環境

令和6年度全国多自然川づくり会議 開催記録

  • 日時:令和6年12月9日(月)・10日(火)
  • 会場:さいたま新都心合同庁舎2号館5階会議室
  • 参加者:約270名(国、都道府県、政令市の河川担当者)
  • プログラム:PDF

全国多自然川づくり会議は、多自然川づくりに対する知見の蓄積や意識の向上を目的とし、国土交通省主催で、平成15年頃から国・都道府県・政令市の河川担当者を対象として毎年開催しています。
令和6年度は、各地方整備局単位で実施されるブロック会議(地方予選)で選抜・推薦された優秀事例を、会場(オンライン併用)で発表・議論頂き、その中から「代表事例」4事例が選定されました。

1日目:12月9日(月)

分科会発表・討議
9つの地方ブロック会議(計100事例)において選ばれた28事例の発表を行いました。

2日目:12月10日(火)

基調講演「流域の恵みを地域社会に活かすためのグリーンインフラ」
東京大学 ⼤学院農学⽣命学研究科 吉田 丈人教授からご講演を頂きました。

全体発表
28事例から選ばれた代表4事例について、発表及び討議を行いました。
また、代表4事例について、表彰を行いました。

地方ブロック会議概要

令和6年度】 計100事例
令和5年度】 計101事例
令和4年度】 計97事例
令和3年度】 計96事例
令和2年度】 計83事例
令和元年度】 計105事例
平成30年度】 計109事例

分科会発表・討議

第1分科会:河川改修等における工夫事例

第1分科会 発表事例一覧 発表事例一覧
(1)信濃川下流における縦断方向に長大な地区の河道掘削形状の検討について
北陸地方整備局 信濃川下流河川事務所  南 大地
事例概要発表資料
主な関係者
(アドバイザー) 新潟大学 紙谷名誉教授
(調査関係者)  株式会社東京建設コンサルタント北陸支店
(工事関係者)  小柳建設株式会社
(2)雨竜川の多自然川づくりについて~多様な場の保全・創出に向けて~
北海道 上川総合振興局 旭川建設管理部  大髙 広勢
事例概要発表資料
主な関係者
(調査設計関係者) 株式会社 ドーコン
          株式会社 北海道技術コンサルタント
          株式会社 和光技研
(地域の関係団体) 国土交通省 北海道開発局 札幌開発建設部
          幌加内町役場
(3)忠別川における多自然川づくりの取り組み及び効果の検証について:代表事例
北海道開発局 旭川河川事務所  吉岡 大輔
事例概要発表資料
主な関係者
(調査・計画業務関係者)株式会社エコテック
(4)樹木管理を通じた再繁茂対策について
中国地方整備局 太田川河川事務所  川本 優汰
事例概要発表資料
主な関係者
(工事関係者)   株式会社三洋技建
(調査設計関係者) 株式会社建設技術研究所
(5)長尾箇所における河床安定化対策(河床低下抑制)について
四国地方整備局 香川河川国道事務所  鵜島 春吉
事例概要発表資料
主な関係者
(対策検討関係者) 対策会議メンバー
        (香川大学 長谷川特任教授、香川大学 石塚教授、
         香川高専 高橋准教授、国総研 瀬崎河川研究室長)
(工事関係者)   株式会社岩崎建設
(調査設計関係者) いであ株式会社
          四国建設コンサルタント株式会社
(6)菊池川千畳河原における景観を生かした護岸施工
熊本県 県北広域本部  柴尾 映里奈
事例概要発表資料
主な関係者
(測量設計会社) 株式会社九州技研コンサルタント
(地域の関係団体)滝・黒仁田地区
(7)旧吉野川向喜来箇所における干潟再生について
四国地方整備局 徳島河川国道事務所  丸橋 亮太
事例概要発表資料
主な関係者
(河川渓流環境アドバイザー)阿南工業高等専門学校 大田直友准教授
(調査関係者) 株式会社建設環境研究所
(設計関係者) 株式会社エイト日本技術開発
(工事関係者) 株式会社姫野組

第2分科会:環境整備事業等を活用した工夫事例(魅力あるにぎわい空間の創出を含む)

