全世界の海賊及び海上武装強盗事案は、世界各国や海事関係者の懸命な取組みにより近年減少傾向にあるものの、引き続き、ソマリア沖・アデン湾や東南アジア海域等において海賊等の脅威が存在しています。また、国内においても、過去にシージャック事案等が発生しています。
今般、国際労働機関(ILO)において、船員が海賊行為及び武装強盗により拘束されている間の雇入契約及び賃金の支払いを確保することを目的とする、2006年の海上の労働に関する条約の改正案が採択され、同条約は令和2年12月26日に発効することになっております。
これを踏まえ、令和2年1月に公労使三者で構成される「2006年の海上の労働に関する条約の改正に伴う国内制度検討会」を開催し、議論を行った結果、上記条約改正事項を国内法令にて担保するため、船員法施行規則を一部改正(令和2年6月26日公布)し、令和2年12月26日に施行することになりました。
【改正概要及び関係資料】
〇 船舶所有者は、雇入契約の締結時において、相手方に対し、「海賊行為により船上又は船外で拘束された場合に、海賊から解放され適切に送還されるまで又は拘束中に死亡した日までの間、雇入契約が継続すること及びこれら契約に基づく賃金その他の権利が継続すること」について、書面を交付して新たに説明しなければならないこととなります。
これは、外航船に限らず、船員法が適用される全ての船舶(内航船、漁船含む)が対象となっておりますので、ご注意ください。
なお、当該規定の運用については、下記ガイドラインをご参照ください。
・2006年の海上の労働に関する条約の改正に伴う海賊行為による被害を受けた場合における措置に関するガイドライン
〇 船舶所有者は、労働協約、就業規則または雇入契約書に海賊行為による被害を受けた場合における措置(雇入契約及び賃金等の権利が継続すること)を新たに追加する必要があります。
また、雇入契約※または就業規則の変更を令和2年12月26日までに運輸局へ届け出なければなりません。