j050-Report

古都の観光課題をゲームやGISで解決。京都で初めて開催された3D都市モデル活用ハッカソン

「KYOTO PLATEAU HACK 2023」レポート

アイデア・実装ともにレベルの高い作品がそろった京都初のPLATEAUハッカソン。グランプリを獲得したのは、「京都のコーディネーターになろう大作戦」。複数の旅行者の要望をうまく聞きながら、混雑するルートを抜けて時間制限以内に目的地に到着させるゲームだ。

:
大内 孝子(Ouchi Takako)
編集:
北島 幹雄(Kitashima Mikio)/ASCII STARTUP
撮影:
高橋 智(Takahashi Satoshi)
Share

2023年4月に公開された京都市のPLATEAUの3D都市モデルを活用するハッカソン「KYOTO PLATEAU HACK 2023」が11月18・19日の2日間にわたって行われた。PLATEAUと京都、そこに「何か」を加えることで新たな体験を開発する。会場のKOIN(京都知恵産業創造の森 オープン・イノベーション・カフェ)には参加者約30名が集まり、8つのチームに分かれてそれぞれのアイデアの実装に挑んだ。

京都での開催にあたり、参加者には先斗町・祇園新橋エリアのLOD3が先行提供された

19日の成果発表会では7分間のプレゼン+3分間の質疑が行われた。審査員による評価ののち、グランプリ、歴まち賞、審査員奨励賞の3賞およびオーディエンス賞が決定。審査の基準は「3D都市モデルの活用度」「クリエイティビティ/芸術性」「実用性/完成度/開発レベル」となる。

サポーター兼審査員は、竹内一生氏(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社)、森岡東洋志氏(ベースドラム株式会社)、有年亮博氏(株式会社シナスタジア)、鈴木智貴氏(株式会社シナスタジア)、中川理氏(京都工芸繊維大学名誉教授・神戸女子大学客員教授)、内山裕弥氏(国土交通省)が務めた。

ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社 Senior Solution Engineer 竹内 一生氏
ベースドラム株式会社 テクニカルディレクター 森岡 東洋志氏
株式会社シナスタジア CEO 有年 亮博氏
株式会社シナスタジア 鈴木 智貴氏
京都工芸繊維大学名誉教授・神戸女子大学客員教授 中川 理氏
国土交通省 総合政策局 情報政策課 IT戦略企画調整官 / 都市局 都市政策課 デジタル情報活用推進室 内山 裕弥氏

古い町並みと新しい時代が共存する京都、千年を超える歴史や現在まで残る文化を活かすどのような作品が生まれたのか、早速、グランプリから見ていこう。

課題解決+面白さを共存させた「京都のコーディネーターになろう大作戦」

グランプリを獲得した、チーム「あずき餅」

チーム「あずき餅」の発表は、京都の魅力スポットを発見できるゲーム「京都のコーディネーターになろう大作戦」だ。

同チームが注目したのは、近年、観光地の課題として議論に上がっている「混雑」問題だ。京都市では「京都観光快適度マップ」を公開し、混雑による不便さを解消しようとしているが、なかなかうまくいっていないという。そこで、サイトで公開されているデータを使って混雑を回避しつつ、地元の人が知る隠れた名所・スポットを発見できるようなゲームを考えた。隠れた名所・スポットに誘導することにより、人流を分散できないかという狙いもある。

「京都のコーディネーターになろう大作戦」の概要
メイン画面。京都市内の主な通りが示された地図上に、複数の旅行者が次々と現れる。プレイヤーは旅行者の「行きたい場所」に応じてルートを設定し、他者とぶつからないように目的地へと導く

プレイヤーはコーディネーターとして、以下のルールで観光客が混雑に巻き込まれることなく観光できるように案内する。

● 制限時間内にマップ上に指定されたスポットへ行くことでポイントを取得

● 定点カメラで混雑状況を確認し、巻き込まれないように案内する

● 他の観光客と遭遇すると失敗

プレイヤーはメイン画面と定点カメラを切り替えて操作していく。メイン画面には京都市内の通りが示され、現れた旅行者のニーズに合わせてルートを設定する。定点カメラにはPLATEAUの3D都市モデル(先行配布された京都市先斗町エリア・祇園新橋エリアのLOD3のデータ)で描画した街と、そのときの混雑状況が示される。制限時間をオーバーしてしまったり、他の旅行者と遭遇したりすると「混雑」になってしまい、ミッション失敗となる。

