大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2023年4月4日(火) 11:44 ~ 12:16
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣)

本日の閣議案件で、私から報告することはありません。

質疑応答

防衛力強化に関連した空港・港湾の機能強化について

(記者)

防衛力の強化についてお伺いします。
空港や港湾等の公共インフラの整備や機能強化に向けた、政府横断的な仕組みの創設について国土交通省としてはどういった役割を担うことになるのか、検討の進捗状況や今後のスケジュール感についてお伺いします。

(大臣)

我が国の防衛力強化に関連した空港・港湾の機能強化については、昨年12月に策定した国家安全保障戦略などを踏まえつつ、関係省庁間において、今後の進め方等も含め、事務方で検討を行っているところと承知しています。
国土交通省としては、空港・港湾などの公共インフラを所管する立場として、自衛隊の部隊展開や国民保護などのニーズを踏まえつつ、政府全体での取組みに参画してまいりたいと思っています。

 

自動車の自動運転普及に向けた取り組みについて

(記者)

自動運転について教えてください。
報道発表で昨年度末の30日に福井県の永平寺町(えいへいじちょう)でレベル3の自動運転の実証をやっていましたが、これが国土交通省からレベル4を認めますということで伺っています。
他にもいくつか候補はあるようなのですけれど、今後のレベル4以上の自動運転の普及へ向けた取り組みあるいは課題、こういうところを教えてください。

(大臣)

3月30日(木)、福井県永平寺町で運行する車両について、全国で初めて、道路運送車両法に基づき、運転者を必要としない、いわゆるレベル4の自動運転車として認可しました。
この車両は、自動運転を継続することが困難な状況が生じた場合には安全に停止することが可能であり、車内にも遠隔地にも運転者を必要としないものです。
今回の認可により、今後、道路交通法の許可を得た上で、運転者を配置せずに自動運転移動サービスを行うことが可能となります。
レベル4の自動運転車を使用した移動サービスの実現により、地域公共交通の維持・改善、ドライバー不足への対応など、様々な社会的課題の解決につながることを期待しています。
国土交通省としては、このようなレベル4の自動運転移動サービスを全国に展開すべく、実証事業を行う地方公共団体に対する支援を行っており、実証事業に取り組む地域の更なる拡大を目指して参りたいと思います。

(記者)

特に、2番目、3番目の候補地として想定されているところはありますか。

(大臣)

はい。
今、候補地として考えているものはあります。
手が挙がっている地方自治体もあります。

北海道新幹線延伸部分の費用対効果について

(記者)

3月31日に北海道新幹線(新函館(しんはこだて)北斗(ほくと)ー札幌(さっぽろ)間)の費用対効果が事業費の大幅な増額を受けて、「0.9」になったと発表されました。
近年、北陸新幹線(金沢(かなざわ)ー敦賀(つるが)間)をはじめ、本来の着工条件である「1.0」を下回る区間が相次いでいますが、今後、国土交通省としてどう対応していくか、大臣の御見解をお聞かせください。

(大臣)

今回の再評価は、2017年度に行った前回の再評価から5年が経過したこと、それと、昨年末の「北海道新幹線(新函館北斗ー札幌間)の整備に関する報告書」に基づく事業費の見直し、この2点を踏まえて行ったものです。
今回の再評価では、事業全体の投資効率性を評価する「全体事業B/C」が0.9であった一方、事業継続による投資効率性を評価する「残事業B/C」が1.3となりました。
「公共事業評価の費用便益分析に関する技術指針(共通編)」などにおいて、残事業B/Cが1を超えている場合、基本的にその事業を継続することとされているほか、沿線地域の活性化を通じた交流人口の拡大など、貨幣換算が困難な効果も含めて、総合的に判断することとしています。
今回の事業については、これらのB/Cに加えて、今申し上げた貨幣換算が困難な効果も含めて総合的に評価し、事業を継続することが適切であると判断しています。
国土交通省としては、引き続き、更なるコスト縮減等を図りつつ、関係者の皆さまと協力をしながら、北海道新幹線の着実な整備に努めてまいりたいと思います。

航空会社におけるシステム障害について

(記者)

昨日、全日空でシステムトラブルがありまして、多くの便に遅れや欠航が相次ぎました。
多くの方にも影響が出ています。
大臣のこの件に関する受け止めと国土交通省の対応をお願いいたします。

(大臣)

