平成23年9月22日
この度、国土交通省では、南アフリカ国プレトリアにおいて、南アフリカ国水省とともに、「日南アフリカ水資源ワークショップ」を開催しました。
本ワークショップにおいては、南アフリカ政府の高い関心のもと、我が国の水資源管理技術、水災害マネージメント技術、及び再生水利用、アセットマネジメントなどの下水道分野の政策・技術を紹介するとともに、これらに関する南アフリカ国の取り組みについて情報交換を行いました。さらに、これらに関する活発な議論が行われるとともに、ワークショップの結果を踏まえた今後の協力内容を示した共同決議に署名しました。これによって、これらの分野に係る我が国の技術や経験に対する南アフリカ国の理解を深めるとともに、両国の協力関係を一層強化することができました。
これらの成果を踏まえ、今後とも、南アフリカ国との一層の協力関係を推進するとともに、我が国企業等の海外展開を後押ししてまいります。
(1)日程 平成23年9月13日(火)・14日(水)
(2)会場 シェラトン・ホテル・プレトリア(南アフリカ・プレトリア)
(3)主催 国土交通省、南アフリカ国水省
(4)出席者 89名
[日本側]
国土交通省技監 佐藤直良
国土交通省総合政策局海外プロジェクト推進課国際建設管理官 安田吾郎
国土交通省水管理・国土保全局下水道部下水道事業調整官 加藤裕之
(株)長大、積水化学工業(株)、(株)日立製作所、東レ(株)ほか
[南アフリカ側]
水・環境省副大臣 リジョイス・ティズウィロンディ・マブダファシ ほか
(5)結果概要
1)冒頭および終了時挨拶
・冒頭、マブダファシ水・環境副大臣よりワークショップ開催への歓迎の意が示されるとともに、佐藤技監より、今回のワークショップ実現にあたり南ア側の協力への感謝を述べ、日本からの発表の概要が紹介された。小沢在南アフリカ日本大使からワークショップを契機として、具体的なプロジェクトが形成されることを期待する旨発言があるとともに、関JICA南アフリカ事務所次長、宮部JETROヨハネスブルグオフィス次長からも開会の辞をいただいた。
・閉会にあたり佐藤技監より、今回のワークショップ開催と共同決議の締結を機に、日南アの協力関係を継続していく旨発言があった。またマブダファシ水・環境副大臣より、ワークショップの開催により日南アの関係の強化が図ることができ、今後の発展を期待する旨発言があった。
2)南アフリカ側の発表
<水省>
・南アのおける水資源管理について、都市化等による水需要の増大と降雨の偏在による水需要逼迫、それに対する導水プロジェクト等の取組が紹介された。
・2011年の洪水の状況が報告され、それに対する洪水予報などへの取組の必要性が示された。
・水分野のエンジニアリング、マネージメントに係る技術の向上の必要性や、研修センター発展のための専門家など具体的に支援を必要とする内容が示された。
・上水及び下水の水質管理レベルの指標である『Blue Drop』、『Green Drop』など水処理と規制に関する取組とその達成状況が報告された。
<財務省>
・官民連携(PPP)の枠組みやその利点が紹介された。
<ウォーター・リサーチ・コミッション>
・下水処理の技術について、南アの先進的な取組とともに技術の向上が必要な分野などの課題が示された。
<Alfred Nzo(東ケープ地方に位置する地方自治体)>
・東京都水道局による研修に参加した代表者から、その経験が紹介された。
<Rand Water社>
・同社の手がける導水プロジェクトや、酸性鉱山廃水処理への取組が紹介された。
3)日本側の発表
<国土交通省>
・東日本大震災の被害、復旧の状況について、下水道施設や交通インフラに関して紹介した。
・水資源管理に関する日本の取組について、気候変動への適応、インフラの維持管理や水質向上への取組を含めて紹介した。
・治水に関する日本の取組について、近年の豪雨頻発を踏まえた都市型水害への対策、洪水予測・予報やその情報提供手法、環境への配慮などを含め紹介した。
・再生水利用、アセットマネジメントなどの取組に関する政策と技術を紹介するとともに、これらをパッケージとした国際協力の方針につき紹介した。
・下水道行政の取組に加え、水資源管理や治水対策を含めた流域管理の全体像について、国土交通省としての取組を総括した。
<民間企業>
・(株)長大からはバイオトイレの技術、(株)日立製作所、東レ(株)からは主に膜処理技術、積水化学工業(株)からは管路更生技術が紹介された。
<JICA>
・最近の南アにおける水道に係るプロジェクトを含め、JICAのアフリカにおける活動が紹介された。
4)共同決議の締結
・本ワークショップ開催を総括し、その中で双方より合意された内容を示す共同決議を締結。
<共同決議の内容>
・具体的に協力を進める分野として、治水、汚水処理、水資源管理の分野における計画、手法、組織体制、能力強化や、当該分野の技術指針や新技術が示されている。
・具体的な協力の方策として、ワークショップを含めた情報交換の実施、専門家や技術者の交流が示されている。
5)総括
・南ア側の発表によって、漏水対策、鉱山廃水処理、人材育成における課題など、日本として協力可能な具体的な分野、協力ニーズが示された。
・日本側の発表によって、日本の水資源管理、水災害マネージメント、下水道分野に係る政策的取組や技術について南ア側の理解を深めるとともに、両国で当該分野に係る課題を共有することができた。
・今後とも、両省が持続的な協力を行っていくことで一致した。
・国土交通省としては、漏水対策としての更生工法の導入支援や、人材育成等を通じた協力を推進していく考え。
「日南アフリカ水資源ワークショップ」の結果概要について(PDF形式)
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