TOPIC 2|PLATEAU VIEWで体験する[2/2]|他の地理空間情報を重ねて確認
PLATEAU VIEWを使って、PLATEAUの3D都市モデルを表示するだけでなく、他の地理空間情報と重ね合わせや、タイムラインなどを表示してみましょう。
※PLATEAU VIEW 2.0の公開に合わせ、本チュートリアルの内容をアップデートしています。(2023.3.27)

【目次】
2.4 テクスチャを付けてリアルに見る
2.5 他の地理空間情報を重ねて確認する
2.5.1 従業者数を表示する
2.5.2 リアルタイムデータを追加する
2.6 タイムラインを表示する
2.6.1 タイムラインを表示する
2.6.2 日影の状態を表示する
2.6.3 アニメーション表示する
2.6.4 時系列の人流データを表示する
2.7 まとめ
2.8 参考動画
2.4 _ テクスチャを付けてリアルに見る
3D都市モデルには、テクスチャ(模様)のデータも含まれています。LOD2のテクスチャは、基本的に航空写真を加工して貼り付けています。
データセット画面で、[テクスチャ付き]もしくは[テクスチャ付き(低解像度)]を設定すると、地物にテクスチャが貼り付けられ、よりリアルに表示されます。
ただしテクスチャは大きなデータなので、表示にはしばらく時間がかかります。処理速度が十分ではないパソコンで見ると、マウスやキーボードの操作に追従しないこともあります(そのようなときは[テクスチャ付き(低解像度)]を試してみてください)。
すでに【3D都市モデルでできること】でも説明しましたが、テクスチャが提供されるのは、LOD2以上のデータが提供されているエリアだけです。図 2-23を見るとわかりますが、LOD1の地域は、箱モデルとしてしか表示されません。

2.5 _ 他の地理空間情報を重ねて確認する
PLATEAU VIEWは、GISなので、他の地理空間情報と重ねられます。
PLATEAU VIEWは、3D都市モデル以外にも、いくつかの地理空間情報を持っており、建物モデルを追加したときと同様に、[+カタログから検索する]をクリックすると表示される[データカタログ]から追加できます。
いくつか試してみましょう。
2.5.1 _ 従業者数を表示する
【3D都市モデルでできること】では、PLATEAUの3D都市モデルに従業者数を重ねる例を示しました(「1.2.3 GISを用いた統計・分析」を参照)。これを実際にやってみましょう。
従業者数のデータは、[東京都]―[ユースケース]―[都市活動]の[経済センサス従業者数 平成28年度]にあります。これを追加します(図 2-24)。すると図 2-25のように、従業者数が多いほど色が濃くなっているマップが重なります。


2.5.2 _ リアルタイムデータを追加する
データカタログには、さまざまなデータがあります。例えば[東京都]―[リアルタイムデータ]には、バスのリアルタイムな位置を示すデータがあります。これをインポートすると、バスの位置がリアルタイムにわかります(図 2-26)。
【メモ】
データカタログで提供されるデータは、将来にわたって提供が保障されるものではありません。バスロケーション情報は、東京公共交通オープンデータチャレンジ(https://ckan-tokyochallenge.odpt.org/dataset/b_bus_location-toei)に基づいて提供されるものです。


コラム:任意の地理空間情報を追加する
データカタログのダイアログで[マイデータ]に切り替えると、任意の地理空間情報を地図上に追加できます(図 2-28)。

G空間情報センター(https://front.geospatial.jp/)では、さまざまな地理空間情報をダウンロードできます。例えば、「国土数値情報(バスルート)」があります(https://www.geospatial.jp/ckan/dataset/ksj-n07)(図 2-29)。実際のデータは、リンクされている「国土数値情報ダウンロード」から、都道府県別のデータとして入手できます(https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-N07.html#prefecture13)。
東京都のデータをダウンロードして、ZIP形式のまま図 2-28の画面にドラッグ&ドロップすると、図 2-30のように取り込まれます。その結果、地図上に、バスルートが表示されます(図 2-31)。
興味あるデータを見つけて、いろいろと試してみるとよいでしょう。
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【メモ】
G空間情報センターで公開されているすべてのデータを利用できるわけではありません。GISでは利用できないPDF形式やテキスト形式などのデータも混じって提供されています。PLATEAU VIEWで読み込めるのは、「GeoJSON」「KML/KMZ」「CSV」「CZML」「GPX」「GeoRSS」「glTF」「Shapefile(zip)」に限られます。またこれらのファイルであっても、ジオメトリ(位置情報)を持たないデータの場合は、地図上には表示されません。
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2.6 _ タイムラインを表示する
PLATEAU VIEWには、特定の日時の状態を表示する「タイムライン」という機能があります。この機能を使うと、時間帯によって昼や夜、日陰の状態を表示できるだけでなく、時刻に伴う人流データなどを重ね合わせたとき、特定の時刻の状態を表示できます。
2.6.1 _ タイムラインを表示する
画面下部にタイムラインが表示されています。[×]をクリックして縮小することも可能です(図2-32)。

