平成22年1月25日
1.趣旨 | |||
開発途上国における社会資本整備は当該国政府の優先課題であり、また、我が国の技術協力の重点事項である。開発途上国において社会資本整備を有効かつ効率的に進めるためには、これらの国において建設工事に携わる民間建設産業の質を向上させることが重要である。また、開発途上国が援助を通じて自立するために、社会経済に必要な基盤整備を担う自国建設産業の成長は不可欠な要素である。このような観点から国土交通省では、開発途上国への協力として、講師を対象国に派遣し、我が国建設産業が持つ経験、技術、ノウハウの移転を図るためのセミナーを開催している。 | |||
ブータンにおいては国土の大部分が山岳地帯で、道路交通が唯一の交通手段となっており、道路は基礎インフラとして最も重要である一方、山岳地帯の斜面崩壊等の災害に対する技術的な課題が多い。 | |||
こうしたニーズを踏まえ、本年度は、ブータンにおいて日本の道路建設の施工や品質管理、山岳地帯における橋梁建設等に関し、日・ブータン両国政府共催によるセミナーを開催し、同国における建設産業の発展に貢献するものである。 | |||
2.セミナー日程・開催場所 | |||
平成22年1月15日(金)終日 | |||
ブータン王国ティンプー市内 タジタシホテル | |||
3.講師(発表順) | |||
ワンディ ギャルツェン氏 ブータン王国公共事業・定住省 Executive Director | |||
小山 次郎氏 株式会社アンジェロセック 建設技術部担当部長 | |||
プラバット ライ氏 ブータン王国公共事業・定住省 Executive Engineer | |||
加藤 信悟氏 大日本土木株式会社 海外支店営業部長 | |||
4.セミナーの概要 | |||
セミナーはブータン王国政府(公共事業・定住省)、ブータン民間企業、在ブータン日系建設企業など80名を越える参加者を得て盛況に開催された。 | |||
(1)開会 | |||
開会では、ブータン王国公共事業・定住省ワンディ次官、同省道路局テンジン局長及び日本国国土交通省国際建設市場室野口建設市場アクセス推進官から挨拶があった。ワンディ次官及びテンジン局長からは、道路整備を初めとする日本の開発援助に対して感謝を述べるとともに、本セミナーの開催について感謝の意が述べられた。 | |||
(2)講演 | |||
(イ) |
ギャルツェン講師より、「Construction Industry in Bhutan - Present Scenario」のテーマで、ブータン王国における建設産業全体の概要、民間建設部門の状況、今後の課題及び制約、公共事業・定住省の取り組み並びに短期・中期・長期におけるブータン建設産業の方向性等について説明した。 | ||
(ロ) |
小山講師より、「Bridge Construction in Mountainous Area」のテーマで、橋梁掛け替えの必要性・妥当性、掛け替え・新設位置の選定、橋長・支間の選定、橋梁形式の選定、メンテナンスを考慮した計画及び橋梁の施工計画等について説明した。 | ||
(ハ) |
ライ講師より、「Environment Friendly Road Construction in Bhutan: Opportunities & Challenges」のテーマで、ブータン王国の第10次道路整備五ヵ年計画の概要、環境保全とバランスのとれた経済成長を基本としたブータンの道路開発等について説明した。 | ||
(ニ) |
加藤講師より、「Road Construction at Steep Slop Area」のテーマで、急峻地における道路盛土施工方法及びパネル、ジオグリッド、補強アンカーの組み合わせによる急峻地形での具体的な施工方法及び施工例等について説明した。 | ||
(3)質疑応答 | |||
参加者から、山岳地帯における橋梁建設や、急峻地での日本の道路建設の施工やそれらのコスト等に対して質問があった。これに対し、我が方講師から具体的な事例を引用しつつ、詳細な回答があり、熱心な応答がなされた。 | |||
今後、本セミナーで紹介された我が国の建設産業ノウハウが同国におけるインフラ整備の参考になるとともに、こうした優れたノウハウ・技術を有する我が国の建設産業に対する関心が両国においてさらに高まることが期待される。 |
報道発表資料(PDF形式:631KB)