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TOPIC 2|PLATEAU VIEWで体験する[2/2]|他の地理空間情報を重ねて確認

PLATEAU VIEWを使って、PLATEAUの3D都市モデルを表示するだけでなく、他の地理空間情報と重ね合わせや、タイムラインなどを表示してみましょう。※PLATEAU VIEW 3.0の公開に合わせ、本チュートリアルの内容をアップデートしています。(2024.3.29)

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【目次】

2.5  テクスチャを付けてリアルに見る

2.6  他の地理空間情報を重ねて確認する

 2.6.1  統計データでヒートマップを表示する

 2.6.2  標高ヒートマップを表示する

 2.6.3  任意の作図結果を重ねて表示する

2.7  タイムラインを表示する

 2.7.1  太陽光シミュレーション

 2.7.2  時系列人流データを表示する

2.8  ARでみる

 2.8.1  PLATEAU VIEWからARビューへ遷移する

 2.8.2  ARビューの中でデータを選択する

 2.8.3  見た目を補正する

2.9  まとめ

2.10  PLATEAU VIEW推奨環境

2.5 _ テクスチャを付けてリアルに見る

3D都市モデルには、テクスチャ(模様)のデータも含まれています。LOD2のテクスチャは、基本的に航空写真を加工して貼り付けています。

データセット画面で、[LOD2]や[LOD3]を選択すると、地物にテクスチャが貼り付けられ、よりリアルに表示されます。

ただしテクスチャは大きなデータなため、表示にはしばらく時間がかかります。処理速度が十分ではないパソコンで見ると、マウスやキーボードの操作に追従しないこともあります。PLATEAU VIEWの最適なマシンスペックについては、「2.10 PLATEAU VIEW推奨環境」をご覧ください。

すでにTOPIC 3【3D都市モデルでできること】「3.4.3 _ LOD2」でも説明しましたが、テクスチャが提供されるのは、LOD2以上のデータが提供されているエリアがほとんどです。基本的にLOD1の地域は、箱モデルとしてしか表示されません。

図2-33 新宿区LOD2モデル(テクスチャあり)

2.6 _ 他の地理空間情報を重ねて確認する

PLATEAU VIEWでは、建築物モデル以外にもさまざまな種類のデータを重ねて表示できます。特に、PLATEAU VIEW 3.0からは、ヒートマップ表現が導入され、より発展的なデータビジュアライゼーションを体験できます。

2.6.1 統計データでヒートマップを表示する

[1]統計データを選択する

サイドバーの[都道府県]タブを開き、[地域メッシュ]の中の[人口(総数)]をクリックしましょう(図2-34)。

図2-34 サイドバーから任意の統計データを選択する

[2]統計データを閲覧する

すると、統計データを元にヒートマップが描画されます(図2-35)。

図2-35 統計データによるヒートマップ表現

ヒートマップの色設定も、建築物モデルの色変更と同じように変更できます(図2-36)。

図2-36 統計データによるヒートマップ表現(Makoによる着色)

2.6.2 _ 標高ヒートマップを表示する

統計データだけでなく、標高データを用いたヒートマップ表現も可能です。画面上部ツールバーの地図設定から、[標高]を選択すると、標高値によるヒートマップを表現できます(図2-37、図2-38)。

図2-37 標高値によるヒートマップ表現(都市レベル)
図2-38 標高値によるヒートマップ表現(都道府県レベル)

【メモ】

標高値によるヒートマップ表現で利用されているデータは、国土地理院が提供している標高タイルを利用しています。

2.6.3 _ 任意の作図結果を重ねて表示する

PLATEAU VIEWでは、任意の3D作図結果を重ねて表示することも可能です。都市計画の簡単なシミュレーション等に利用できるでしょう。

[1]対象地物を非表示にする

まずは、現存する建物を非表示にし、そこに作図結果を書きます。(作図機能は建築物を非表示にせずとも利用できます。すでに存在する空き地に作図をする場合は、[2]から操作してください。)

画面上部ツールバーから、地物選択モードへ切り替え、対象の地物を選択します。画面右側のインスペクターの[隠す]ボタンをクリックし、対象の建物を非表示にします(図2-39)。

図2-39 特定の建物の非表示

[2]作図モードへ切り替える

画面上部ツールバーの作図ボタンをクリックし、[立方体]を選択します(図2-40)。

図2-40 作図モードへの切り替え

[3]3D図形の作図

作図モードが有効の状態で地図上にマウスを移すと作図できます。まず平面図形を作図し、その後押し出す形で3D図形を作成します(図2-41)。任意の高さまで押し出した後、マウスの左クリックをすることで、作図を完了します。

