大臣会見

石井大臣会見要旨

2017年7月21日(金) 10:39 ~ 11:00
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私の方から1点御報告がございます。首都高日本橋区間の地下化についてです。
先の東京オリンピックに合わせまして、緊急的に整備された首都高速道路は首都・東京の大動脈として大きな役割を担ってきましたが、現在から振り返れば既存の河川上空などを無理に活用した結果、老朽化が進む一方で貴重な水辺空間を消失するなど、都市の景観や快適さを損なうこととなりました。
その典型的な例が日本橋上空の首都高であり、地元からは日本橋に青空を取り戻すべく、これまで10年以上に渡り首都高の地下化について様々な提言や要望が行われてきたところです。
現在、日本橋や兜町周辺では、国際金融都市の実現に向けまして、様々な再開発事業が民間の発意により展開しようとしていることを踏まえ、中央区より「地下化への協力について、責任を持ち全力で取り組む」との申し入れが国、東京都に対してなされました。
こうしたことから日本橋周辺のまちづくりと連携し、民間の活力を取り入れることでコスト縮減策や費用負担も含めた地下化の具体的な計画調整・検討について、関係者間で前向きに協力していく環境が整ったことを踏まえ、単なる老朽化した首都高速の更新にとどまらない、魅力ある都市景観の再生のため、東京都などと協力して首都高速の地下化に向けて取り組むことといたしました。
今後、東京都をはじめとする関係機関と具体的な計画案を検討してまいります。
詳細は後ほど、事務方から説明させます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)昨日、概算要求基準が閣議了解されましたが、これを踏まえ国土交通省としてどのようなテーマに力を入れていきたいのか、大臣のお考えをお伺いします。
(答)概算要求基準におきましては、「新しい日本のための優先課題推進枠」として、「人づくり革命」の実現に向けた人材投資や地域経済・中小企業・サービス業等の生産性向上に資する施策をはじめといたしまして、骨太方針や未来投資戦略等を踏まえた諸課題について、重点的に要望できることとされております。
生産性向上については、現在生産性向上や新たな市場の創出につながる工夫度の高い「生産性革命プロジェクト20」の具体化を国土交通省として進めているところです。
人材に関しては、今後、生産年齢人口が減少する中で、建設業、運輸業、造船業や観光業等の担い手の確保・育成が重要な課題です。
このため、本年3月に決定された「働き方改革実行計画」に基づきまして、処遇改善の徹底、教育訓練の充実強化、若者や女性等の活躍促進などの働き方改革をはじめとする施策にも取り組んでおります。
また、ストック効果を重視した公共投資により経済成長を図り、経済再生と財政健全化の双方を実現するため、必要な公共事業予算を安定的・持続的に確保することが不可欠です。
こういった観点から、通常の要求及び「新しい日本のための優先課題推進枠」を最大限活用した概算要求の内容について、今後しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

(問)今お話がありました、首都高の地下化について伺います。
まず、目標とされる着工時期、竣工時期、それと事業費の総額見込みについてお願いします。
(答)まず、スケジュールということですけれども、今回の首都高速の地下化は、現時点でまず目標を申し上げる状況ではありませんが、関係機関や関係事業者と協力して、できる限り速やかに検討を進めていきたいと考えています。
いずれにせよ、事業の着手は早くてもオリンピック後となる見込みです。
それから事業費でありますけれども、地下化に要する事業費については、まずコスト縮減を図りたいと考えています。
1つは地下化する対象区間をなるべく精査をして短縮していくということ、更に八重洲線など既存の地下施設がありますからそれを活用することなどの検討によりコスト縮減を図りつつ、今後地下化の計画を具体化する中で事業費については整理をしていきたいと考えております。
(問)今の御答弁との関連ですが、対象区間につきまして、竹橋・江戸橋両ジャンクション間という報道が一部でありますが、この点はいかがでしょうか。
(答)その点も含めて、今後関係機関と協議をしていくという予定でございます。
(問)コスト縮減につきまして追加で質問ですが、日本橋の再開発、都市開発の一環として事業が行われることによって、民間からの利益還元ですとか、そういうこともどの程度想定されているのか。他方、税金あるいは首都高速道路の利用料金の値上げ、これについては可能性があるのかどうか、お願いします。
(答)開発事業者からの利益還元ということについては、具体的には今後調整をいたしますけれども、首都高速の地下化と再開発事業が連携して整備する際に、一体として整備をしていただくということを想定しているところでございます。
また、税金投入云々については、今後計画を具体化する中で整理する予定でありまして、現時点では未定でございます。
首都高速の料金ですけれども、事業費の確保については様々な工夫を行いつつ、今後関係機関と調整してまいりますけれども、今回の地下化のために首都高速の料金を上げることは想定しておりません。

