大臣会見

石井大臣会見要旨

2018年7月27日(金) 10:42 ~ 11:00
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私の方から2点御報告がございます。
1点目は「JR北海道の経営改善」についてであります。
JR北海道は、平成28年11月に、単独では維持困難な線区を発表して、地域の関係者と協議を進めていたところであります。
これを受けまして、国土交通省におきまして、JR北海道の事業範囲の見直しや経営自立に向けた方策について、関係者とともに検討を行ってきたところでありますが、今般その大まかな方針についてとりまとめましたので、報告いたします。
とりまとめの概要は次のとおりであります。
第1に、JR北海道は、北海道新幹線の札幌延伸の効果が発現する平成43年度の経営自立を目指して、徹底した経営努力を行うこと。
2点目に、事業範囲の見直しにつきましては、集中改革期間を設け、JR北海道と地域の関係者が一体となって、利用促進やコスト削減等の取組を進めること。
3点目に、JR北海道による徹底した経営努力を前提として、経営自立までの間、国、地方自治体、関係者等が必要な支援、協力を行うこと。
4点目に、国はJR北海道に対しまして、鉄道運輸機構を通じて、平成31年度及び32年度の2カ年間で400億円台の支援を行うことであります。
また、JR会社法に基づきまして、JR北海道に対し、経営改善に向けた取組を着実に進めるよう、監督命令を発出することといたします。
詳細は後ほど事務方から説明させます。
2点目は「平成30年7月豪雨の土砂災害を踏まえた検証・検討」についてであります。
国土交通省では、平成26年の広島県における土砂災害を受けまして改正された土砂災害防止法に基づき、土砂災害警戒区域等の指定に先立つ基礎調査結果の公表や、土砂災害警戒情報の通知・周知の徹底等、土砂災害に対する警戒避難の強化を図ってきたところであります。
しかし、今回の豪雨災害におきましては、土砂災害警戒区域等の指定や土砂災害警戒情報等を受けた避難勧告等がなされていたところにおいても多数の犠牲者が発生しました。
このことを重大に受け止めまして、ハザードマップ、土砂災害警戒情報等の検証と今後の対策のあり方の検討を行うため、有識者委員会を立ち上げ、その結果も踏まえて、関係機関とも連携して対策を強化することといたしました。
まずは8月10日に委員の現地調査を行う予定であります。
詳細は後ほど資料を配付いたします。
私からは以上であります。

質疑応答

(問)ヤマトホールディングスの子会社、ヤマトホームコンビニエンスが、法人向けの引っ越しサービスに関して17億円の不正請求をした事案について質問させていただきます。
これについて、大臣の所感と国土交通省としての対応について、お聞かせください。
(答)お尋ねの件につきましては、国土交通省におきましても、24日にヤマトホールディングスから、ヤマトホームコンビニエンスの法人向け引っ越しサービスにおいて、過去2年間にわたり、約2600社、約4万8000件について合計約17億円の不適切請求があったとの報告を受けております。
このような不適切な請求が発生し、また、その件数、金額ともに大きなものとなっていることは、利用者の利益を損なうものであるとともに、貨物自動車運送事業に対する信用、信頼を大きく揺るがしかねないものであり、極めて遺憾であります。
国土交通省におきましては、一昨日にヤマトホームコンビニエンスに対しまして、不適切な請求の発生に関連があった営業所についての速やかな報告を求めるとともに、事実関係の詳細の調査、発生原因の究明、再発防止策及びその実施体制などについて、8月中を目途に報告するよう求めたところであります。
ヤマトホームコンビニエンスに報告を求めている状況でありますけども、今後、必要に応じまして、ヤマトホームコンビニエンスに対する監査も含めて事実確認を行った上で、利用者の利益保護の観点も含めまして、貨物自動車運送事業法に基づき、適切に対応してまいります。

(問)JR北海道の支援についてお伺いします。
今回の支援策において、JR北海道の経営改善策として検討されていること、それから監督命令の具体的な内容についてお聞かせください。
(答)JR北海道の経営改善方策としましては、北海道新幹線の札幌延伸の効果が発現をいたします平成43年度の経営自立を目指しまして、札幌市圏内における非鉄道部門も含めた収益の最大化、新千歳空港アクセスの競争力強化、インバウンド観光客を取り込む観光列車の充実、コスト削減や意識改革等の徹底した経営努力を行うこと、事業範囲の見直しについて、集中改革期間を設けて、JR北海道と地域の関係者が一体となって、利用促進やコスト削減等の取組を進めること、JR北海道の経営計画等に盛り込まれた取組について、四半期毎に鉄道局とともに検証し情報を開示するとともに、部門別の収支管理などの体制を整備することなどを盛り込んでおります。
また、JR会社法に基づきまして、JR北海道に対して、経営改善に向けた取組を着実に進めるよう、監督命令を発出することといたします。
JR北海道には、監督命令の内容をしっかり受け止めて、経営改善に向けた取組を着実に進めてもらいたいと考えており、国としましても、しっかりと監督、指導してまいる考えであります。

(問)その監督命令についてですが、支援にあたって監督命令を出された意味合いとはなんなのでしょうか。
(答)JR会社法に基づく監督命令は、鉄道事業の適切かつ健全な運営が行われるよう、特に必要があると認めるときに行うものであります。
国土交通省としては、JR北海道の経営自立のためには、JR北海道自身が不退転の覚悟を持って、収益の増加とコストの削減に取り組み、徹底した意識改革と経営努力を行っていくことが極めて重要と考えております。
そのための具体方策として、今回の文書に盛り込まれた事項をJR北海道に確実に履行させるためには、JR会社法に基づく監督命令という形式が最も適切と判断し、今回発出することとしたものであります。

