副大臣・大臣政務官会見

奥田副大臣会見要旨

2012年5月7日(月) 18:38 ~ 19:03
国土交通省会見室
奥田 建 副大臣 

質疑応答

 本日の政務三役会議の概要を報告いたします。
本日は報告事項が3件、その他協議事項が2件ありました。
 「報告事項」ですが、まず、出張報告であります。 
吉田副大臣からドイツで開催されました「ITF2012大臣会合」の御報告、そして私からは、先週、インドで開催されました「第1回日・インド閣僚級経済対話」への出席及びインドの関係省庁と行ったハイレベル面談について、報告をいたしました。
これらは、既にお配りしている資料のとおりであります。
 3点目ですが、自動車局から、エコカー補助金の現状等について報告がありました。
内容については先月末に発表したものです。
 「その他協議事項」ですが、4月29日(日)早朝に、群馬県藤岡市の関越道において発生しました高速ツアーバス事故に関する最新の報告が関係局からあり、意見交換を行いました。
 2点目は、緊急災害対策派遣隊、TEC-FORCEという名前で活動しておりますが、このときの活動に際して掲示する、のぼり旗やベストなどの標準仕様、ロゴマークについての意見交換を行いました。
 次に、その政務三役会議の案件として御説明した関越自動車道における高速ツアーバス事故についての簡単な報告をさせていただきます。
この事故によって、多くの尊い命が奪われたこと、そして多くのけが人を出した自動車事故、そして公共交通機関としての大きな事故であること、心よりお悔やみとお見舞を申し上げます。
国土交通省としましては、事故発生の4月29日、直ちに自動車局及び関東運輸局並びに観光庁に対策本部を設置いたしました。
そして同日、国土交通省内に「ゴールデンウィーク期間中における公共交通機関の安全対策チーム」を設置し、また公共交通機関関係者に対して、安全確保を指示いたしました。
さらに、この事故に係る対策を総合的に推進するとともに、公共交通の安全の確保に万全を期すため、5月5日付けで前田大臣を本部長とする「関越自動車道における高速ツアーバス事故対策本部」を設置し、第1回の最新情報に基づく会合を開きました。
本件事故について、事故の概要、事故を受けた国土交通省の対応、高速ツアーバスを含む貸切バスの安全確保のための対応などについて、資料を用意させていただいております。
詳細は、後ほど、事務方より説明を致しますが、国土交通省としましては、公共交通機関の安全確保は全てに優先されるべき、大切な課題であると考えております。
関係事業者に対する立入検査を既に2回実施しておりますが、これに基づき、違反事業者に対して処分を速やかに行うとともに、事故原因等の調査を十分に行い、この結果を踏まえ、かかる事故の再発防止策を早急に確立、実施してまいりたいと思います。
 今回の事故の被害者、そしてその御家族の方々等からの御相談をお受けするため、国土交通省の公共交通事故被害者支援室や独立行政法人自動車事故対策機構のみならず、石川・富山の両運輸支局でも現地相談窓口を開設しましたので、合わせてお知らせいたします。
是非、皆さん方にもこういった相談窓口についての周知・徹底に御協力を頂ければということを、この場を借りてお願いを申し上げます。
以上です。

(問)関越道のバス事故に関してですが、国交省は安全対策のために運転規制などの見直しを今後進めていく方針ということですが、今後どのようなことを重点的に見直しをされていく御予定であるのか、また、有識者会議などを設置されると思いますが、その開催などについてのスケジュールについても分かっている範囲で教えていただければと思います。
(答)安全対策とスケジュールについてですが、まず、すぐには事故原因の究明ということに全力を挙げて取り組みたいということであります。
そして次には、今回の公共交通機関としての関係者と言いますか、業界に対する立入検査を実施したいと思います。
これは貸切バスの事業者、そして旅行業者を対象としますが、その中で高速ツアーバスを運営する事業者を対象に立入検査を実施し、今の制度を厳守していただいているかということを確認させていただきたいと思います。
今のところ、2か月程の間、5月、6月を重点的に立入検査の実施期間と考えております。
そして、次には、現在の高速ツアーバスと乗り合いバスに関する規制のあり方、これは有識者会議で、3月末に結論を頂いておりますが、そのことを踏まえて、規制の見直しに取り組みたいと思います。
また、皆様からも御指摘のあります、運転手、乗務員の配置指針ということについては、新たな問題意識を持って、今月中に検討会を開催し、またこの指針の見直しも必要であるかということについて、検討を開始したいと、こちらの方も早い結論を得たいと考えております。
随時、結論を得られた事柄から取り組んでいきたいと考えております。
また、お手元の資料にあると思いますが、中長期としての安全対策として、車両の安全確保のための機器の装備、あるいは道路の整備といった事柄も、少し時間は掛かりますけれども、順次、実施・強化をしていきたいと考えております。