2.6.2 _ 日影の状態を表示する
タイムラインの部分をマウスで左右にドラッグすると、その日時の状態が表示されますが、この段階では、日時によって変化するデータがないので、見た目が変わりません。そこで、見た目が変わる例として、建築物などの「日影」を表示してみます。
左側のデータセットの設定に[影]の選択肢があるので、プルダウンリストから[投影と受光]を選択します。すると、建築物に影が付きます(図2-33)。
この状態でタイムラインを左右に操作すると、日時によって影の向きが変わることがわかります(図2-34)。



図2-34 タイムラインを操作したところ
2.6.3 _ アニメーション表示する
タイムラインの左側にある各種ボタンをクリックすると、自動的に時間が進み、アニメーションとして表示できます(図2-35)。
【メモ】
時系列のデータを重ねていない場合、移動できる時刻の範囲は当日の範囲に限られます。

2.6.4_ 時系列の人流データを表示する
時系列のデータを表示する例として、人流データを見てみましょう。
[1]データセットを追加する
[カタログから検索する]をクリックして、データセットを追加します。
[2]人流データを追加する
さまざまなデータがありますが、ここでは、渋谷の人流データを例にとります。「人流」で検索すると、いくつかの候補が表示されるので、「渋谷人流データ」を選択して追加します(図2-36)。

[3]タイムラインで表示される
追加されたら、データが存在する場所の周辺に視点を移動します。タイムラインを操作すると、どの場所にどのぐらいの人がいるのかが、黄色い球で表示されます(図2-37)。
【メモ】
可視化の方法はデータセットに依存します。渋谷人流データは球で表示されていますが、色の濃度で表示されたり、棒グラフの高さで表示されるものなど、さまざまです。

コラム:PLATEAU VIEWのソースファイル
PLATEAU VIEW 2.0は、Re:Earthをベースとしたオープンソースのプロジェクトです。PLATEAU VIEWで実現した機能を含む、Re:Earthのソースコードは、下記のGitHubにあります。
ビルド方法なども記載されており、カスタマイズして利用することも可能です。なお、旧バージョンのPLATEAU VIEW 1.1はTerriaMapをベースに開発されたものです。
【PLATEAU VIEW 2.0のソースコード】(近日公開)
https://github.com/project-PLATEAU/PLATEAU-VIEW-2.0
【PLATEAU -VIEW 1.1(旧バージョン)のソースコード】
https://github.com/Project-PLATEAU/PLATEAU-VIEW
2.7 _ まとめ
・PLATEAU VIEWは、ブラウザで使えるGIS(WebGIS)です。3D都市モデルはもちろん、それ以外の地理空間情報も重ねて表示できます。
・地物に付与されているさまざまな属性は、画面上でクリックすることで確認できます。
・地物には、区別するためのIDが付与されています。このIDはプログラムなどから地物を特定するときに役立ちます。ただし将来にわたって同じ値であるとは限りません。
・自分で作成した任意の地理空間情報を重ねて表示できます。
・タイムライン機能を使うと、時間で変化する情報をアニメーション表示できます。
・LOD2以上のモデルが提供されている地域では、テクスチャを有効にすることで、よりリアルに表示できます。
2.8 _ 参考動画



【文】
大澤文孝
【監修】
石丸伸裕(OGC CityGML仕様策定WG副議長)
黒川史子(アジア航測株式会社)
小林巌生(インフォ・ラウンジ株式会社)