(問)本日9時から荒川水系で20%の取水制限を行うことが決まりました。
生活用水や農業用水などにどのような影響があるのでしょうか。
また、今後の天候の予報などに鑑みますと、夏に向けてますますダムの貯水量が厳しくなることが予想されます。
見通しについてお聞かせください。
(答)荒川水系では、中上流域の本年1月から6月の合計降雨量が平年の約6割と少なくなっておりまして、特に6月の降雨量は平年の4割強という小雨でございました。
このため、荒川水系の上流4ダムの貯水率が平年の約6割まで低下したことから、7月5日より10%の取水制限を既に実施しております。
その後、貯水量が回復するまでのまとまった降雨がなく、今後の水需要に対応できないことが想定されることから、昨日20日に第3回荒川水系渇水調整協議会を開催いたしまして、本日21日から荒川水系の取水制限を20%に強化することとしたところであります。
一方、荒川を含めた首都圏の水利用は、荒川に加え、利根川水系の水源もございますし、また、荒川・利根川間には武蔵水路等のネットワークでつながっているということもありますので、荒川の取水におきましても、利根川水系の上流8ダムの水源も活用しているという状況がございます。
今回の取水制限の強化に伴いまして、東京都及び埼玉県における水道用水では、利根川水系等他の水源からの取水や自己水源の活用等によりまして、市民生活や各種生産活動に大きな影響は生じないと聞いております。
また、埼玉県の農業のかんがい用水におきましては、きめ細やかな取水施設等のゲート操作により、作物への影響を最小限とすると聞いているところであります。
今後の見通しでありますけれども、関東地方は19日に梅雨明けをいたしまして、8月の関東甲信地方の降水量は平年並みか少ない見込みという予報がでております。
今後も、少雨傾向が続き、ダム群の貯水量の減少が続く場合には、来週以降に荒川水系渇水調整協議会を開催し、取水制限率の引き上げについて協議すると聞いております。
国土交通省といたしましては、7月5日に設置いたしました国土交通省渇水対策本部等を通じまして、引き続き、渇水に関する情報を関係者間で共有、発信するとともに、渇水の状況を注視し、対応に万全を期してまいりたいと考えております。
更に、関係省庁と連携を強化し、渇水の状況を見極めつつ、必要な対応を行ってまいりたいと考えておりますが、国民の皆さまにおかれましても、限られた水資源の有効活用をお願いしたいと思っております。

(問)首都高について2点お伺いいたします。
1点目は首都高の日本橋の地下化構想は随分以前からありまして、国土交通省も有識者会議などで前向きな方向を示されていたと思うのですが、今ここになって改めて動き出したのは、何か新しい制度の変更があったのか、もしくは課題だった財源の目途がついたからなのか、なぜ今になって進み出したのかというのを教えてください。
それからもう1点は、冒頭の発言で、この工事について民間の活力を取り入れるということを仰ってましたが、PFIなどを念頭においているのかというのを教えてください。
(答)まず、このタイミングで地下化を発表した理由でございますけれども、今御指摘ありましたように、日本橋付近の首都高速の地下化については、小泉元総理の指示により検討されました「日本橋に空を取り戻す会」などをはじめ、これまで有識者や地元の方々を交えて様々な議論がなされてきたところであります。
一方、日本橋や兜町周辺では、国際金融都市の実現に向け、民間の発意により再開発事業が展開しようとしていることを踏まえまして、中央区より「地下化への協力について、責任を持ち全力で取り組む」との申し入れが国、都に対してなされたところであります。
こうしたことから、首都東京の象徴の一つである日本橋の都市景観を再生し、地域の魅力を向上させる民間の取組を支援するとともに、首都高速の老朽化対策を進めるといったことで、様々な環境が整ってきたといったことから、東京都などと連携し、首都高速の地下化に向けて取り組む方針を発表することとしたところでございます。
それから民間の活力を取り入れるということは、日本橋周辺の再開発と連携して実施をするということを考えておりまして、PFIを想定しているものではございません。