(問)今回、問題になった陸援隊では、名義貸しの疑いがあったり、法令違反が36指摘されたり、社長のコンプライアンスの意識が非常に低いということを、今回、一般市民も思ったと思うのですが、そういう業者に対して、バス業界の安全のためにどのように規制で排除していく、規制をかけていくべきとお考えでしょうか。
(答)そもそもの現在の法体系の中の規則を遵守していただいていないということでありますので、それは今、36の指摘事項の再確認ということも含め、そしてその後に何らかの処分はしていかないといけないし、また、私たちとしても今回の事故の重大性を鑑みれば、厳しい対応というものが避けられないことではないかと思います。

(問)一般の市民は、同じような業者が多数あるのではないかという不安を抱いていると思うのですが、その辺を今後どうやって見つけていくのか、その辺はいかがでしょうか。
(答)急速に伸びてきた高速ツアーバスという分野でもありますので、また、その実態把握、そしてこれまでの検討会の中でも、高速ツアーバスと乗り合いバスの間で、やはり管理体制と言いますか、安全義務の体制が、ダブルスタンダードと言うと言い過ぎかもしれませんが、異なっているということは問題指摘をされております。
今その一元化ということを実行しようとしているところですので、そのことは期間を前倒しして実施していきたいと考えております。

(問)結果的に、総務省の22年9月に出された勧告が事故前に改善されなかった点について、国交省の対応に何か問題があったかどうかという認識がございますでしょうか。
(答)それは、国交省内や今日の三役会議の意見交換の中でも様々な見方がありますけれども、その行政の勧告を受けてから、2年近い時間が経って、そこでバス事業のあり方検討会の中で、1年半近い時間を掛けて結論を導いたわけでありますけれども、その配置に対することについて、深く掘り下げて結論を得てきたかと言えば、皆様方の御指摘も謙虚に受け止めて、更に専門家、これまでに入っていなかった生理学などの専門家も含めた検討を早急に行いたいと思います。

(問)今の質問に関連してですが、要するに、この間の国交省の対応に関しては瑕疵があったとお考えか、そうでないか、どちらでしょうか。
(答)配置指針という中で、その間に行ったことは、報道でも勤務時間の基準であるとか、あるいは距離についての指針であるとか、その受け取り方と更に徹底した遵守、あるいは過労が考えられるような運転状況についての人員配置のあり方については、マニュアルという形で業界団体には渡してありますけれども、そこにしっかりとした強制力、規制という形になって、行政勧告に対してしっかりと応えたのかと言われれば、反省すべき点はあるかと思います。

(問)ちょっとわかりづらかったのですが、要するに、見直しなさいと言われて、現状、変わっていない状況できているのですが、そこについては反省すべき点はあったということでいいわけですか。
(答)現状と言いますか、例えば、距離規定というものも、トラック業界には無いわけです。
それで、バス業界という中で、貸切バスが旅行業者から委託を受けて行うという契約関係の中で、労働時間を1日どれだけ、1週間でどれだけ、1か月でどれだけということを言っても、その請け負う中で説明がしにくいということもあって、距離の指針というものを作って欲しいという要請に応えたわけであります。
その距離指針の考え方が十分だったのかと言われれば、しっかりと統計を取って出していることではありますけれども、今のようないろいろな状況を考えたときに、それに則したものかと言えば、再検討をする余地は当然あるという考えの下で、今、検討会を5月中に立ち上げるということであります。

