから、その職員の方々が未来の日本は我々が国民の声を聞きながら、地域の声を聞きながら作っていくんだと。
こういう意味では、明るい国土交通省であって欲しいと思います。
たまたまブルーの紙のファイルをお借りしたのですが、今国民も非常に世相的にも暗い話が多いので、明るい未来図というのが見えていないと思います。
見えていないというか、私たちが提供していないことが悪いのですが、これからの日本というのはこういう国になるんだということを単に東京だけでなく、各都道府県の地方都市が今本当に疲弊していますから、そういう地方都市の方々も自分たちの声や意見でまちづくりができると、そういう環境を整えて、そのための環境整備を国土交通省がやっていきますというようなメッセージを出すことができたらと、そのような思いを持っています。
したがって、明るいブルーカラーを国土交通省のカラーにしたらどうかと。
国民に対して、少しでも明るい展望を持つことができるような国土交通省であって欲しいと私は思います。

(問)JALの再建について、総理からも再建に取り組むようにと指示があったと思いますが、一方で、再建の中でJALは170人の整理解雇を実施したという経緯があります。
この整理解雇を実施したということに関して、御所見をお願いいたします。
(答)まだ深く状況については把握していないところもありますが、私も労働組合出身でありますから、いろいろと複雑な状況になっているのかなと思うのですが、会社の再建ということも図らなければならないし、指名解雇というのは一番厳しいものですので、どういうふう対応すべきなのか、よく事務方と、またJALの方からもお話を聞いてなんとかお互いに理解できるような形でなんとか収束できないかなという思いはありますが、よく調べたいと思います。

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