システム構成図
定点カメラの映像

グランプリを受賞した理由は「プロダクトとしての完成度」。内山氏は、「チームとしてまとまって、それぞれの役割を明確にして一緒にやってきたことが、プロダクトの中身にも発表にもつながって、レベルの高いものになっていると思います。そういう意味で、我々ハッカソンを主催する側としても、こういった完成度の高いものも出てきて、大変うれしいです」とコメントしている。

「あずき餅」リーダー兼プランナーのまつだす氏は、チームメンバーのバランスがよかったと語る。「実装の時間もない中、途中で仕様を変えたり、データが使えなかったりしたが、メンバーのおかげでできあがりました」と喜びのコメントをした。なお、この「京都のコーディネーターになろう大作戦」はオーディエンス賞も同時受賞した。

PLATEAU×修学旅行×京都で「京都歴史3D地図」

歴まち賞を受賞した、チーム「AJARI」

歴まち賞はチーム「AJARI」の「京都歴史3D地図」が受賞。PLATEAU×修学旅行×京都を題材に、歴史情報を地図上に重ね合わせる試みだ。使用目的としては、京都に来る修学旅行生たちの事前学習、もしくは事後学習となる。

修学旅行案内「京都歴史3D地図」
システム構成図

システムとしては、PLATEAUの建築物モデルのうち歴史的なものだけをRe:Earth(オープンソースのWebGISプラットフォーム)に表示させるため、CityGMLのパースと国宝、重要文化財、京都市指定・登録文化財の情報(CSV)をマージし、Re:Earth用のスタイルファイルを生成している。このときの当たり判定(京都市内約50万件の建物情報に対し、歴史的建造物400件を見つける)は独自のアルゴリズムで高速化しているという。

古地図として「天保四年癸巳春改正新板京都絵図」(XYZタイル)を読み込み、Unityのモデルを加えて地図として統合。また、Re:Earthでは、建物の透明度の設定を活用して現存建築物と古地図を統合し、歴史的建造物のツアーを作っている。

京都を上空から見たところからツアーが始まる。紫に表示されているものがPLATEAUの3Dモデルだ。京都御所と二条城は内山氏のサポートのもと、自分たちで作ったという。

Re:Earthのデモ画面。京都の現在の地図と江戸時代の地図を重ね、代表的な歴史的建造物のスポットを表示している
自作した二条城の3Dモデル

歴まち賞の受賞理由について、中川氏は「PLATEAUのデータの面白さは、今のレベルでは"抽象的なものでしかない"こと。その抽象化されたデータをどうするかというとき、いくつか考え方はありますが、1つは、それを使って現実の京都とはまったく違う京都を作り上げること。ただ、やはり京都の場合は、リアルな京都をその抽象的なものに加えていくことが王道になるだろうと思います。このチームはその王道中の王道をやっている。我々歴史研究者の中でも、今、GIS活用や地図データを重ねていくという手法は新しい方法論として注目されてきています。そういう意味で、これは研究レベルで新しい知見を生み出す可能性がある」と述べた。

観光地の一極集中を都市開発で解決!?「京都Re-Built」

PLATEAU賞を受賞した、チーム「もみじラスク」

PLATEAU賞はチーム「もみじラスク」の「京都Re-Built」。PLATEAU×京都×シムゲームとして、観光地の人の流れが一極に集中している点に注目し、人の行動範囲を分散させるために都市開発を考えようということから発案したアイデア。今回は先斗町を舞台に人の流れを可視化し、都市開発への理解を広げることが目的だ。

デモ画面。先斗町を舞台に人流を可視化

ゲーム画面では、画面の左右から通りを歩く人(観光客)がおり、路上で人がぶつかると「混雑している」ということで、その地点に赤い点が付く。青で示した建物は食べログで上位に入る人気店のような、人がたくさん来るところだ。これらの建物の配置を変えることによって人流を解消する。あるいは、道が狭くなっている箇所で道沿いの建物を後退させることで人の通りをスムーズにする、というようなシミュレーションができる。