まず、国土交通省の対応ですが、昨日、3日(月)の14時過ぎ頃から、ANA、ソラシドエア、エアドゥ、スターフライヤー等のシステムに障害が発生し、予約・発券・搭乗手続等ができない状態となりました。
その後、代替システムを稼働させることにより、システムは順次復旧しましたが、多くの便に遅延・欠航が発生しました。
今回の事案では、多くの利用者の方々に影響が生じたことから、昨日、航空局から各社に対し、旅客の対応に万全を期すとともに、原因の究明に努めるよう、指示をしたところであり、各社において、必要な対応に当たっていただきたいと考えています。
もう一つの所感ですが、やはり大変多くの方に多大な影響があったということで、大変遺憾に思います。
これを真摯に受け止めて、特に原因究明に努めて、再発防止をやっていただきたいと考えます。

元国土交通事務次官による民間企業役員人事への介入について

(記者)

元国交事務次官の空港施設会社への人事介入問題でお尋ねいたします。
人事介入が疑われる東京メトロの元次官の本田(ほんだ)氏について、大臣は先日事実関係の確認を行う考えを示されていましたが、この聞き取りについて、いつ行い、聞き取りの内容がどうだったか教えていただけますでしょうか。

(大臣)

本田元国土交通事務次官に対するヒアリングです。
私からの指示により、昨日午後、大臣官房長及び大臣官房人事課長より対面にて実施しました。
冒頭、元事務次官より、自分の言動が国会や国土交通省に多大な迷惑をかけていることについてのお詫びがありました。
昨年12月13日に空港施設株式会社を訪ね、(のり)()社長と稲田(いなだ)会長に面会し、国土交通省OBの山口(やまぐち)副社長を今年6月に予定される役員人事で社長にするよう求めたとの報道について、事実であるか確認したところ、事実であるとの回答がありました。
乘田社長からは、会社としての手続きを踏んで決定するものであるとして受け入れられず、それ以降は何もしていないとのことでありました。
その面会において、山口氏が社長に就任すれば「国交省としてあらゆる形でサポートをする」と発言した趣旨を確認したところ、「山口氏の先輩や同僚であった国土交通省のOBとして注意をしたり相談に乗る」との趣旨であり、「国土交通省やその職員の権限を笠に着て何かをお願いしたい」との趣旨では全くないとのことでした。
「方針が固まった」と発言した趣旨を確認したところ、「幾人かの私の周りの方々がそういう考えを持っていることで一致していた」との趣旨であり、「幾人か」が具体的にどなたであるか確認したところ、小幡(おばた)正人(まさと)元事務次官及び安富(やすとみ)正文(まさふみ)元事務次官との回答がありました。
両名は「有力なOBの名代」との発言の「有力OB」とも合致するとのことでした。
一方で、これらのOBから、国土交通省の今の行政や権限についての言及は一切なかったとのことでした。
また、空港施設株式会社の代表取締役人事に関し、国土交通省の現役職員からの依頼の有無を確認したところ、その事実はないとのことでした。
あわせて、有力OBによる組織的なOBの採用あっせんの有無を確認したところ、あっせんを目的とした組織的な活動や話し合いをすることはなく、OBについての個別の御相談や御要望をお聞きすることがあるとのことでした。
これらを受け、国土交通省が本件に関与しているという誤解を招きかねないものであり、大変遺憾である。
国家公務員OBによる再就職に係るあっせんについては、国家公務員を退職した方々が、現役時代に担っていた公務に係る権限を行使可能であるかのような誤解を招かないよう、自覚を持っていただきたい。
と、注意喚起を行い、本人から「重く受け止めたい」との発言があったところです。
ヒアリング内容の詳細については、後ほど、事務方から説明をさせます。

(記者)

今の中でOBによる組織的な関与はないとのことでしたが、具体的な名前が複数挙がっている中で、組織的な関与がないということにしろ、複数のOBが関わって、再就職のあっせんというようなことを行っているというような形がかなり鮮明に浮かんできたと思うのですが、大臣はこの件についてどのように受け止めていますでしょうか。
質問の趣旨としては、複数のOBが関与していることがかなり濃厚になってきたと思うのですが、国土交通省OB複数が関わっている事態になっていることをどのように受け止めていらっしゃるかということです。
今回、新たに2名、OBの名前が上がってきたと思います。
今までにも増して、OBの組織的な関与はないという話はありましたけれど、これだけ複数の人の名前が挙がっているということは組織的な関与というふうに言われても仕方がない形になってきているのかなと思います。
大臣としてこの点、どのように受け止められていますでしょうか。

(大臣)

その点に関しても確認をさせました。
今回のヒアリングはもう一度、申し上げますが、私から、大臣官房長、大臣官房人事課長に対して、かなり厳しく、こういう点を聞けと、指示をしまして、聞きました。
かなり厳格なヒアリングができたと思っています。
そういう中において、御指摘のいわゆるOBが組織的に行っているのではないかとの疑問点についても、大変重要な点なので、確認をしましたけれど、先ほど申したとおり、組織的に行っていることはないと。
もちろん、OBの間で、いろいろな懇親とかあるけれど、組織で、また、再就職に関する相談をすることはないという明確な答えが返ってきているところです。