図2-41 3D図形の作図

[4]作図結果のエキスポート

作図を完了すると、作図結果をGeoJSONの形式でエクスポートできます(図2-42)。

図2-42 作図結果のエキスポート
コラム:任意の地理空間情報を追加する

画面上部ツールバー内のPLATEAUアイコンをクリックし、[Myデータ]を選択すると、任意の地理空間情報を地図上に追加できます(図2-43、図2-44)。

図2-43 Myデータ追加ボタン
図2-44 Myデータ追加画面

G空間情報センターでは、さまざまな地理空間情報をダウンロードできます。例えば、「国土数値情報(福祉施設)ー東京都」があります(図 2-45)。
福祉施設のデータをダウンロードして、図 2-43の画面にドラッグ&ドロップすると、図2-46のように取り込まれ、福祉施設情報のマーカーが地図上に重畳されます。
興味あるデータを見つけて、いろいろと試してみるとよいでしょう。

【メモ】

G空間情報センターで公開されているすべてのデータを利用できるわけではありません。GISでは利用できないPDF形式やテキスト形式などのデータも混じって提供されています。PLATEAU VIEWで読み込めるのは、「GeoJSON」「KML/KMZ」「CSV」「CZML」「GPX」「GeoRSS」「glTF」「Shapefile(zip)」に限られます。またこれらのファイルであっても、ジオメトリ(位置情報)を持たないデータの場合は、地図上には表示されません。

図2-45 国土数値情報(福祉施設)
図2-46 国土数値情報(バスルート)

2.7 _ タイムラインを表示する

PLATEAU VIEWには、時系列情報を表示する「タイムライン」という機能があります。この機能を使うと、時間帯によって昼や夜、日陰の状態を表示できるだけでなく、時刻に伴う人流データなどの重ね合わせを表現できます。

2.7.1 _ 太陽光シミュレーション

PLATEAU VIEWでは、任意の日時における太陽光のシミュレーションができます。

[1]太陽の位置を操作する

画面上部ツールバーの[日時]アイコンをクリックします。すると、特定の日時における太陽高度や日の入、日の出の時刻などが表示されます(図2-47)。

図2-47 特定日時における太陽光シミュレーション

[2]特定の日時における日陰を閲覧する

図2-7で表示されているグラフを操作することで、太陽を特定の日時における位置に置くことができます(図2-48)。

図2-48 指定した日時での太陽光シミュレーションができる

2.7.2 _ 時系列人流データを表示する

時系列のデータを表示する例として、人流データを見てみましょう。

[1]データを追加する

例として、画面左サイドバーの検索に[新宿]を入力し、[モザイク通り(新宿駅西口~南口間)]をクリックして地図上に追加します(図2-49)。

図2-49 [モザイク通り(新宿駅西口~南口間)]データの追加

[2]タイムラインを再生する

追加されたら、画面右インスペクターにタイムライン再生用のUIが表示されます(図2-50)。再生ボタンを押すと、対象データのアニメーションが再生されます。アニメーションを通して、新宿駅西口方向から新宿駅南口方向への人流と、その反対方向の人流が閲覧できます。

図2-50 タイムライン再生用UI

【メモ】

可視化の方法はデータセットに依存します。新宿人流データでは、人流がポーンで表示されていますが、色の濃度で表示されたり、棒グラフの高さで表示されるものなど、さまざまです。

2.8 _ ARで見る

PLATEAU VIEW 3.0では、スマートフォンのWebARを用いて3D都市モデルデータを現実世界に重畳表示して見ることができます。

2.8.1 _ PLATEAU VIEWからARビューへ遷移する

図2-51 PLATEAU VIEW 3.0のARボタン

PLATEAU VIEW 3.0をスマートフォンで開くとARボタンが表示されます。
データを選択した状態でこちらのボタンを押すことで、選択されているデータをARビューにて確認が可能です。

図2-52 PLATEAU VIEW AR

ARビューに遷移後は、実際に選択したデータがある場所まで行き、データをカメラビューに重畳する形で確認することができます。

2.8.2 _ ARビューの中でデータを選択する

また、ARビューはこちらのURLから直接アクセスすることも可能です。こちらのURLからアクセスする際にはデータは何も選択されていない状態でアクセスされます。

ARビューに遷移後もPLATEAU VIEW 3.0と同様にデータを選択、表示することが可能です。
データ選択のアイコンをタップし、データを選択、表示することで現地にてカメラビューに重畳することができます。