簡易的なシミュレーションが可能。青い建物は人が多く流れ込む人気店などのスポットを示しており、画面上で建物の配置を変えることで人流にどんな変化が起こるかを観察できる
今後の展望

今後の展望としては、地域を広げることを挙げた。先斗町を選んだ理由は「道幅が非常に狭い」ことに加えて、LOD3のデータがあること。もう少し広い地域を対象にさまざまなシミュレーションができるようにしたいという。

PLATEAU賞の受賞理由を、森岡氏は「都市の混雑度といった、PLATEAUの3D都市モデルがないとなかなかできないようなところにしっかり注目しているところと、今後の展望についてもかなり都市データを中心に据えたプランを持っているというところ」だと述べた。また、チーム全員がほぼUnity未経験というところから機能的な部分で実装を試していたことも評価のポイントに挙げている。

普段は見られない視点を観光に活かす「トライミング」

審査員奨励賞を受賞した、チーム「KND-3」

審査員奨励賞はチーム「KND-3」の「トライミング」。“街をクライミング”しながら建物の上を移動して、ご当地にまつわるクイズを解いて回り、目的地を目指すゲームだ。

観光について学んでいる大学生チームによる作品で、写真を撮るだけで満足する観光スタイルが増えていることへの課題意識がベースにある。名所の写真を撮るだけではなく、地域が持つ独特の雰囲気や文化を知ってもらう機会をもっと持ってもらえたらと、気軽に知ってもらえるツールを作りたいと考えたという。

「トライミング」。街中にあるご当地にまつわるクイズを探し、解いて回りながら目的地を目指す
3D都市モデルを活かし、プレイヤーは建物の上を移動する。日常では見られない視点で街を巡り、一望できるのも特徴だ
キャラクターデザイン

「建物の上を移動して進む」のがゲームの基本プレイ。随所にご当地クイズが出てくるので、それに答えていく。すべてを解き終わったらゲームクリアとなる。気軽に知識を知ってほしいということで、簡単なクイズになっている。

審査員奨励賞の受賞理由を、竹内氏は「ゲームとしての完成度はもう少しというところだが、例えばキャラデザインはこうとか、クライミングで高いところから景色をみるとか、個々のアイデアはすごく輝いていた」とコメントしている。

FPS対戦、マイクラワールド、ピンボールと多彩な作品が生まれた

賞には入らなかったが、他にもさまざまな作品が生まれた。

「k t」(チーム「HIJIRI」)

「メジャーな観光地にしか興味がない観光客」と「マイナーなところも見てほしい地元民」のFPS対戦ゲーム。観光客側のマップと京都市民側のマップの2つで展開する。京都市民は3Dマップ上で自分のおすすめする建物を銃で撃つことで相手側に送り、観光客は自分のマップに現れた建物を銃で撃ち、相手側に送り返すというもの。最終的には、これから京都を観光する予定のグループと京都人のグループが対戦するようなマルチプレイ対応のゲームを目指したいという。

森岡氏は「最初のアイデアは割とフラットな、目的に対して忠実なシンプルな企画を提案していたのが、途中からかなりゲーム性にこだわってくるようになって、作っていくうちに自分たちの中でも『これだけじゃダメなんじゃないか』とか『こうしたほうがもっと面白くなる』というような、実感としてのアイディアがどんどん出てきたのではないかなというのが見て取れた」とコメントした。

「マイクラで学ぶ京都市の歴史まちづくり<祇園祭編>」(チームK)

「マイクラで学ぶ京都市の歴史まちづくり<祇園祭編>」(チームK)

京都市の3D都市モデル(LOD1)から生成したマイクラ京都ワールドで祇園祭を再現し、京都の歴史まちづくりを学ぶ教育プログラム。遊びを学びに変え、京都の歴史文化への理解を深めることが目的。作成したワールドの中で宵山体験ができたり、山鉾巡行体験(今回のデモではトロッコでのツアー)やクイズを通して祇園祭について詳しくなっていくというもの。チームKは、マイクラ好きのアツシ君と京都市のまちづくり施策に関わっているアイさんの親子チーム。

