空の旅でも事前の準備が大切! 飛ぶルートの調整や、滑走路の点検、電気の確保に至るまで、飛行機が飛び立つ前から、様々なツバサノシゴトが安全な運航を支えています。

交通管理

交通管理

 福岡にある航空交通管理センターは、限られたスペースである空域を有効利用するための空域管理業務や円滑な航空交通を形成するための航空交通流管理業務を行い、航空機の安全性・運航効率の向上を支えています。
 さらに、世界各国と空のシゴトに必要なデータを航空通信ネットワークを通じて交換し、そのデータを収集、分析、提供することによって、円滑な航空交通流をサポートしています。

INTERVIEW

伊藤 優

航空交通管理センター

伊藤 優

航空管制官には、想像力という最先端技術がある。

原田 隆幸

航空交通管理センター

原田 隆幸

地球上の人々の幸せに貢献するシゴトです

タワー

タワー

 空港付近を飛行する航空機や、地上の航空機及び車両に対し、安全で円滑な交通流を形成するために指示や許可を発出するシゴトです。正式には「飛行場管制業務」と呼びます。離陸や着陸の順序を決め、許可を発出するのも飛行場管制業務の仕事です。基本的には航空機から要求を受けた順番に離着陸の順序を決めますが、混雑時は到着機同士の間で出発機を出したりと順番を調整しながら航空機を離着陸させています。航空機や車両を目視で確認しながら業務を行うため、飛行場管制業務を行う航空管制官は、空港に設置されている管制塔で働いています。

INTERVIEW

勝俣 芽久美

北九州空港事務所

勝俣 芽久美

空の安全は人との
繋がりから。

須賀 美由紀

成田空港事務所

須賀 美由紀

チームワークで
質の高い管制業務を

沖 琴葉

仙台空港事務所

沖 琴葉

空の安全を守る
「義務」と「自負」

AFIS

AFIS

 空港付近を飛行する航空機に対し、離着陸に必要な情報を無線通信によりパイロットへ提供する業務をAFIS(Aerodrome Flight Information Service:飛行場対空援助業務)といいます。
 AFIS業務を行う航空管制運航情報官は、航空管制官のように航空機に対して直接指示を行うことはできませんが、管制承認の伝達や離着陸に必要な情報(風向、風速、滑走路の状態、他の航空機の状況等)を提供することにより航空機の安全運航を支えます。
 遠隔通信によって情報提供している空港もあります。

空港使用の調整、飛行計画の審査

空港使用の調整、飛行計画の審査

 航空管制運航情報官は、パイロットが安全に飛行できるように飛行前に必要な準備をサポートするとともに、全ての航空機が公平に空港を使用できるよう調整します。飛行前の準備として空港の離着陸時刻や駐機場所の予約をはじめ、気象や空港に関する最新の情報をパイロットに提供し、飛行ルートや燃料を飛行計画として確認します。そのため、航空管制運航情報官には航空機の性能や航空に関する知識が必要となります。

飛行場面点検

飛行場面点検

 航空管制運航情報官は、滑走路や誘導路の状態が航空機の離着陸や走行に影響がないことを確認するため、クルマで毎日点検を行っています。点検は決められた時間に行う定時点検と、パイロットや管制官などから異常発生の通報を受けて直ちに行う臨時点検があります。舗装面の状態や灯火の点灯状況、石等の異物の有無、空港内や空港周辺の障害物の状況等を点検し、日々の安全運航を地上から支えています。

ATIS

ATIS

 空港を離着陸する航空機に対して、空港の進入方式・使用する滑走路・滑走路の状態・気象に関する情報等をまとめて継続的な反復音声放送及びデータ通信により提供する業務をATIS(Automatic Terminal Information Service:飛行場情報放送業務)といいます。
 これにより、パイロットは最新の空港情報を入手することができます。

航空情報提供

航空情報提供

 航空の安全に必要な情報を「航空情報」といいます。航空路や滑走路諸元などの基本情報をはじめ、離着陸に影響する障害物や空港工事に伴う制限などの一時的な情報まで、空港の関係者や世界中の運航者に航空情報としてお知らせしています。これら航空情報は、成田空港にある航空情報センターにいる航空情報管理管制運航情報官が一元的に管理・運用しています。