(問)つまり、そこの点について、2010年に総務省から、健康面を踏まえたものにしなければいけないのではないかという指摘があって、その後、その健康面を踏まえたものになっているのかというと、現状、そういう感じにはなっていないのではないかと思います。
そこの点については、要するに、そういった指摘を受けたのに今に至るまでこのままになっているということについては反省をしている、今後行っていくという整理でよろしいでしょうか。
(答)法的拘束力、強制力までは持ちませんけれど、指針の考え方というものがどういうものかといういうことを事業者の方にしっかりと理解して頂くために、マニュアルを作成してお伝えしているということであります。
また、4月6日プレス発表させていただきました公共交通事故被害者支援室でありますが、これも御巣鷹山の航空機事故と、そして福知山線の鉄道事故という重大事故を踏まえて、その中で被害者の方も入って頂いて、検討を続けた中で、真に被害者に寄り添い、また長期の支援が必要であるという中で、国交省がその公共交通機関を受け持つという中で、しっかりと窓口として開設させていただいたものであります。
是非、こういった事故は二度とあってはなりませんけれど、こういった事故の被害者の少しでも力になれたらというように考えております。

(問)もう一度確認させてください。要するに、この間の国交省の、その総務省からの指摘を受けた後の対応としては、反省して見直すということで良いですか。
(答)何も行っていないかと言えば、そうは申し上げません。
先ほど申しました、あり方検討会自身も、1年半の時間がかかっております。
スピード感、あるいは結論を導くまでのことについて、時間がかかり過ぎだとかといったことはあるのかもしれませんが、その中で、関係業界やあるいは労働界の人達の、そして旅行業者とバス事業者、そういった方々に入って頂く中で、結論を、より安全な側に導くという形で結論を出させていただきました。
今はその体制を早く構築していくということが、安全管理、労務管理といった面に大きく寄与するという問題意識を持って取り組んできたことであります。

(問)国交省の被害者支援室については、今回ほとんど機能せず、被害者の家族も(被害者支援室の)存在についてほとんど知らないということです。
支援室側も積極的な関与も無くということだったのですが、このことについて副大臣はどのような御見解をお持ちですか。
(答)この相談窓口は、プライバシーと個人情報の関係もありまして、窓口の方から被害者の方へ能動的に働きかけるという性格のものではありません。
今は、被害者のいらっしゃる県警、地方の行政機関を通じて被害者の方に、国交省に相談窓口がございますということをお伝えしていただいている段階であります。

(問)今後の検査態勢については強化すべきだとお考えでしょうか。
(答)個人的には、規制緩和、平成11年の法改正であったと思いますけれども、その中で、やはり取り残してきた部分と言いますか、規制緩和がもたらした影の部分というものは存在すると思いますし、その部分はしっかりと、完全確保のための体制強化というものはしっかりと進めていかなければならないと考えます。

(問)体制強化を図るとなると、公務員の人員が足らないような気がしますが、その辺についてはどう思われますか。
(答)それは今も立入検査を実施していく中でも、人員の稼働というものはできると思いますし、公務員の方だけで検査するというよりも、例えば契約書類をしっかりと残していただくとか、あるいはいろいろな点呼であるとか、そういったものも、事業者として行うべきことを管理記録の中にしっかりと留めて欲しいということは、今でもあります。
そのことをしっかりと見つめていかなければならないし、何よりも、先ほど言いました、新しい事業の形態として出てきた、高速ツアーバスの今の事業体系のあり方というものと、バス事業者の行っております高速乗合バスというものの事業形態が違うもので存在している。
そして新しく出てきた方は安全体制にやはり緩いもの、甘いものがあるのではないかという問題意識を持って、今回の結論というものが旅行業者の方にも、こういった定期路線のバス運行を行う時には、バス事業者としての資格と責任を持っていただきたいという方向に向かおうとしているわけでありますので、そのことをしっかりと定着させていくという事が、まずは私どもの問題意識として大切な事であると思います。

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