ドイツ(Germany)

概況

ドイツの面積は我が国と近く、その国土は、北は北海、バルト海、南はアルプスに及ぶ。人口は8,000万人を超え、欧州連合で最も多いが、我が国と並び出生率が低い(合計特殊出生率 1.33, 2006年)。

第二次世界大戦後、ドイツは東西ドイツに分断されたが、1989年11月9日にベルリンの壁が解放され、1990年10月3日に東西ドイツの統一が実現した。東西間の格差の是正、さらに、東欧諸国等欧州レベルを意識した高速鉄道網整備等が求められているが、近年は旧東独諸州からの人口流出が目だった。

国勢概要

国名 ドイツ連邦共和国
Federal Republic of Germany
国土面積 35.7万km²(日本の約94%)
人口 8,177万人(2015年:独連邦統計庁)
人口密度 229人/km²(2017年)
都市人口比率 75.3% (2015年)
GDP(実質)
(単位:十億ユーロ)
2,576(2010年)、2,669(2011年)
2,679(2012年)、2,682(2013年)
2,725(2014年)、2,783(2015年)
(ドイツ連邦統計庁他)
一人当たりGDP(名目)
(単位:ユーロ)
31,511(2010年)、33,005(2011年)
33,569(2012年)、34,219(2013年)
35,230(2014年)(ドイツ連邦統計庁他)
産業別
就業人口比率
第一次産業0.6%
第二次産業30.3%
第三次産業69.1% (2016年推計)
GDP成長率(実質) 4.1%(2010年)、3.6%(2011年)
0.4%(2012年)、0.1%(2013年)
1.6%(2014年)、1.7%(2016年)
(ドイツ連邦統計庁他)

(情報更新:2017年3月)

ドイツの地図

ドイツ地図

資料:http://europa.eu/abc/maps/members/germany_en.htm

政府 空間計画
連邦政府 1 なし(ガイドラインのみ)
州(Land) 13 空間計画法に基づく州の空間計画
都市州 3 Fプラン
(郡) 201  
都市郡(都市自治体) 112  
市町村(ゲマインデ) 12,227 Fプラン、Bプラン

ドイツの地方制度と空間計画

連邦制度のもと、ドイツ連邦共和国基本法により連邦と州の権限は規定されている。州は空間計画についても一定の権限と独自の法制度を有している。一方で、政府相互間における、情報交換、参加、同意、協働、義務に関して詳細な規定もおかれている。

国土政策関係の主要な連邦機関

行政分野 担当機関 ホームページ
インフラ・都市 連邦交通通信インフラ省
Federal Ministry of Transport and Degital Infrastructure
http://www.bmvi.de/EN/Home/home_node.html
  空間計画 連邦建設地域計画局
Federal Office for Building and Regional Planning - BBR
http://www.bbr.bund.de/BBR/EN/Home/home_node.html
地域政策 連邦経済エネルギー省
Federal Ministry of Economic Affairs and Energy
http://www.bmwi.de/Navigation/EN/Home/home.html

国土政策に関わる主要な施策

ドイツにおいては、20世紀初頭から、都市化に対応し地域計画の試みがみられ、また、ナチス政権下では中央集権的な国土計画も試みられた。戦後は1960年代から空間計画制度が整えられたが、2006年のドイツ連邦共和国基本法の改定により、連邦の定める大綱に基づいて州が詳細を定める大綱的立法権がなくなり、そこに分類されていた空間計画について、連邦が立法権を行使しない場合には州が立法権を行使できる競合的立法権の範疇に移された。現実には、連邦政府は全体的指針を示すに留まり、空間計画は空間計画法のもとで州の運用にまかされている。

また、地域政策については、憲法上、地域的経済構造の改善が共同事務と位置づけられ、連邦は州に協働し、負担の半額を負うものとされている。東西ドイツの統合以降は、旧東ドイツ地域への支援が重視されてきた。