電源設備

電源設備

 電力会社から供給される電力が、台風などの自然災害や設備故障などで停電した場合でも、航空機が安全に運航できるように、空港や関連施設には非常用発電設備や、UPS(無停電電源装置)といった電源設備が設置されています。施設運用管理官は、レーダー、通信施設、管制施設や航空灯火など航空保安施設の安定した運用を確保するため、こうした電源設備を管理・運用することで、航空機の安全運航の一翼を担っています。

冷静に⾃信を持って
裏⽅に徹する

吉⽥ ⼤地

平成21年採⽤
福岡航空交通管制部

吉⽥ ⼤地

どのようなきっかけで航空管制官になろうと思ったのですか?

⾼校の修学旅⾏の時に初めて⾶⾏機に乗ったのですが、到着直前に「管制塔からの連絡で滑⾛路上に⿃がいるとのことで着陸を中断して上昇しています」とアナウンスがあり、管制官ってそんな事も⾔うのかと驚き、興味を持ったのがきっかけでした。もし何事もなく着陸していたらこの仕事をしていなかったかもしれません。

若⼿からベテランまでいるチームの中で、仕事をする上で⼤切だと思うことは何ですか?

「最低限の礼儀は忘れず、必要なことは申し出る」。指摘したくてもできないのではベテランの⽅に何も⾔えなくなってしまいます。私の職場は⽿を傾けてくださる⽅ばかりですので⾔いやすいですが、最低限の礼儀を忘れないことは⼤事だと考えています。後輩にも積極的に話してほしいと思うので、私も先輩⽅のような姿勢を⼤切にしています。

未来の航空管制官へメッセージをお願いします。

この仕事は積極性が最も大事です。受け身ではできません。自分で考え、仲間と共に冷静に処理していくことの連続です。そして先走ってもいけません。感情的にならないよう日頃から気をつけています。もし自分に積極性や冷静さが足りないと感じる方は日常生活で少し気を付けるところから始めてみるのも、一つの対策かもしれません。 (※職員の所属、写真は取材当時のものです。)

INTERVIEW #01

空の安全は人との
繋がりから

勝俣 芽久美

平成10年採用
北九州空港事務所

勝俣 芽久美

主幹として、チームではどのような役割を担っていますか?

主幹といえば、上司である先任管制官と若手管制官の間に立つ中堅的な立場になります。先任管制官と連携しながら、また指示を仰ぎながら、時には他の部署と調整を行い、チームが円滑に業務を行えるようにしています。また、管制官一人一人のことを気にかけ、風通しの良い職場環境づくりを心掛けています。

最初に赴任されたときと、現在とでどんなことに変化を感じますか?

新人の時は一人前の管制官になることで精一杯でしたが、様々な経験を得るうちに、管制以外の方々との連携があるからこそ、空の安全が守られていることを知りました。更に、現在は子育て真最中ですが、ワークライフバランスの取り組みのもと、周りの協力もあってこの仕事を続けることができ、入省当時より周囲に対して感謝の気持ちを持って業務を実施するようになりました。

未来の航空管制官へメッセージをお願いします。

管制官は多くの人の命を預かり航空機に許可や指示を出すわけですから、訓練は厳しいですが、その分達成感も大きいので、困難なことがあっても諦めない熱意が必要だと思います。また、航空機を安全に飛行させるには、他の管制官との協力が不可欠であり、人と人との繋がりを大切にすることが重要です。皆さんと一緒に業務できる日を楽しみにしています。 (※職員の所属、写真は取材当時のものです。)

INTERVIEW #02

チームワークで質の
高い管制業務を

須賀 美由紀

平成7年採用
成田空港事務所

須賀 美由紀

子育てと仕事の両立について教えてください。

管制官、そして2児の母として、同じ管制官の夫とともに子育てと仕事の両立に励んでいます。子どもが小さいうちは急な発熱などにより突発的に休みが必要となり、職場の皆さんのご理解なくしては両立できなかったと感じており、感謝しています。今後は子育てと仕事の両立を目指すお母さん管制官もさらに増えていくと思いますので、今度は私もそんな方々の支えになれたらと思っています。

