
Interview03
不動産鑑定会社からアドバイザリーファームに転職
会計系アドバイザリー業務に携わっています。
アドバイザリーファーム 勤務
倉上 直人さん
不動産鑑定士になろうと思ったきっかけは何ですか?
大学3年生の時、高校時代から目指していたスタジオミュージシャンの道を諦め、資格者が比較的少なく、独占業務を有する不動産鑑定士を目指そうと思いました。大学3年の頃から勉強を始め、社会人1年目に合格しました。
試験はどのように乗り越えましたか?
在学中は勉強に明け暮れましたが、初受験は不合格でした。
敗因は、論文式試験において、戦略もなく全科目でトップの成績を目指したことにあります。3日間の試験中、初日に出題された難問で動揺し、3日目には回答欄を間違えるという目も当てられないミスを犯して惨敗してしまいました。一度は心が折れましたが、予備校の講座長のご厚意がきっかけで鑑定事務所に就職し、その年の論文式試験に合格することができました。勝因は、勉強した受験生であれば解ける基本問題は取りこぼさず、応用問題は冷静に部分点を稼ぐという「負けない勉強」に徹したことです。一緒に勉強した先輩の存在も大きかったと思います。
どのような経緯で現在の会社に就職されたのですか?
株式会社中央不動産鑑定所で鑑定実務を学び、その後、PwCアドバイザリー合同会社に転職しました。そこで事業再生、M&A関連業務に従事した後、2018年よりEYトランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社に所属しています。


現在はどのようなお仕事をされているのですか?
現在の会社における業務内容は、①不動産関連業界を中心としたM&A※1の事前検討支援や実行支援(ファイナンシャルアドバイザリー※2、ビジネス・財務・不動産等各種デューデリジェンス※3)、②不動産関連の課題に対するソリューション立案・実行支援(戦略立案、保有資産有効活用、ノンコアアセット売却支援等)です。社内には様々な専門分野、国籍の人材が在籍しており、刺激的な環境です。会計系アドバイザリーファームの不動産業務は、不動産のみならず、財務・税務・事業戦略等を踏まえた総合的な視点でサービスを提供できる点が強みです。M&Aや事業再生局面でのニーズも高いです。
不動産鑑定士になって良かったと思いますか?
不動産鑑定士に挑戦したことで、不動産鑑定会社で実務を学び、アドバイザリー業務に挑戦する機会も得られました。不動産鑑定士は鑑定評価業務のみならず、REIT※4運用会社やファンド※5、官公庁等、様々な業界で活躍しています。目利き力を生かして文化財再生業務を手掛ける不動産鑑定士もいるなど、発展性のある面白い資格だと思います。
※掲載内容は2020年3月に取材した内容です。
用語解説
- ※1M&A(Mergers and Acquisitions)
- 企業の合併買収のことで、2つ以上の会社が一つになること(合併)、ある会社が他の会社を買うこと(買収)です。
- ※2ファイナンシャルアドバイザリー(Financial Advisory)
- M&Aにおいて、対象企業の選定、スキームの検討、プロセス管理、交渉、クロージング等の支援を行う業務です。
- ※3デューデリジェンス(Due Diligence)
- 不動産投資信託のこと。投資家から集めた資金をもとに不動産への投資を行い、そこから得られる不動産の売買益や賃貸収益を投資家に配当する金融商品のことです。
- ※4REIT (Real Estate Investment Trust)
- 不動産投資法人とはJリート(不動産投資信託)のことで、多くの投資家から資金を集め、その資金を主に不動産への投資によって運用し、その結果得られた収益を投資家に分配するという仕組みの投資法人で、証券取引所に上場しています。
- ※5ファンド
- 多くの人からお金を集め、そのお金を使って何らかの活動や運用、事業などをする仕組みのことです。ここでは、運用の事業体という意味で使われています。