第2分科会 発表事例一覧 発表事例一覧
(1)荒川「たんぽ」の順応的な維持管理について
北陸地方整備局 羽越河川国道事務所  石山 慧
事例概要発表資料
主な関係者
(調査設計関係者) 株式会社 東京建設コンサルタント
(2)多種魚類に適した魚道整備
岐阜県 可茂土木事務所  今井 雅人
事例概要発表資料
主な関係者
(施工指導者) 吉備国際大学農学部海洋水産生物学科 浜野 龍夫 教授
(設計指導者) 岐阜大学環境社会共生体研究センター 原田 守啓 教授
(調査設計関係者) 株式会社ユニオン
(工事関係者) 株式会社半布里産業
(3)自然再生事業における沿川中学校との連携
関東地方整備局 利根川下流河川事務所  降幡 信我
事例概要発表資料
主な関係者
(地域の関係団体)東庄町立東庄中学校
         銚子市立銚子西中学校
         神栖市立波崎第二中学校
         波崎愛鳥会
(調査設計関係者)エコー・河川財団・日水コン設計共同体
(4)関東エコロジカル・ネットワーク10年間の取組み
関東地方整備局 河川部  島内 あゆ
事例概要発表資料
主な関係者
(推進協議会) 東京都市大学 涌井特別教授
        日本獣医生命科学大学 羽山教授
        埼玉大学 淺枝名誉教授
        東邦大学 長谷川名誉教授
(5)地域との連携や歴史資源を活かした、玉城町かわまちづくりの推進
中部地方整備局 三重河川国道事務所  新保 元輝
事例概要発表資料
主な関係者
(産業) 玉城町商工会 関係者
(地域関係者) 曽根・昼田区長
(行政) 玉城町
(調査設計関係者) 株式会社八千代エンジニヤリング(設計)
          株式会社建設環境研究所(かわまちづくり計画)
(6)菊池市かわまちづくりにおける合意形成について:代表事例
九州地方整備局 菊池川河川事務所  青木 繁
事例概要発表資料
主な関係者
(地域の関係団体) 菊池市・熊本大学・菊池高校・菊池南中学校
(7)魅力的な水辺空間を目指した蒼社川下流域における取り組みについて
愛媛県 土木部  板橋 弘和
事例概要発表資料
主な関係者
(設計関係)株式会社パスコ
(関係機関)今治市役所、今治土木事務所

第3分科会:災害復旧等における工夫事例

第3分科会 発表事例一覧 発表事例一覧
(1)令和5年7月梅雨前線豪雨後の巨瀬川における河道掘削:代表事例
九州地方整備局 筑後川河川事務所  上杉 幸輔
事例概要発表資料
主な関係者
(工事関係者)濱崎建設株式会社
       井樋建設株式会社
(2)沼田川における魚類等の遡上に配慮した河川改修事例について
広島県 河川課  赤木 秀至
事例概要発表資料
主な関係者
(調査設計関係者) 中電技術コンサルタント株式会社
          ウムヴェルト株式会社尾道営業所
          株式会社荒谷建設コンサルタント三原事務所
(工事関係者) 山陽建設株式会社
        株式会社青木組
(3)災害復旧事業に伴い整備した魚道の検証
山口県 土木建築部  平山 康介
事例概要発表資料
主な関係者
(共同研究者) 水産大学校生物生産学科 荒木教授
(4)人と自然と景観の調和をもう一度!多自然川づくりに取組んだ河川における維持管理について
岩手県 県土整備部  田上 翔吾
事例概要発表資料
主な関係者
(共同研究者)岩手県盛岡広域振興局土木部岩手土木センター
       河川砂防チーム
(5)千種川水系における小さな自然再生事業の実践と今後の展開について
兵庫県 光都土木事務所  梶島 佑太
事例概要発表資料
主な関係者
(地域の関係団体) 千種川圏清流づくり委員会
         加里屋川ふるさとの川整備連絡協議会
         兵庫県立上郡高等学校地域環境科
         山野里なんでも探検隊
         千種川漁業協同組合
(6)岩木川の河道掘削事業における環境への配慮について
東北地方整備局 青森河川国道事務所  木村 覚輝
事例概要発表資料
主な関係者
(調査関係者)いであ株式会社
(7)北上川汽水域における盤下げ試験施工について
東北地方整備局 北上川下流河川事務所  中村 恭太
事例概要発表資料
主な関係者
(調査関係者)株式会社建設環境研究所

第4分科会:河川の維持管理等における工夫事例(外来種対策を含む)