空間計画

連邦政府の役割
連邦レベルでは、1965年に連邦空間計画法が制定され、空間計画に係る手続面での制度的枠組みを与えているほか、1967年に空間計画に関する各州担当相連絡会議(MKRO)が設立され、連邦―州間の調整を行うと共に、空間計画に関する基本的な考え方を示してきている。2008年に連邦空間計画法が大きく改定され、連邦においても空間計画を策定できるようになったが、現在のところ排他的経済水域における計画のみが策定されている。
ドイツにおける空間開発のコンセプト及び戦略
連邦レベルの空間計画に関する最新の政策文書「ドイツにおける空間開発のコンセプト及び戦略(2006年)」は、持続可能性、欧州の次元等を考慮し、①成長とイノベーション、②公共サービスの確保、③資源保全と文化景観の保全・育成の3つを重視している。
州における空間計画
各州は、連邦空間計画法第8条から第16条の規定に従い、州域を対象とした広域計画(州全域広域計画)及び州の一部地域を対象とした広域計画(地域計画)を策定する。地域計画は、現在連邦全土の104の地域で策定されている。
空間計画と他の主要な計画制度との関係
空間計画は、他の関連する計画とも整合がとられつつ運用されているが、総合計画としてFプランを活用している地域もみられる。
都市計画 連邦建設法(1960年)、さらに建築法典(1986年)に基づき、全ての州において、基礎自治体により、Fプラン(土地利用の大綱を示し策定行政機関を拘束する、縮尺1万分の1前後)及びBプラン(私人の行為も拘束する建築指導プラン、縮尺500分の1前後)が策定される。Fプラン及びBプランは地域計画と適合するよう、連邦空間計画法に定められている。
農地等 Fプランは農地等も含む自治体全域を対象とするが、農地を含めた自然的土地利用の観点からは風景計画(Lプラン)、緑地整備計画(G プラン)が策定されているものの、整合が図られている。
社会資本整備 主要インフラについては、連邦レベルで連邦交通路計画が策定されるが、これは空間計画とも調整される。

ベルリン・ブランデンブルグ地域中心地システム

ベルリン・ブランデンブルグ地域中心地システム

資料:National Development Plan Berlin-Brandenburg 2009/3

大都市圏レベルの計画
大都市圏レベルの計画は各州によって大きく異なる。
首都ベルリンにおいては、これを取り囲むブランデンブルグと2州共同で包括的空間計画契約を締結し、「ベルリン・ブランデンブルグ共同包括空間開発計画」を策定している(首都については、首都機能移転の基本法として1994年にベルリン・ボン法制定)。
また、1つの大都市圏が州を構成するベルリン、ブレーメン、ハンブルグの3都市においては、州の空間計画は、Fプランとしても機能している。さらに、フランクフルトのように周辺の他の市と共同して大都市圏としてのFプランを策定する先進的なケースもあるが、一般的には大都市及び周辺市町村が各々Fプランを策定するとともに、様々な広域連合等を形成し、これを単位とする大都市圏計画を策定する場合が多く見られる。

地域経済構造改善

旧西ドイツの地域政策は、戦災復興に始まり、農村地域等の経済開発促進、衰退した工業地域の振興等が進められてきた。1969年の基本法改正により、地域経済構造改善については共同事務として、連邦政府が州に協働し、財政支援をする枠組みが出来上がった。連邦政府が、対象地域、全体的目標、毎年の各州への財政的支援の種類等の枠組みを定め、直接、間接の支援を行ってきた。執行は州が行なう。東西統合後は、旧東独諸州支援に重点が置かれてきた。最近では、2007年1月1日から、欧州連合の地域政策と同様の2006-2013年の期間について、支援対象地域等が定められた。

EUの地域政策との関係においては、2014-2020年の間、7州が移行地域(transition regions)に指定されている(人口の約18.5%)(transition regionsは、EU27か国平均の75-90%未満の地域、EUの頁を参照のこと)。

州域を対象とした広域計画(州全域広域計画)
ein Raumordnungsplan für das Landesgebiet (landesweiter Raumordnungsplan)
及び
州の一部地域を対象とした広域計画(地域計画)
Raumordnungspläne für die Teilräume der Länder (Regionalpläne)

(情報更新:2011年3月)