成田空港の管制業務の特徴、醍醐味について教えてください。

成田空港では2本の滑走路を使用して国際線を中心に1日700便を超える航空機が離着陸しており、国際色豊かで様々な国のパイロットとの英語でのコミュニケーションには神経を使います。また、国際線が多いため、出発、到着の混雑が特定の時間に集中し、交通量に合わせて複雑な管制処理が求められます。それらが難しいところであるとともに醍醐味でもあると思っています。

未来の航空管制官へメッセージをお願いします。

 空の安全は管制官だけでなく、いろいろな職種の人々によって守られています。その中の一つである管制業務は管制塔内で働く管制官のチームワークで成り立っている仕事であり、日頃から周囲の人たちと円滑なコミュニケーションをとり、信頼関係を築くことが何より大事だと思っています。近い将来に皆さんと一緒にチームワークを発揮してより良い管制業務に臨める日を楽しみにしています。 (※職員の所属、写真は取材当時のものです。)

INTERVIEW #03

将来における航空管制の発展はあなた次第!

杉山 知一

平成4年採用
神戸航空交通管制部

杉山 知一

どのようなきっかけで航空管制官になろうと思ったのですか?

子供の頃から乗り物が好きだったこともあり、百科事典に載っていた飛行機に興味を持ち始めました。そして、航空業界にはどのような仕事があるのかと調査しているうちに、管制官は飛行機に指示を与え、その通りに飛行する等、専門的だということを知り、特殊な仕事に就きたいという自分の希望に合っていたため受験してみようと思った次第です。

現在の業務の苦労する点とやりがいについて教えてください。

現在は、今後長期間に渡って計画されている空域再編に関する企画・立案等の取り纏めをしていますが、業務内容が多岐に渡るため、同時並行で複数の事柄を検討する日々です。それでも、様々な課題を一つ一つ乗り越えることに大きな達成感を得ており、これぞやりがい!と思いながらやっています。

未来の航空管制官へメッセージをお願いします。

『チームワーク』と『コミュニケーション』。他の職員と協力して業務を進めていくためにはお互いの意思疎通が大切です。管制官という仕事では特にそれが重要視され、先輩・後輩関係なく一人の管制官として肩を並べて業務を行います。信頼できる仲間と共に、困難に立ち向かい、空の安全を守る航空管制という仕事を是非一緒にしてみませんか? (※職員の所属、写真は取材当時のものです。)

INTERVIEW #04

空の安全を守る「義務」と「自負」

沖 琴葉

平成31年採用
仙台空港事務所

沖 琴葉

どのようなきっかけで航空管制官になろうと思ったのですか?

大学生最後の年に、自分の得意分野を活かせる職業を真剣に考え始め、調べていく中で管制官という職業に出会いました。自分自身が留学中に多くの人に支えられた経験から、かつての自分と同様に慣れ親しんだ土地を離れ新たな挑戦をしようとする人を含め、航空機に乗る多くの人々を支えたいという思いから採用試験を受けることに決めました。

仙台空港での訓練はどのようなものですか?

訓練監督者を始め、チーム全体が訓練生の意思を尊重してくれます。そのような恵まれた環境の下、自身の課題と向き合い、段階を追った目標を設定しながら訓練を進めることができます。日々航空機に指示することの重責を痛感し、マイクを握る間は常に緊張しますが、訓練が進み技量が上がっていくにつれ、安全でより効率的に航空機の流れを形成する面白さを感じることができます。

未来の航空管制官へメッセージをお願いします。

訓練中はもちろんですが、資格を取得した後も管制官として働く限り、常に学ぶ姿勢を持つことが求められます。今の生活の中でも自分の好奇心を大切にして、幅広く知識と経験を増やすことを楽しんでください。その探究心が学ぶ姿勢に繋がります。皆さんと一緒に働ける日を楽しみにしております。 (※職員の所属、写真は取材当時のものです。)

INTERVIEW #05

同じ目標に向かって、チームで仕事する

細萱 彦太郎

平成11年採用
東京空港事務所

細萱 彦太郎

若手からベテランまでいるチームの中で、仕事の上で大切なことは何ですか?