鈴木氏は、「できたものだけを見れば課題はあるけれど、自分でクイズを作って、それで京都により詳しくなれるという学習のプロセスとしてすごく面白かったと思います。アイデアとして大きくスケールできる可能性がある。マイクラだったら50人みんなでワールドに入って作って50人で教育できる、とか。今後もぜひそういう取り組みをしてくれるとうれしい」と述べた。

「洛中ピンボール」(チーム「平安京イノベーター」)

「洛中ピンボール」(チーム「平安京イノベーター」)

京都・洛中を舞台とし、実際の街の3Dデータを利用したピンボールゲーム。あえて「京都の3Dモデルで何か公序良俗に反することをやってみたい」との発想から始まった。洛中の3D都市モデルをゲーム盤にして、ボールを当てながら「街を知る」のがコンセプトだ。京都の地理を活かしたギミックを実装したり、洛中を何面かに分けて進んでいくようにしたかったが、データが重かったため、そこに時間を取られてしまったという。デモでは鴨川を転がってくるボールを打つところが披露された。

中川氏は、「これは相当破壊的なことをやろうとしているけれども、実はそうでもない。場所が持ってる特質みたいなものをピンボールのボールで何か表現したら、全然違う表現の仕方ができる。つまり歴史の解説をするとかそういうことじゃなくて、こんな街なんだということがビンボールのボールによって見えてくるみたいな話になると絶対面白い」と期待を寄せた。

「Deep Kyoto Map -みんなで知ろう裏京都-」(チーム「茶の菓」)

「Deep Kyoto Map -みんなで知ろう裏京都-」(チーム「茶の菓」)

チームメンバーに京都在住者が多く、日頃から身にしみて感じている「オーバーツーリズムの問題を解決したい」、また、「新しい視点から京都を発見したい」ということから発想した作品。地図上に自分が見つけた新しいスポットやまだ多くの人に知られていないローカルなスポットを他のユーザーと共有する。マイナーでも魅力的な場所が集まることでオーバーツーリズムを解決できると考えた。また、いつも歩いている目線だけではなく、上から俯瞰する目線を導入している。将来的にはARでゲーム化したいという。

内山氏は「いろいろな属性の人たちが集まって2日間で作品を作るということの難しさと楽しさが、この2日間でよくわかったと思います。それぞれ違う技術を持ち寄って、なんとかまとめようともがいていた姿が青春だなと思って見ておりました。ぜひ、来年もいろいろやるので参加してください」とコメントした。

各チームの作品はProtoPediaにも掲載されているため、気になった作品があればぜひご覧いただきたい。

課題を解決し常に新しいものを生み出し続ける、それが1300年続いてきた京都の歴史

本イベントのファシリテーターを務めたのは、京都に身を置く飯田和敏氏と大西将徳氏。イベントを振り返ってそれぞれからコメントをいただいた。

飯田氏:京都という街の魅力は、関わり方によりさまざまな表情を見せます。生活の場であり、数えきれない文化資源を有する観光地であり、あるいは学びの場であり、自然環境に恵まれた遊びの場でもある。碁盤の目と言われる市街の地図を眺めているだけでも楽しいですが、ここに動的な機能を持たせた時、可視化されるのは、人それぞれの京都観ということになります。そうした京都観を拡大していくことは、複雑で多様な世界をあらためて発見することになる。そうしたい興味と関心を持ち、ファシリテーターを務めさせてもらいました。今回は初めての試みであり、時節柄、オーバーツーリズムに焦点を当てたプロジェクトが目立っていましたが、それ以外にも多くの可能性を秘めていると思います。

立命館大学映像学部 教授 飯田 和敏氏

大西氏:今回のイベントは、“京都” らしい作品を生む場作りにこだわりました。京都を代表する7種類のお菓子によって参加者をチーミング。京都の魅力/課題を、京都で“暮らす”、"見る"、“遊ぶ”、“学ぶ” の4つの切り口で紹介し、単に京都の 3D 地図から生まれる作品ではなく、京都であることのもう一つの軸、深みを持った作品を求めました。京都への関りも、バックグラウンドもさまざまな初対面の参加者が2日間でひとつの作品を創り上げていく過程を間近にし、PLATEAUが京都の素顔や歴史、課題を映し出すとても良い基盤であること、また、この場がなければ出会えなかった参加者の素敵な交差点となっていることを強く感じました。