図2-53 データ選択UI

表示したデータをタップすることで、そのデータのメタデータなども閲覧可能です。

2.8.3 _ 見た目を補正する

[1]コンパスの補正

ARビューではコンパスのブレによる見た目の補正を行うことができます。

図2-54 コンパスのブレによる見た目の補正を行う様子

画面右上のコンパスのアイコンをタップすることで、コンパスのブレによる見た目を補正するスライダーが表示されます。こちらを動かすことで表示中の3D都市モデルが移動し、現実世界に合うように補正することができます。

[2]FOVの補正

スマートフォンは端末によりFOV(Field Of View:視野のこと)が異なります。そのためFOVの違いによる補正をしないと表示している3D都市モデルがカメラの映像に合わなくなってしまいます。

図2-55 FOVの違いによる見た目の補正を行う様子

画面右上のFOVのアイコンをタップすることで、FOVの違いによる見た目を補正するスライダーが表示されます。こちらを動かすことで表示中の3D都市モデルが動き、現実世界に合うように補正することが可能です。

コラム:PLATEAU VIEWのソースファイル

PLATEAU VIEW 3.0は、Re:Earthをベースとしたオープンソースのプロジェクトです。PLATEAU VIEWで実現した機能を含む、Re:Earthのソースコードは、下記のGitHubにあります。

ビルド方法なども記載されており、カスタマイズして利用することも可能です。なお、旧バージョンのPLATEAU VIEW 1.1はTerriaMapをベースに開発されたもので、PLATEAU VIEW2.0以降はRe:Earthをベースに移行されました。

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【PLATEAU VIEW 3.0(最新)のソースコード】
https://github.com/project-PLATEAU/PLATEAU-VIEW-3.0

【PLATEAU VIEW 2.0のソースコード】
https://github.com/project-PLATEAU/PLATEAU-VIEW-2.0

【PLATEAU VIEW 1.1(旧バージョン)のソースコード】
https://github.com/Project-PLATEAU/PLATEAU-VIEW
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2.9 _ まとめ

・PLATEAU VIEWは、ブラウザで使えるGIS(WebGIS)です。3D都市モデルはもちろん、それ以外の地理空間情報も重ねて表示できます。
・地物に付与されているさまざまな属性は、画面上でクリックすることで確認できます。
・地物には、区別するためのIDが付与されています。このIDはプログラムなどから地物を特定するときに役立ちます。ただし将来にわたって同じ値であるとは限りません。
・自分で作成した任意の地理空間情報を重ねて表示できます。
・ヒートマップ表現などと重ねることで、新たな知見が得られます。
・タイムライン機能を使うと、時間で変化する情報をアニメーション表示できます。
・LOD2以上のモデルが提供されている地域では、テクスチャを有効にすることで、よりリアルに表示できます。
・ベータ版のARを利用することで、より没入感のあるデータ閲覧ができます。

2.10 _ PLATEAU VIEW推奨環境

PLATEAU VIEWは高度な3DCG技術を駆使しているため、快適に閲覧するには、比較的高スペックなマシン性能が求められます。以下は、PLATEAU VIEWでデータを閲覧するための最低利用環境と、推奨利用環境です。

利用環境

OS
・Windows
・macOS
・Linux
・Chrome OS
・iOS
・Android

Browser
・Chrome 58+
・Firefox 57+
・Safari 11+ (macOSのみ)
・Microsoft Edge
・iOS(11+) Safari
・Android(10+) Chrome

マシンスペック
最低
・Intel core i5
・RAM:16GB
・グラフィックカード等(PLATEAU VIEWでは、地球儀の表示等にWebGLを利用しています。そのため、それらの動作には、WebGLをサポートするグラフィックカード及びグラフィックチップが必要です。近年のPCやタブレット端末で利用されているCPUやモバイル端末の多くはグラフィックチップを内蔵しており、多くの場合、問題なく動作します。PLATEAU VIEWでは、標準的な3Dグラフィックが描画できる程度のグラフィックカードをデバイスが内蔵していることを想定しています)
推奨
・Intel corei7
・RAM:32GB

ネットワーク
3D都市モデル等のデータダウンロードに十分なネットワーク環境(ダウンロード:50Mbps以上等)

【文】

馬場英道(株式会社Eukarya)

【協力】

大澤文孝