(問)首都高地下化に関してなんですが、この日本橋周辺の景観についてありましたけれども、大臣御自身はこの景観についてどういう風に思われていますでしょうか。
(答)造った当時は、オリンピックに合わせて緊急的に整備するということで、やむを得なかった面もあるとは思いますが、今後のことを考えた場合、やっぱり都心に良好な水辺空間を取り戻すということは非常に重要なことであると考えております。
(問)ヒアリの件についてお伺いします。
関係閣僚会議がありまして、そちらの方で議論をとりまとめて、今後対策に取り組まれると思うのですけれども、こちらについてどのように取り組んでいかれるのか、お考えをお聞かせください。
(答)昨日、ヒアリ対策関係閣僚会議が開催されまして、各省からヒアリ対策の取組が説明されました。
国土交通省からは、私が参加をいたしまして、国土交通省における取組について説明いたしました。
また、総理からは、ヒアリの侵入、定着を防止するため、あらゆる事態を想定し、先手先手で、ヒアリ対策に取り組んでいくようにとの御指示がございました。
国土交通省としましては、これまで中国、台湾等からの定期航路を有する68港湾及び国際線が就航します29空港でのヒアリ対策や緊急点検等の要請、更に、倉庫、トラック、鉄道業界等に対し、注意喚起を行ってきたところであります。
また、新たに、ヒアリの定着防止のため、ヒアリの生息環境になり得るコンテナヤードの舗装の隙間を埋める対策を早急に実施するというところでございます。
一方、関係閣僚会議において、あらゆるルートを通じて、ヒアリの情報提供を行っていくという総理からの御指示を踏まえまして、国土交通省におきましても、鉄道の駅や港湾の旅客ターミナル、空港など、関連する施設等においてもヒアリの広報に協力するよう関係部局に指示したところであります。
今後も環境省をはじめ、関係省庁と連携いたしまして、ヒアリ対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

(問)日本橋の件でお聞きしたいのですが、日本の道路の始点でもありますし、古くから東京の象徴的な場所だと思うのですが、外国人観光客の誘致等、地下化することによって、例えば、観光的視点からどんな場所になって欲しいなと、大臣はお考えなのかお聞かせください。
(答)日本橋は御承知のとおり日本の道路元標のあるところで、日本の道の原点、出発点という非常に象徴的な土地でありますので、今後首都高が地下化され、日本橋の上空から、すっきり澄み渡った空が見える、そういう素晴らしい景観に生まれ変わることは当然の事ながら観光面でも大きな拠点になり得るものと考えております。
(問)費用の縮減については色々これから工夫するというか図っていくという話だったと思うんですが、実際に費用の負担の割合とか今後議論していくことになるというイメージで良いのでしょうか。
今の段階で、ある程度何かお話が出ていることとか、東京都との間でやり取りしていることとかで、ある程度見えていれば教えて頂きたいのですが。
(答)今後の事業費は、計画の具体化と合わせて負担も同時に整理していくことになりますけれども、まず首都高速の更新事業として確保している予算がございますので、それを中心としつつ、開発事業者が受ける利益還元などについても検討を行うなど東京都をはじめとする関係者間で調整していきたいと考えています。

(問)度々同じ質問で申し訳ございませんが、昨日閣議でも大臣以下皆さん集まってヒアリの事を取り上げたようですが、今日の朝のテレビ、また新しいニュースとして、台湾に入ったヒアリは当初見落としていたそうですが、空港に貨物便で入った大きな貨物の中から見つかったのは、水際対策ができていなかったのが発生した原因と聞いております。
日本も貨物便、成田とか関空に専用でフェデラルエキスプレスという米国からの便がたくさん入っていますが、台湾に入ったのも米国からの便が原因だと聞いております。
そういった航空貨物便に対する調査の結果は出たのでしょうか。
(答)前回も御説明した通り、国際線が就航する29空港において緊急点検するよう要請したところです。
今現在の中間的なとりまとめでは、空港ではヒアリは発見されていないという報告を受けています。

ページの先頭に戻る