京都大学 学術研究展開センター リサーチ・アドミニストレーター 大西 将徳氏

最後に、本ハッカソンで参加者にアドバイスを送った審査員からの講評を届けたい。

竹内氏:参加者のほとんどの方、ほとんどのチームでUnityを使っていただいて、初めての方も以前から使われている方もいらっしゃると思いますが、いかがだったでしょうか。Unityは、ゲームだったりエンタメだったり、実はみなさんの身近なところで使われているので、それを見つけたときに、今日のことを思い出していただけたらいいかなと思います。2日間、本当にお疲れさまでした。

ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社 Senior Solution Engineer 竹内 一生氏

森岡氏:ハッカソンは非常にしんどいイベントで、アイデアソンであれば頭の中で考えたアイデアを発表すればいいのですが、ハッカソンはその頭の中で考えたアイデアを形にしなければいけない。「どうやって作るのか」という壁にぶち当たる。ただ、僕は最初の「みんなで頭の中で考えたコンセプト」はあまり信じていない。作っていく中で出た学び、そこからコンセプトがどれだけ変わっていくかが実は非常に大事だと思っています。今後の人生の中でも体験からくる気づきみたいなものがみんなの中で増えていくといいなと思いました。

ベースドラム株式会社 テクニカルディレクター 森岡 東洋志氏

鈴木氏:2日間という短い期間の中で結構課題が多かったにもかかわらず、それを乗り越えていくところに感銘を受けました。「3D都市モデルが必ずしも詳細ではない」「属性情報も必ずしもいいものばかりではない」といった現実は確かにあったわけですが、それを乗り越える工夫がたくさん出てきたと思います。たとえ、今、自分が初めて見たデータが不十分であっても他のデータを見つけてくるという力があったからこそ、よいものができたのではないかなと思います。

株式会社シナスタジア 鈴木 智貴氏

中川氏:常に、場所と歴史に紐づけられているというところに京都の面白さがある。そういう意味では、PLATEAUは、特に京都の街ではこの抽象化されたデータっていうのはすごい意味を持つというのは、今回のみなさんの作品を見て思いました。場所が持っている特質みたいなものを使って、どうやって面白さを表現していくか。これは実は無限に方法がある。そのあたりの可能性を今回、みなさんも感じたのではないかと思います。京都のこれから、オーバーツーリズムという問題もあるけれど、その場所に関連付けられた京都の魅力や特質みたいなものがもっと表に出てくれば観光のあり方も様々に変わってくると思います。そういう意味で、非常に意味のあるハッカソンになったのではないかと思います。

京都工芸繊維大学名誉教授・神戸女子大学客員教授 中川 理氏

内山氏:今回、PLATEAUも初めてだし、それこそUnityとかWebGISとか初めてという人が結構多かったと思います。チームに一人は知っている人がいるけど他は誰も知らないみたいなところがスタート地点で、それがこの2日間でレベルを上げてきたというのが、純粋に感動しました。やればできると、みなさんも自分でわかったと思います。自分の仕事とか研究にこう使おうというのが少しでも生まれれば嬉しいです。ぜひ今回の経験を持ち帰って、さらに発展させてください。

国土交通省 総合政策局 情報政策課 IT戦略企画調整官 / 都市局 都市政策課 デジタル情報活用推進室 内山 裕弥氏

イベントの締めは、主催の京都市から都市計画局長の竹内重貴氏がコメントを行った。

竹内氏:全力でがんばっていただいて、本当にお疲れさまでした。素晴らしい、優れたアイデアばかりで、今後の京都の市政にも生かしていこうと思います。最終的な成果物の講評もありましたが、私はプロセスも非常に大事だったと思います。それほど面識のなかった人たちが集まって、チームでこんなに新しいことができる。自分の可能性もかなり拡張できたのではないかと思います。新しいネットワークも広がっていくのではないかと思います。みなさん、主に観光について取り上げていただいたと思いますが、やはりそういった課題を解決し常に新しいものを生み出し続ける、それが1300年続いてきた京都の歴史ですし、これからもそうです。アイデア、テクノロジーを十分生かして、京都をフィールドにして楽しんでいただければと思います。また京都市に何かしてほしいとかありましたら、ぜひ、遠慮なく言ってください。

京都市 都市計画局長 竹内 重貴氏