uc24-01

商業施設等の立地に関する交通シミュレータの開発

実施事業者一般社団法人計量計画研究所 / 株式会社アイ・トランスポート・ラボ / 株式会社シナスタジア
実施場所東京都港区台場
実施予定2024年11月
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3D都市モデルを含むオープンデータを活用し、ミクロ交通シミュレーションの実施に必要なインプットデータを簡易かつ低コストに生成するツールを開発。大規模不動産開発に伴う交通影響解析の実施ハードルを下げ、道路交通対策の高度化に貢献する。

本プロジェクトの概要

大規模な不動産開発に伴って発生する周辺道路の渋滞発生は、施設利用者や周辺住民の生活に多大な影響を及ぼす社会問題となっている。開発に伴う交通影響の評価方法としてミクロ交通シミュレーション等の高度な解析手法が期待されているが、元となるデータの取得や整備に手間がかかり、実務での活用は進んでいない。本プロジェクトでは、3D都市モデルやその他のオープンデータを活用し、ミクロ交通シミュレーションに必要なデータを自動生成するツールおよびシミュレーション結果をわかりやすく可視化するツールを開発し、交通影響評価をベースとした道路交通対策の検討や関係者間の迅速な合意形成に貢献する。

実現したい価値・目指す世界

近年、産業構造の変化などに伴い大規模な低未利用地が発生したことなどにより、市街地における大規模な都市開発や郊外における商業施設等の新設が行われている。このような開発は、その規模の大きさや交通需要の多さから、発生集中交通量が大きく、渋滞等のさまざまな交通問題を生じる可能性が高い。これらの問題に対処するためには、個別の開発に先立って、開発に伴う発生集中交通量の予測、既存の交通施設への影響の評価及び必要な交通対策の立案を行い、開発に併せて必要な道路交通対策を実施することが必要である。これに対し、個々の車両における行動を考慮し、実際の交通状況に近い効果を予測する自動車のミクロ交通シミュレーション等の活用が期待されるが、シミュレーションの実行に必要となるデータ群の整備において、データ自体の取得の手間やシミュレーション用データへの変換のハードルが高く、実務レベルでの活用が進んでいない。 

今回のプロジェクトでは、ミクロ交通シミュレーションに必要なインプットデータを簡易に生成するシミュレーションデータ生成ツールおよびシミュレーション結果可視化ツールを開発する。シミュレーションデータ生成ツールには、3D都市モデルの建築物モデル、交通(道路)モデル、地形モデルをインプットとした道路ネットワークデータ生成機能や交通発生点*1の設定機能のほか、道路交通に関するオープンデータを活用したOD交通量*2の推計機能や開発交通量*3の推計機能をもたせ、これらの機能により、ミクロ交通シミュレータの利用に必要なインプットデータ群を自動生成する。シミュレーション結果可視化ツールは、シミュレーション結果を3D表示でわかりやすく可視化する機能をもち、大規模な不動産開発において生じる道路交通への影響評価についての関係者間の認識共有を補助し、対策に関する合意形成を促進する。
*1 交通発生点:交通シミュレータにおける交通流の発生源や発着点
*2 OD交通量:Origin(出発地)-Destination(到着地)の略語
*3 開発交通量:新たな開発地域や施設が完成した際に想定される交通量や交通需要

専門知識をもたずとも手元の端末で汎用的にミクロ交通シミュレーションを実施できる環境を構築することにより、高度な交通影響の解析を手軽かつ低コストに実現し、交通影響評価に基づく施策の蓋然性を高め、都市の持続可能な発展に寄与する。

対象エリア(港区台場)の地図(2D)
対象エリア(港区台場)の地図(3D)