(問)今回の支援ですね、JR北海道は2030年度までの支援を要望しているわけですが、今回2年間ということで、2021年度以降の支援についてはどのように考えているのでしょうか。
(答)JR北海道に対する国の支援は、国鉄清算事業団債務等処理法に基づきまして、平成32年度末までという期限が定められております。
その後も支援を継続するためには、法改正が必要となります。
法改正を進めるためにも、まずはJR北海道に対して国が支援を行うことについて国民の理解を得る必要があります。
来年度からの2年間で、JR北海道と地域の方々が一緒になってしっかりとした取組を行い、目に見える成果を上げることが重要であると考えております。

(問)最後に確認なのですが、JRの着実な目に見える成果だとか、経営改善の余地というものが見られない場合は、その支援が2年間でストップしてしまう可能性があるのかないのかについて、お聞かせください。
(答)先ほどもお答えしたように、まず法改正を進めるためには国民全体の理解が必要ですから、やはり目に見える成果をしっかりと上げていただくことが重要だと。
上げないという前提で今お答えするのは控えたいと思います。

(問)北陸新幹線についてお聞きします。
昨日、自民党の作業部会がありまして、金沢・敦賀間の建設費が2260億円増加するという報告を国土交通省がされたと思うのですが、それに対する大臣の受け止めと、今後の国土交通省としての対応、工期に遅れがでるのかでないのかというのをお聞きしたいです。
あと、国会議員の方から、貸付料の上積みですとか延長を求める声が出たのですが、それに対する大臣の受け止めもお聞かせ願いたいです。
(答)北陸新幹線の金沢・敦賀間においては建設費が約2260億円増加する見込みであります。
その大宗は、労務単価の上昇や消費税増税による増額、あるいは東日本大震災を踏まえた耐震設計基準の改訂、また関係機関との協議による増ということでありまして、コスト縮減の努力も行いましたけど、やむを得ず2260億円増加するものと受け止めております。
ただ 、建設費は増加いたしますが、平成34年度の開業という目標は変えておりません。
この目標に向けて、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。
財源につきましては、今後、財源の確保の方策については、国土交通省としてしっかりと検討を進めていきたいと考えております。

(問)敦賀以西のことに関してですけども、環境アセスが順調にいけば、敦賀開業後にすぐに着工できるという認識を、国土交通省側として昨日の会合で示したというのがありましたが、大臣の見解をお聞かせください。
(答)アセスメントが終わればすぐに着工できるということではなくて、重要なのは今、詳細なルート、駅の位置の調査をやっておりますし、その後、アセスメントが通常4年くらいかかるのでしょうか、その間に与党の方で財源の検討をしっかりとしていただく。
しっかりとした財源が確保されれば、それは可能になる。
アセスメント終了後に、着工も可能になるかと思います。

(問)確認ですが、JR北海道の経営改善方策と監督命令については、JR北海道側には今日午後にも伝達するということでよろしいでしょうか。
(答)伝達式はいつになりますか?
(事務方)今日の午後になります。

(問)毎度オートバイの話で申し訳ありません。
駐車場法の改正から12年間で確認標章の取付件数が100万台を超えました。
これは、東京都内の登録台数を超える数字なのですが、毎年、国土交通省は東京都など都道府県にお願いをしてきましたが、改めてお伺いします。
国土交通省の働きかけというは、有効に機能してきたのでしょうか。
(答)今、ご紹介ありましたけれども、自動二輪車の駐車場については 平成18年に駐車場法を改正して、建築物に自動二輪車の駐車場の附置を地方公共団体が義務づけることができる仕組みを導入しました。
また、既存の自転車駐車場等における自動二輪車用の駐車スペースの確保を、地方公共団体に対して要請してまいりました。
更に、自動二輪車駐車場の整備を行う地方公共団体に対する財政的支援の実施の取組も進めてまいりました。
その結果、自動二輪車の駐車場の箇所数、駐車場台数につきましては、少しずつではありますけれども、伸びてきていると理解しております。
更に本年7月には、この通常国会で改正をいたしました都市再生特別措置法の改正にあわせて、各地域の自動二輪車の駐車の実態に応じた附置義務条例の改正等を検討するよう、改めて地方公共団体に通知したところでございます。
自動二輪車の駐車問題については、一義的には地方公共団体が主体となって対応すべき問題でありますけれども、東京都へも打ち合わせ等を通じた直接的な働きかけを行うなど今後も地方公共団体と連携しながら、自動二輪車駐車場の拡大に取り組んでいきたいと考えております。

(問)JR北海道の経営改善に向けた取組の1つとして、地域の関係者と十分な協議を前提に、事業範囲の見直しや業務運営の一層の効率化というのがありますけども、JR北海道が平成28年11月に単独維持困難線区を発表してから、JR北海道としては廃線の上でバスに転換すべきというふうに提案している線区も5つほどあります。
ですけれども、中にはまだ、沿線自治体など関係団体との協議が難航して、1年半以上たっても結論がなかなか出ていないという状況があって、この先もなかなか難しいという状況が見込まれますが、そういった現状に対して、国土交通省としては、JR北海道にはどのように臨んでいくべきだというふうにお考えでしょうか。
(答)JR北海道が、平成28年11月に、単独では維持困難な区間を発表して、地域の自治体の皆様等と協議を始めているという状況でございます。
その努力を引き続きしっかりと進めていっていただきたいと。
国土交通省としても、それぞれの協議の場には、北海道庁とも連携しつつ参画をしておりまして、いろんなアドバイス等もさせていただいておりますので、いずれにいたしましても、今回、集中改革期間を設けて取組をすすめることといたしましたので、より従前以上の地域の皆様との協議に向けての努力をお願いしたいと考えております。

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