年齢や性別はもちろん、性格も経験値も異なるメンバーでチームを形成して管制業務を行っています。そのメンバーが同じ方向へと前進するために、全員が共通の目標を設定して業務に臨むことが重要です。共通の目標に向かって、チーム全体で訓練生を育てたり、安全と効率を追求して業務を遂行しています。

羽田空港の管制業務の特徴、醍醐味について教えてください。

とにかく交通量が多く、無線通信の量も多いというのが特徴で、役割を細かく分担して仕事をしています。安全で確実な業務を実施するには各管制官との情報交換や助け合いが必要不可欠です。阿吽の呼吸で意思疎通ができたと感じる場面も多く、繁忙であってもチームワークで仕事を進めていると実感できることが醍醐味です。

未来の航空管制官へメッセージをお願いします。

管制官はやりがいと面白さがある仕事だと思います。毎日、毎回異なる状況がやってきますし、持ち場についたら経験年数や年齢に関係なく先輩と後輩が肩を並べて仕事をします。そこで必要とされるのは、チームで仕事をするための協調性や、パイロットや他の管制官との意思疎通です。「チームワーク」と「コミュニケーション」を大切にしてください。 (※職員の所属、写真は取材当時のものです。)

INTERVIEW #06

航空管制官には、想像力という最先端技術がある。

伊藤 優

航空交通管理センター

伊藤 優

シゴトの難しさについて教えてください。

飛行中の航空機の交通量をコントロールするのは難しいため、離陸する前に手を打つ必要があります。そのため、数時間先の空の混雑状況を予測します。予測される交通量と、航空管制官の処理能力とのバランスをとりながら、情報を分析し決断する力を求められるのが難しいところです。

職場の環境について教えてください。

全国の空港などで勤務経験がある航空管制官が働いており、個々のスキルや知識、経験値は様々ですが、みんなプライドを持ってシゴトをしています。空港の管制官、システム担当、本省経験者など、様々な経歴を持った人たちが働いているので、情報の交換が盛んに行われ、それらが自分の血となり肉となっています。

未来の航空管制官へメッセージをお願いします。

航空管制官は、それぞれ多様な能力・個性を持っています。一つの固定した管制官像にとらわれず、多くのフィールドに目を向けて、自身の能力の活かし方を探してほしいと思います。努力を怠ることなく、シゴトを楽しみ、たくさんのことにチャレンジし、オセロゲームのように「ピンチ」を「チャンス」に反転できるような航空管制官になってください。 (※職員の所属、写真は取材当時のものです。)

INTERVIEW #07

地球上の人々の幸せに貢献するシゴトです

原田 隆幸

航空交通管理センター

原田 隆幸

官署の航空管制官を束ねる管理職として、心掛けていることはなんですか。

元気に声かけすることで話しやすい雰囲気を作るようにしています。職員がシゴトに自発的に取り組み、やりがいを感じてもらえるような企画を提案し支援することによって、職員の成長を促すようにしています。また、不測の事態が発生しても悔いなく最良の判断や対応をするために心身ともに良いコンディションで業務にあたることができるよう、勤務前の時間も意識して過ごしています。

航空交通管理センターのシゴトを教えてください。

日本が管制サービスを提供している空全体の気象や飛行中の航空機の情報とともに空港の状況をリアルタイムで監視し、航空機が安全で効率よく運航できるように国内外の管制機関や航空会社など多くの関係者とともに対策を検討し課題解決にあたっています。いわば日本の空を一元管理する司令所です。太平洋上空においては衛星通信も使った管制サービスも提供しています。

未来の航空管制官へメッセージをお願いします。

何事にも興味を持って周囲と協調しつつ前向きにシゴトをすれば、航空管制官という仕事を軸に航空のいろんな世界で活躍でき、さまざまな人と交流できるチャンスもあります。航空への貢献は、日本の各地を結び、そして世界へのかけ橋を作ることと同義です。人や物を運ぶことにより地球上の幸せを作ることにも貢献できるシゴトです。是非一緒にやりましょう! (※職員の所属、写真は取材当時のものです。)

INTERVIEW #08