(記者)

続いて、昨日の決算委員会の中で大臣が、同様に空港施設や空港施設副社長の山口氏に対して、聞き取り、事実確認を行う意向を示されていたと思うのですが、こちらについても、いつ確認を行いどのような内容だったのかということを教えていただけますでしょうか。
また、併せて山口氏が国土交通省の意向として、同社の副社長のポストを求めていたこと、また、それで辞任に至ったことについてどのように受け止めていらっしゃるかお聞かせ願えますでしょうか。

(大臣)

まず最初の御質問ですが、私からの指示により、昨日午後、大臣官房長及び大臣官房人事課長より山口氏本人に対し、電話にて実施しました。
山口氏からは、一昨年5月31日の役員会議での発言について、「バックにいる人たちがどう思っているかということ」との発言、及び「お役所が納得しないということか」と問われた際に「そうだ」と発言した趣旨を確認したところ、歴代の社長に国土交通省OBが就任していることから、OBの皆さんが自分に期待していると想像したことによる発言であるとのことでした。
自身が副社長に就く案を変えるとなると議論が「やり直しになってくる」と発言した趣旨を確認したところ、自分が副社長としてJALとANAホールディングス出身の社長・会長を支えることで出身母体のバランスをとることが、社長・会長を引き受けていただいたことの前提であると考えたことによる発言であるとのことでした。
航空局の権限に触れ、「ある種の現物出資をしている関係にある」、「協力の証し」と発言した趣旨を確認したところ、国有地の使用許可を受けるとともに、主要株主のJALとANAホールディングスが東京国際空港の発着枠を使用している等、当社の置かれた事業環境を踏まえれば、航空局も航空会社と同じように大変重要なステークホルダーの一翼を担っている旨、会議参加者に説明したつもりでした。
他の参加者から権威を笠に着ていると受け止められたのであれば大変遺憾であり、不信を招いたことを反省しているとの説明がありました。
「航空局側から見れば」と発言した点について、航空局職員とのやり取りを確認したところ、一切なく、OBの人達からいろいろと期待されていることを念頭に置いて発言したものであり、航空局や国土交通省の現役の方とは話をしたことは一切なかったとの説明がありました。
これらを受け、「国土交通省が本件に関与しているという誤解を招きかねないものであり、大変遺憾であり、今後、誤解を招かないよう、自覚を持っていただきたい。」と、注意喚起を行ったところ、既に報道発表がなされていますが、本人から「東証プライム市場上場の企業として混乱を招いた責任を取り、代表取締役を辞職する旨、社長に伝えた」との発言があったところです。
ヒアリング内容の詳細については、後ほど、事務方から説明をさせます。
それから後段の問ですが、まずこういう発言について、御本人の趣旨は先ほど我々がヒアリングしたとおりだったかもしれませんが、あたかも国土交通省がバックにいる、その権威を笠に着ていると誤解されても致し方ない発言であり、大変遺憾であると思います。
それから2点目、辞任についての私の受け止めですが、先ほどの説明のとおり、山口氏が社内会議において航空局の権限に触れて、当社のおかれた事業環境を会議参加者に説明したつもりだったが、他の参加者から権威を笠に着ていると受け止められたのであれば大変遺憾であり、不信を招いたことを反省しているとの説明がありました。
私としてもこの発言は、国土交通省が上場民間企業での役員人事に関与しているという誤解を招きかねないものであり、はなはだ遺憾であると考えています。
また、山口氏の辞職については、聞き取りでは、東証プライム市場上場の企業として混乱を招いた責任を取ることが理由であるとお聞きしていますが、上場民間企業の役員人事に係る件であり、私としてコメントする立場にないと考えます。

(記者)

3点目ですが、昨日の参議院・決算委員会の中では、国土交通省の現役の幹部の方にも、OBからの働きかけがあるかどうか調査、事実関係の確認を行ったというような発言がありましたが、この調査については、いつ、どのよう範囲でどのように行ったのか教えていただきますでしょうか。

(大臣)

まず、3月29日の朝日新聞からの取材を踏まえ、航空局内で関与の有無を確認しました。
また、3月30日の新聞報道を踏まえ、私から事務次官へ、事務次官から大臣官房長や航空局長へ、大臣官房人事課長からその他の関係幹部へ関与の有無を確認しています。
さらに、4月2日の新聞報道を踏まえ、大臣官房人事課長より山口氏が空港施設株式会社の代表取締役に就任した時点の航空局長等関係幹部、及び空港施設株式会社に入社して以降の、東京航空局長経験者へ関与の有無を確認しています。
調査すべきだと想定し得る対象を調査したと思っています。

