シップ・オブ・ザ・イヤー/マリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤー (2014)
公益社団法人日本船舶海洋工学会及び公益社団法人日本マリンエンジニアリング学会は、毎年、我が国で建造された船舶・海洋構造物及び舶用機関・機器および海洋機器、関連するマリンエンジニアリング分野の優れた技術について、特に優れたものを選考し、表彰しております。
平成27年7月27日にシップ・オブ・ザ・イヤー2014及びマリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤー2014の表彰が行われました。
公益社団法人日本船舶海洋工学会が授賞するシップ・オブ・ザ・イヤーは、毎年日本で建造された話題の船舶・海洋構造物の中から、技術的・芸術的・社会的に優れた船を選考して与えられるものです。
シップ・オブ・ザ・イヤー 2014 「さやえんどうLNG船(155型LNGシリーズ船)」
「さやえんどう」は155,000m3積みLNG船のシリーズ名であり、連続カバー (さや) の中に球形タンク (まめ) が入っている形に由来している。本船は、球形タンク4基を連続したカバーで覆い、カバーを船体と一体化することで全体強度を向上させつつ、付加的な構造物を減らして船体重量の軽量化を実現した。また推進上抵抗となる正面からの風圧力の大幅な軽減効果も得られている。主機関には再熱サイクルで熱効率を高めたUltra Steam Turbine Plant (UST:再熱舶用蒸気タービン機関) を採用し、連続カバーの効果と併せて燃費性能を大きく改善させている。これらの技術の斬新さと完成度の高さが評価され、シップ・オブ・ザ・イヤー2014に輝いた。
船名 |
さやえんどうLNG船(155型LNGシリーズ船) |
船種 |
液化天然ガス運搬船 |
建造会社 |
三菱重工業株式会社 |
LppxBxD - d |
275.0m × 48.9m × 26.0m - 11.55m |
総トン数 |
約137,000 トン |
特徴的な構造・艤装品 |
一体型タンクカバー、再熱舶用蒸気タービン機関 |
惜しくもシップ・オブ・ザ・イヤーを逃した船舶においても、優秀な船舶については部門毎に授賞されております。大型客船部門では、タンデムハイブリッド型CRP推進方式を採用して大幅な省エネを実現した貨客船「橘丸」、小型客船部門では、特徴ある双船尾船型を踏襲しつつ、船型の大型化とともに推進性能や居住性を改善したフェリー「太古」、大型貨物船部門では、世界最長の150mレールを海上輸送できる世界初の長尺レール専用船「PACIFIC SPIKE」、小型貨物船部門では、内航コンテナ船では初めての電気推進方式と、船首ブリッジの採用で騒音を改善した「ふたば」、漁船・作業船部門では、極域まで航行可能な耐氷構造をもち、電気推進システムと防振・防音設計で高性能な調査船を実現した「おしょろ丸」が、それぞれ部門賞に選ばれた。
大型客船部門
船名 |
橘丸 |
船種 |
貨客船 |
建造会社 |
三菱重工業株式会社 |
竣工年月日 |
2014年6月4日 |
LppxBxD - d |
109.2m × 17.0m × 8.95m - 5.4m |
総トン数 |
5,681トン |
特徴的な構造・艤装品 |
タンデム・ハイブリッド型CRP推進システム |
小型客船部門賞
船名 |
太古 |
船種 |
旅客船兼自動車渡船 |
建造会社 |
株式会社臼杵造船所 |
竣工年月日 |
2014年6月10日 |
LppxBxD - d |
79.8m × 14.4m × 9.5m - 3.9m |
総トン数 |
1,598トン |
特徴的な構造・艤装品 |
ハイブリッド双船尾船型、可変ピッチプロペラ他 |
大型貨物船部門賞
船名 |
PACIFIC SPIKE |
船種 |
長尺レール運搬専用船 |
建造会社 |
株式会社新来島どっく |
竣工年月日 |
2014年8月29日 |
LppxBxD - d |
187.0m × 28.2m × 14.0m - 8.0m |
総トン数 |
20,506トン |
特徴的な構造・艤装品 |
シンクロ制御50トンデッキクレーン×3 |
小型貨物船部門賞
船名 |
ふたば |
船種 |
コンテナ専用船 |
建造会社 |
小池造船海運株式会社 |
竣工年月日 |
2014年12月12日 |
LppxBxD - d |
86.0m × 14.0m × 6.7m - 3.59m |
総トン数 |
749トン |
特徴的な構造・艤装品 |
2基2軸可変ピッチプロペラ+電気推進方式 |
漁船・作業船部門賞
船名 |
おしょろ丸 |
船種 |
漁業調査・練習船 |
建造会社 |
三井造船株式会社 |
竣工年月日 |
2014年7月28日 |
LppxBxD - d |
70.0m × 13.0m × 5.8m - 5.0m |
総トン数 |
1,998トン |
特徴的な構造・艤装品 |
漁労設備、観測・研究機器、スキャニングソナー他 |
公益社団法人日本マリンエンジニアリング学会が授賞するマリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤーは、舶用機関・機器および海洋機器、関連するマリンエンジニアリング分野の優れた技術を賞することによって、その先進性・重要性を広く国内外に公表し、関連の学術的産業的技術をさらに発展させるべく制定されております。
マリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤー2014「舶用大型2ストロークディーゼル機関用SCRシステム」
IMO(国際海事機関)の大気汚染物質規制で、舶用ディーゼル機関から排出される窒素酸化物 (NOx) の規制が段階的に強化されており、2016年から実施予定の3次規制では排出規制海域 (ECA) で1次規制比80%のNOx削減が義務化される。
同規制に対応するため、選択触媒脱硝 (SCR) の技術による「舶用大型2ストロークディーゼル機関用SCRシステム」を日立造船が開発した。陸上と船上の試験を経て開発を完了させ、2014年にエンジンライセンサーのMANディーゼルアンドターボから装置認証を取得しており、広く海運業界に貢献する技術として今回受賞した。
【受賞者】 日立造船株式会社
■関係サイト
公益社団法人日本船舶海洋工学会
公益社団法人日本マリンエンジニアリング学会
■過去のシップ・オブ・ザ・イヤー/マリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤー
2013年

- 国土交通省 海事局 船舶産業課
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