日本の水道普及率は98%を超え、市民生活や社会経済活動に不可欠の重要なライフラインとなっています。そのため、地震などの自然災害、水質事故等の非常事態においても、基幹的な水道施設の安全性の確保や重要施設等への給水の確保、さらに、被災した場合でも速やかに復旧できる体制の確保等が必要とされています。
また、平成23年の東北地方太平洋沖地震では約257万戸、平成28年熊本地震では約44万6千戸が断水するなど、水道施設が大きな被害を受けています。
一方、水道施設の耐震化の進捗状況を見ると、令和3年度末(令和4年3月末)現在、水道施設のうち基幹的な管路の耐震適合性のある管の割合は約41.2%、浄水施設の耐震化率は約39.2%、配水池の耐震化率は約62.3%であり、まだまだ地震に対する備えが十分であるとはいえない状況です。
厚生労働省(当時)では、地震に強い水道を目指してこれまで以上に水道施設の耐震化の取組を行って行く必要があると考えており、水道利用者の方々の理解の向上を図りつつ、水道施設・管路の耐震化の促進に向けた水道事業者の取組を推進するため、各水道関係団体と連携して、「水道施設・管路耐震性改善運動」(第一期平成20・21年度、第二期平成22・23年度)を展開し、平成24年度には「水道耐震化推進プロジェクト」を設立し、従来の運動をさらに発展させ、水道施設耐震化に関する広報活動を行ってきました。
また、平成25年度には「平成25年度管路の耐震化に関する検討会」において、東日本大震災における管路の被害状況分析を行い、平成27年6月、東日本大震災の経験や新たに得られた知見等を反映するとともに、中小規模の事業者等における計画策定を促進することを目的として、「水道の耐震化計画等策定指針」の改定版を作成するなど、引き続き、その周知に努めているところです。
※表を左右に動かしてご覧ください。
地震名等 | 発生日 | 最大震度 | 地震規模(M) | 断水個数 | 最大断水日数 |
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阪神・淡路大震災 | 平成7年1月17日 | 7 | 7.3 | 約130万戸 | 約3ヶ月 |
新潟中越地震 | 平成16年10月23日 | 7 | 6.8 | 約13万戸 | 約1ヶ月 (道路復旧等の影響地域除く) |
能登半島地震 | 平成19年3月25日 | 6強 | 6.9 | 約1.3万戸 | 14日 |
新潟中越沖地震 | 平成19年7月16日 | 6強 | 6.8 | 約5.9万戸 | 20日 |
岩手・宮城内陸地震 | 平成20年6月14日 | 6強 | 7.2 | 約5.6千戸 | 8日 (全戸避難地区除く) |
駿河湾を震源とする地震 | 平成21年8月11日 | 6弱 | 6.5 | 約7.5万戸※ | 3日 |
東日本大震災 | 平成23年3月11日 | 7 | 9.0 | 約256.7万戸 | 約5ヶ月(津波地区等除く) |
長野県神城断層地震 | 平成26年11月22日 | 6弱 | 6.7 | 約1.3千戸 | 25日 |
熊本地震 | 平成28年4月14・16日 | 7 | 7.3 | 約44.6万戸 | 約3ヶ月半 (家屋等損壊地域除く) |
鳥取中部地震 | 平成28年10月31日 | 6弱 | 6.6 | 約1.6万戸 | 4日 |
大阪府北部を震源とする地震 | 平成30年6月18日 | 6弱 | 6.1 | 約9.4万戸 | 2日 |
平成30年北海道胆振東部地震 | 平成30年9月6日 | 7 | 6.7 | 約6.8万戸 | 34日(家屋等損壊地域除く) |
福島県沖の地震 | 令和3年2月13日 | 6強 | 7.3 | 約2.7万戸 | 6日 |
福島県沖の地震 | 令和4年3月16日 | 6強 | 7.4 | 約7.0万戸 | 7日 |
※駿河湾の断水戸数は緊急遮断弁の作動が多数あったことによる
地震により水道施設や管路が被害を受け、多数の世帯で断水が発生し、復旧までに時間を要しています。
厚生労働省では、今後の施設更新に合わせて水道施設全体をしっかりとした耐震性のあるものに換えていくため、「水道施設の技術的基準を定める省令」の一部を改正(平成20年10月1日施行)しています。また、既存施設についてその重要度や優先度を考慮し、計画的に耐震化に取り組むよう各水道事業者に対して助言・指導を行っています。
平成20年4月8日健水発第0408001号[PDF形式:100KB]
本件お問い合わせ
国土交通省 水管理・国土保全局 水道事業課
電話 03-5253-8111