2025年2月21日(金) 9:00 ~ 9:21
国土交通省会見室
中野洋昌 大臣
(大臣)
本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
道路の除雪費用に関する地方公共団体への財政支援についてです。
本日も大雪となっているところがありますが、この冬は、年末年始や2月上旬からの大雪などにより、各地で平年を大幅に上回る積雪を記録しています。
国土交通省では、地方公共団体に対して、除雪機の貸出しや連携除雪の実施など、現場レベルでの支援を強化してきたところです。そうした中、地方公共団体等からは、この冬の道路除雪費について、現時点で既に、年度当初に配分された除雪費を上回る執行状況であり、追加の財政支援の要望を大変多く頂いているところです。
このため、除雪費の更なる追加支援に向けて、本日から、地方公共団体に対し、年度末までの除雪費用の執行見込みなどの聞き取りを開始することとしました。
後ほどプレスリリースをします。
詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。
(記者)
18日(火)に第7次エネルギー基本計画と地球温暖化対策計画が閣議決定されたと思います。
前回の6次の計画と比べて、家庭とか産業部門と比べて運輸部門のCO2の削減であったりとか、エネルギー自体の消費削減の度合いが、特にかなりガクンと減っているように感じられました。
2040年まで15年と意外と短い期間かと思うのですが、省エネとかエネルギー転換とか更なる対策が求められる中で、国土交通省の担当分野として、自動車・飛行機・船・鉄道・港湾・道路といった担当分野でどのような対策が必要で、やっていきたいと考えていらっしゃるか、改めてお聞かせください。
(大臣)
2050年カーボンニュートラルに向けては、今回、2040年度に温室効果ガスの排出を2013年度比で73%削減するという全体の目標が閣議決定されたところです。
この目標のもと、脱炭素化に取り組むということで、特に野心的な数字ではないかという御指摘がありましたが、確かに高い目標ですが、しっかりこれに向けて取組を進めたいと思っています。
特に国土交通省としては、温室効果ガス排出量が大きい御指摘の運輸部門をはじめ、可能な限り削減努力をしていきたいと私も決意しています。
具体的には、化石燃料からクリーンエネルギーへの転換を進めていくことが必要ですので、電動車、そして燃料電池車両等の次世代自動車の普及の促進、特に海運の分野では水素・アンモニア等を燃料とするゼロエミッション船の技術開発をまさにやっているところです。
鉄道の分野においても、燃料電池を用いた鉄道車両を社会実装していくという取組も行っていますし、また航空の分野では、持続可能な航空燃料であるSAFの導入促進、こうしたことに更に取り組んでいきたいと思っています。
また、エネルギーを使う側のところでの施策を御紹介しましたが、エネルギーを供給するというところでも、例えば道路に充電設備の設置をしていく、カーボンニュートラルポートの形成、こうしたインフラの部分での対策も促進していきたいと思っています。
今国会には、道路分野の脱炭素化の推進、あるいは洋上風力発電の導入促進に向けて道路法、港湾法の改正法案も提出しています。
こうした脱炭素化に向けた取組を国土交通分野でしっかり進めていきたいと思っています。
(記者)
東京都小笠原村硫黄島の施策についてお尋ねします。
一昨日19日に硫黄島元島民団体、硫黄島帰島促進協議会の方々がこちらに申し入れをされまして、それについて3点ほどお伺いします。
1点は島民の方々が求めているのは、大きく言うと段階的な帰島、今すぐにということではなく滞在期間を増やしていく形で段階的な帰島・定住を求める、それについてインフラ整備を国に求めるということです。
これについての御見解、あるいは今後検討の余地があるのかをお聞かせください。
2点目は、硫黄島は1944年、御存じのとおり7月に強制疎開になり1000人近くが本土に引き上げになりましたけれども、その後今日に至るまで事実上の強制疎開が続いているかと思っています。
北方領土などと違い日本の統治下にありかつ固有の領土で、島民の方々は自分たちの御先祖が島を切り開いた、開拓した方々なわけですけれども、非常に極めて異例な事態だと思っています。
これについての御見解をお聞かせください。
3点目最後ですが、19日の交渉のところで担当官の方にもお話を聞いたのですけれども、元島民らの帰島を禁じる根拠法、法的な根拠はないと明言をされました。
これについての御見解をお願いします。
火山活動が理由だということのようですけれども、島民の方々、火山活動は戦前からあったと、生活が不便だということは聞いたことがないというふうにおっしゃっています。
私も5回ほど行ったことがありまして、火山活動、隆起の状態は知っていますけれども、その辺も踏まえて御見解をお聞かせください。
(大臣)
御承知のとおりかと思いますけれども、一昨日、硫黄島帰島促進協議会から国土交通大臣宛てに、硫黄島への帰島などを求める「硫黄島への島民帰島と居住に関する要望書」が提出されたところです。
硫黄島は太平洋戦争の激戦地であり、戦況の悪化に伴い軍属等を除く全島民が本土へ強制疎開をされたという経緯があります。
昭和43年に小笠原諸島が本土へ復帰をした時に、硫黄島については、昭和59年に小笠原諸島振興審議会から内閣総理大臣に対し、「火山活動による異常現象が著しいこと」などから、「一般住民の定住は困難であり、同島は振興開発には適さないと判断せざるを得ない」と意見具申がなされているところです。