第4分科会 発表事例一覧 発表事例一覧
(1)維持修繕工事における多自然川づくりの取組み~持続可能な取組みを目指して~:代表事例
宮崎県 都城土木事務所  満木 寿成
事例概要発表資料
主な関係者
(工事関係者)稲元建設株式会社
(2)新たな堤防植生管理の手法について
近畿地方整備局 近畿技術事務所  大久保 昌英
事例概要発表資料
主な関係者
(調査設計関係者) 河川財団・日本工営設計共同体 宝藤 勝彦
(3)一庫ダムにおける河川環境復元対策と効果について
独立行政法人水資源機構 一庫ダム管理所  北爪 皓
事例概要発表資料
主な関係者
(学識経験者) 一般社団法人淡水生物研究所 森下郁子 所長
(関係団体)  猪名川漁業協同組合
(4)平取ダムにおける多自然川づくりの取り組み
北海道開発局 室蘭開発建設部鵡川沙流川河川事務所 平取ダム管理支所  七五三 拓海
事例概要発表資料
主な関係者
(地域の関係団体) 平取町役場
          アイヌ施策推進課
          アイヌ文化保全対策室
(5)ぼくらの川★生き物助け隊~瀬名新川・水辺の小さな自然再生~
静岡県 静岡土木事務所  島﨑 優大
事例概要発表資料
主な関係者
(流域住民)  静岡県科学技術高校 中安さん
        東瀬名町の親子の皆さん
(大学生)   東海大学海洋学部水棲環境研究会
        常葉大学自然体験活動クラブ「ビオエデュ」
(工事関係者) 有限会社オカムラ
(6)熊野川における魚道改修計画と基礎知識講座について
富山県 土木部  山本 峻聖
事例概要発表資料
主な関係者
(調査会社)    株式会社ニュージェック
(講座講演・参加者)富山大学
          富山県立大学
          富山国際大学
(講座解説者)   応用生態工学会
(7)~人と鳥の共生を目指して~千葉ニュータウンにおける鳥害対策
千葉県 印旛土木事務所  音 杏奈
事例概要発表資料
主な関係者
(関係団体)      戸神台東自治会
           公園指定管理者
(ヒアリング先専門家) 長岡技術科学大学 山本 麻希 准教授
            国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合
           研究機構 益子美由希 主任研究員
(協力団体)      NPO行徳自然ほごくらぶ

基調講演

流域の恵みを地域社会に活かすためのグリーンインフラ

東京大学 ⼤学院農学⽣命学研究科 教授 吉田 丈人

 「流域の恵みを地域社会に活かすためのグリーンインフラ」と題して東京大学⼤学院農学⽣命学研究科の吉田教授よりご講演いただきました。
 ネイチャーポジティブを実現するには、河川の中だけでなく、流域(河川の外)の自然や社会なども考慮した「多自然流域づくり」が重要な視点となります。日本各地には伝統的なグリーンインフラが存在しますが、どのように活かされ役立っているかを知ることも多自然流域づくりを進めていくうえで大切なことです。グリーンインフラと自然再生は一緒に取組む必要があります。自然再生は、水辺の生態系の再生だけでなく、地域のにぎわいの再生や文化の伝承(暮らし・文化を守ること)にも関わることです。地域で話し合ってきたことを、手引きやガイドラインとして残しておくことで、いま現在の活動が進めやすくなりますし次世代にもつながります。また、「なぜ多自然川づくりが大切なのか?」という問いに対しては、ウェルビーイングへの自然環境の貢献が1つの答えとなり得ます。


全体発表

コメンテータ

  • 岐阜大学 環境社会共生体研究センター 教授 原田 守啓
  • 金沢大学 ⼈間社会研究地域創造学系 講師 坂本 貴啓
  • 熊本大学 ⼤学院先端科学研究部 教授 皆川 朋子
  • 土木研究所 流域水環境グループ グループ長 中村 圭吾

選出された代表事例

第1分科会

  • 『忠別川における多自然川づくりの取り組み及び効果の検証について』
  • 北海道開発局 旭川開発建設部 旭川河川事務所  吉岡 大輔
  • 主な関係者:(調査・計画業務関係者)株式会社エコテック
  • 事例概要  発表資料

選出理由
  • 固定化した川を再び動く川に戻そうというコンセプトのもと、その川が本来有している流量や土砂のダイナミズムや自然の営みを視野に入れた川づくりに踏み出している点などが評価された。

第2分科会

  • 『菊池市かわまちづくりにおける合意形成について』
  • 九州地方整備局 菊池川河川事務所  青木 繁
  • 主な関係者:(地域の関係団体) 菊池市・熊本大学・菊池高校・菊池南中学校
  • 事例概要  発表資料

選出理由
  • 施工段階でどのように市民参加を実現したか、全国の様々な箇所・それぞれの工程の中で参考になる点が評価された。また、かわまちづくりは高水敷を活用したものが多いが、水域(川の営力)に着目している点もよかった。

第3分科会

  • 『令和5年7月梅雨前線豪雨後の巨瀬川における河道掘削』
  • 九州地方整備局 筑後川河川事務所  上杉 幸輔
  • 主な関係者:(工事関係者)濱崎建設株式会社・井樋建設株式会社
  • 事例概要  発表資料

選出理由
  • 限られた時間の中で、施工業者の教育をしつつ、主体的にワンドを造ってもらった災害復旧の事例に加え、今後の多自然川づくりを進める上での問題提起もしている点が評価された。

第4分科会

  • 『維持修繕工事における多自然川づくりの取組み~持続可能な取組みを目指して~』
  • 宮崎県 都城土木事務所  満木 寿成
  • 主な関係者:(工事関係者)稲元建設株式会社
  • 事例概要  発表資料

選出理由
  • 維持修繕工事でここまで多自然川づくりができるのかといった“驚き”が選定のポイント。また、これまでの取組みに支えられた基礎力に加えて、事務所(河川・道路)が一丸となって楽しんで取り組んでいる点、発表者が活き活きと楽しくやっている点が評価された。

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