(記者)

調査は聞き取り調査ということでしょうか。
どのような調査を行ったのでしょうか。

(大臣)

関与があるかどうかを直接聞き取ったということです。
 

(記者)

先ほどの国土交通省OBの関与について、組織的な関与ではないという説明だったということですが、複数の事務次官が関わっていることなどから、これ、本当に今回、大臣自身として組織的な関与ではないというふうに納得されているのでしょうか。

(大臣)

先ほども申し上げましたが、大きな関心事でしたので、今回、本田さんにこの点については、厳格に聞き取りを行わせました。
有力OBによる組織的なOBの採用あっせんの有無を確認したわけですが、あっせんを目的とした組織的な活動や話し合いをすることはなく、OBについての個別の御相談や御要望をお聞きすることはあったということです。
組織的な活動や話し合いをすることはなかった、このように本田さんの発言にはあったところです。

(記者)

事務次官経験者が3人集まって、後輩の人事についてどうしようと話し合うことは、あくまで個人的な活動であって、組織的な活動ではないと理解されたということでよろしいでしょうか。

(大臣)

3人が集まったかどうか、これについては分かりませんが、あっせんを目的とした組織的な話し合いをすることはなかったと、今回の調査でおしゃっていたところです。
 

(記者)

今の問題に関連して、私からも先ほど名前が出ました元次官のお二人、小幡元次官と安富元次官ですが、このお二人にも今後話を聞くなど調査を広げるお考えはありますでしょうか。

(大臣)

今回の本田元事務次官への聞き取りは国土交通省がサポートするなど、国土交通省が本件に関与しているという誤解を招きかねない発言があったという報道がなされたことから行ったものです。
今回の聞き取りで言及のあった2名の元事務次官については、現役国家公務員の関与があった旨の誤解を招きかねない発言は確認できておらず、また本田元事務次官からの聞き取りにおいても国土交通省の権限に言及するといったような言動は一切ないということであり、聞き取りを行う予定はありません。

(記者)

今回、国土交通省というのは多くの許認可権を持つ省庁であり、空港施設の件は氷山の一角ではないかというふうに思われても仕方ないと思いますが、OBの再就職先について、元次官等の有力OBグループがほかの多くの企業の役員のポスト等を差配していたのではないかという様な疑念も生じてくると思います。
この問題について、他の企業にも調査の幅を広げる考えはありますか。

(大臣)

いわゆる公務員の再就職については私も議員として議論に参画しましたが、2007年にルールが確定したところです。
今、ルールを細かく申し上げませんが、そのルールに則り、厳格にやっていただかなくてはならない。
今回はまさにそのルールに違反することが疑われかねない事案であったため、我々も調査をしたわけです。
2007年に出来た法律、ルールに則って厳格に公務員の再就職について行われていることを再度徹底したいと思いますし、厳格に行われているものと考えています。

(記者)

そうすると、厳格に行われているということで理解されているということですが、今回の聞き取りというのは、まさに疑われている側に対しての聞き取りであって、例えば、ここに現職の関与の有無があったかどうかということに関しては、なかったと答えていて、もしこれがあったということになると、国家公務員法に違反することになると思います。
疑われている側の方がないとおしゃっていて、国土交通省側も確認してなかったということで、それは確かに疑われている側または疑われている可能性がある方がありました、と言う可能性は一般的に考えてなかなか少ないのではないかと思いますが、それでも大臣はこの件は既にクリアになったと、3人の元事務次官に関してもクリアになったというふうにお考えだということでよろしいでしょうか。

(大臣)

2人の元事務次官については先ほど申し上げたとおりです。
我々としてもしっかり調査をして、2007年に作ったルールに違反することは国土交通省の現役にはないという様に調査結果に出てきていますし、ないと考えています。
 

(記者)

今まで大臣は本田さんに対して、事実関係を確認した上、その上で、適切に対応するとおっしゃっていたと思うのですが、今回の本田さんの聞き取りの結果を踏まえるとどのような対応をお考えなのでしょうか。
OBということなので、国土交通省として処分はできないでしょうし、ポストに対する働きかけも難しいと思いますが、現状での認識をお尋ねします。

(大臣)

まず、今回調査をしました。
まだ、昨日行ったばかりで、私としてもじっくり反芻(はんすう)をしたいと思っていますが、少なくとも先ほど申し上げた2007年に作ったルールを厳守することの厳格化を、もう一度、国土交通省内でしっかりと確認をしていきたいと思っています。
その他の今後の対応については、今考えているところです。

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