今回、御要望でも、硫黄島の旧島民の皆さま、あるいは2世・3世の皆さまから、故郷を思う大変に強いお気持ちが示されたところです。
これは私もそのお気持ち自体は理解をするところですが、硫黄島においては、現在も火山活動が継続し、土地が引き続き隆起しているということで、昭和59年当時と比べて厳しい状況に変化はないことから、引き続き一般住民の定住は困難だと判断せざるを得ないのではないかという認識です。
そして3点目の帰島を禁じる根拠法はあるのかという御質問です。
確かに土地等の権利を所有する旧島民の方が帰島されることについて、これをとどめる法的な手段はないと考えています。
他方で、先ほど申し上げたとおり、一般住民の定住が困難な状況にあるということを国土交通省の立場としては御理解いただきたいと思っているところです。
一番最初の段階的な帰島というのはどう考えるのかというところですが、先ほど申し上げたとおり、一般住民の方の定住は困難であると、昭和59年に審議会から具申がなされた状況は、変化はないという認識ですが、しかし、旧島民の皆さまが帰島できる機会というのはできるだけ多く確保できるように、これは東京都や小笠原村が実施している訪島・墓参事業、こういうところに協力しながら、関係機関と連携しながら対応していきたいと考えています。
埼玉県八潮市における道路陥没事故を踏まえた対策等について
(記者)
八潮市の陥没事故を受けて、生活インフラ全体の老朽化対策の検討を進めるよう、総理から指示を受けられました。
また、事故の原因究明に向けた御対応についても改めて具体的にどのように進めていこうと思っていらっしゃるか、現時点で結構ですので教えてください。
(大臣)
八潮市の救助・復旧に関しては、現在ドライバーの方の救出を最優先で取り組んでいます。
一刻も早く救助、応急復旧が進むよう、引き続き専門家の派遣、排水ポンプ車の派遣等、最大限の支援を行っているところです。
今回、下水道の事故が起きたことを踏まえて、本日第1回の「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」を開催させていただく予定になっています。
この中では、以前にも申し上げましたけれども、例えば重点的に点検を行っていくべき対象、どういう頻度で、どういう技術で点検をするかという点検のあり方、また道路管理者等、他のいろいろな公物、公共の施設の管理者とのリスク情報の共有のあり方などについて議論いただくこととしています。
この委員会での議論を踏まえながら、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を教訓に、このような事故を二度と起こしてはならないという強い決意で対策を講じたいと思っています。
総理から、御指摘の通り、下水道の対策はもとより、インフラ全体の老朽化対策をしっかり進めていくようにと指示もありましたので、これは6月目途に策定される予定の「国土強靱化実施中期計画」に、今回の事故も踏まえた下水道の老朽化対策を含め、インフラの強靱化に必要な対策をしっかり盛り込んでいけるようにということで、これから調整を行っていきたいと思います。
(記者)
冒頭発言がありました大雪の関係でお尋ねですが、詳細は後ほど伺いたいと思いますが、今シーズン大雪がかなり続いている状況になるとか思いますが、これ自体について大臣どのように捉えていらっしゃるかということを伺いたいのと、先ほど自体向けの対応ということで施策発表していただきましたが、大臣としてはどのような姿勢でこういった事態について取り組んでいきたいかお考えをお聞かせください。
追加で、先ほど石川県に顕著な大雪の情報が出たということで、今日も大雪が各地で続いていますが、自治体だけじゃなくて一般の国民に向けても何か、今の大雪に関して注意事項や呼びかけ等ありましたら一言お願いします。
(大臣)
今、災害が激甚化している、大雨等もそうですが、大雪についても雪の降り方が以前と変わってきているとか、非常に大きな雪が降っているということもあります。
私も、道路の除雪に関しては様々な御要望も頂いているところですが、感じているのはこうした急激に大雪が降る、当然これは年によって状況は違いますが、こういう状況が起きていることで、地元の自治体等でも除雪を担う体制も非常にしっかり確保していかないといけないという思いもあります。
そういう意味で先ほど申し上げた、国が除雪の機械を貸し出したり、現場でなかなか除雪機械を持つ余裕がないというお声もありますのでこういったことをやったり、国と自治体と連携して除雪をする取組等も行っているところですので、しっかりとまずは除雪ができるような体制を整えていきたいと思っていますし、自治体から財政的な面で除雪に関して御心配がないように、現場の状況もしっかりとお話を伺いながら、必要な財政支援はしっかりやっていくということで、かなり今年は除雪の執行が多いということで、自治体へのヒアリングも開始させていただくところです。
今、特に大雪のところについては、不要不急の外出を控えるような呼びかけ、あるいは交通事業者に対する注意喚起等も行ってきました。
大規模な車両滞留などが発生するような事態がありますので、国民の皆さまにもできるだけわかりやすく、適切な呼びかけをしっかりしていきたいと思っています。
こうした気象あるいは交通に関する情報に是非御留意いただき、国民の皆さまには引き続き御理解、御協力いただければと思います。