uc23-25

熱流体解析に関する大規模シミュレーション

実施事業者株式会社構造計画研究所
実施協力東京工業大学環境・社会理工学院 融合理工学系 稲垣厚至助教 / 株式会社ウエスコ
実施場所神奈川県横須賀市
実施期間2023年9月〜2024年3月
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3D都市モデルを活用した熱流体シミュレーションの実行と可視化をウェブで完結するシステムを開発。
ヒートアイランド対策などの検討に必要なシミュレーションをノンエンジニアでも利用可能とすることで、データを活用したまちづくりを推進する。

実証実験の概要

従来、都市を対象とした大規模な温熱環境のシミュレーションは大規模なコンピューティング能力と専門的なオンプレミス(※)ツールを用いて行うことが一般的であった。このため、主なユーザーである地方公共団体ではデータ作成からシミュレーションソフトウェアの利用、報告書の作成まで専門のITベンダーやコンサルティングファームに依頼する必要があった。他方、3D都市モデルが普及し、都市スケールのシミュレーションのデータ基盤が整いつつある昨今、より自由かつ簡易にシミュレーションを実施し、日常的な業務に役立てたいというニーズが高まっている。

※オンプレミスとは、ハードウェアやソフトウェアを、使用者の管理する施設内に設置して運用する形態を指す。

今回の実証実験では、3D都市モデルを活用したWeb上から利用可能な熱流体シミュレーションシステム(CFD:Computational Fluid Dynamics)を開発する。パラメータの設定やソルバーの入力などもGUIで行えるものとする。地方公共団体職員等のノンエンジニア属性のユーザーでも大規模なシミュレーションを容易に利用できる環境を提供することで、ヒートアイランド対策等の分野におけるデータを活用した政策立案の推進を図る。

実現したい価値・目指す世界

近年、ヒートアイランド現象による熱中症等の健康影響、エネルギー消費への影響、生態系への影響等に注目が集まっている。ヒートアイランド現象は、周辺の草地や森林に比べて都市部の気温が高くなる現象を指すが、都市部の地面のアスファルト等による被覆や、ビル等の高層建築物による風の遮蔽、空調設備等による人工排熱の増加が原因として挙げられる。

都市部のヒートアイランド対策としては、屋上緑化や壁面緑化、公共施設グラウンドの芝生化、打ち水などの対策が取られているところであるが、対策効果の定量評価にあたっては、対策実施前後の気温や風向の実測値を示すことが従来一般的であり、対策効果を事前に検証することが困難という課題があった。対策効果の事前検証を行う方法として、対策前後の気温・風向等をシミュレーションによって確認することが考えられるが、従来、地方公共団体において熱流体シミュレーションを行う場合、地方公共団体職員による熱流体シミュレーション要件(対象エリアや日時など)の検討、気象観測実績データ(特定日時の湿度・風況・風速等)の現況調査を経たうえで、測量データの整備・シミュレーションモデル構築・熱流体解析の実行・結果可視化といった一連の業務を、コンサルタント会社等に外部委託する必要があった。特に、熱流体解析のシミュレーションモデル作成に用いる地形や建築物等の3D形状データについては、従来は有償の地形モデル(DTM:Digital Terrain Model)の購入や、都市計画図等をベースとした手作業による建物ポリゴンの作成などが必要となり、コスト高につながっていた。また、最近では航空レーザー測量や移動計測車両による計測システム(MMS:Mobile Mapping System)の成果を用いることも可能となってきたが、いずれにしても新規計測や新規モデル取得が必要であった。

上記の課題に対して、昨今の3D都市モデルの普及に伴い、シミュレーション条件の作成に必要な3D形状データを解析者が無償で簡便に入手できる環境が実現しつつある。そこで、今回の実証実験では、3D都市モデルから建築物の空間属性・主題属性(用途)、土地利用区分、地形といった情報を取得しつつ、Web上で熱流体解析を実施可能な熱流体シミュレーションシステムを開発する。

これにより、シミュレーション条件構築のための建築物や地形の測量データ整備やシミュレーション業務の外部委託が不要となる。また、地方公共団体職員はWebアプリのGUI操作により、シミュレーション要件、現況調査に基づく解析条件を容易に設定でき、さらにシミュレーション結果が可視化されることから、様々な条件下におけるシミュレーション結果を比較検討が可能となる。

また、シミュレーション結果をWeb上で一般公開できる閲覧機能を開発することで、行政担当者向けには計画/施策立案の合意形成ツールとして、一般住民向けには「暑い場所」「涼しい場所」「暑い時間帯」等の情報を確認可能な情報提供ツールとして、本システムが活用されることを期待できる。

これらの成果を通じて、シミュレーションの条件構築・実行・結果可視化に至るまで、一連の熱流体解析に係る業務フローの大部分を外部委託の必要なく、ノンエンジニア属性のユーザーである地方公共団体職員が自ら実施できる世界の実現を目指す。

横須賀市実証エリア(2D)
横須賀市実証エリア(3D)

検証や実証に用いた方法・データ・技術・機材

今回の実証実験では、Web上で実施可能な3D 都市モデル(建築物モデルLOD1、地形モデルLOD1)を利用した熱流体シミュレーションシステムを開発した。本システムは、シミュレータ本体とノンエンジニア向けのWebアプリで構成される。

また、本システムの稼働環境については、クライアントPCとサーバマシンの各ハードウェアより構成した。サーバマシンは複数の仮想化されたマシン(コンテナ)から構成され、うちWebコンテナがクライアントPC上のブラウザに対してWebアプリをホストし、他のコンテナはWebコンテナと結合して諸機能を提供する設計とした。

熱流体シミュレーションの実現にあたっては、OSSのCFDソフトウェアである「OpenFOAM」を利用した。OpenFOAMには複数の熱流体解析ソルバが搭載されており、本システムにおいて標準的に利用するもの以外にOpenFOAM搭載ソルバを用いて本システムのサーバ上で解析を行うことも可能である。複数ソルバが公開されているOpenFOAMを熱流体シミュレーションのエンジンとして採用することにより、建物・地面からの放射熱、日変化による建物・地面の蓄熱、天候(雲など)、植物からの蒸散など、今回の実証実験で開発したシステムの標準ソルバでは考慮されていない諸要素の解析ニーズにも対応可能な設計とした。

利用する熱流体解析モデルとしては、運動方程式(Navier-Stokes方程式)・連続式・エネルギー式(温度)を基礎方程式として用いた上で、速度・圧力・温度を計算する方針とした。

シミュレーション条件となる3D形状の作成では、3D都市モデルをFME Desktopを利用して主題属性(建築物用途や土地利用用途など)に基づき分類したうえで、STL及びOBJ形式に変換する。その後、これをシステムにインポートし、物理的な環境条件として利用する。

OpenFOAMの熱流体解析においては、STL及びOBJファイル(すなわち主題属性に基づく分類)ごとに熱伝導率(日射吸収率および排熱量初期値)を設定した。その他、気象観測所の気象データ(気温・地表面温度、風向・風速等)の環境情報(CSV形式)を、アルゴリズムの信頼性検証のためインプットデータとして利用した。なお、解析対象とする街区エリアについては、1㎢程度の範囲を想定した。

Webアプリは、ログイン認証・データ共有に係る「①認証機能」、3D都市モデル登録、熱流体解析結果可視化、熱流体解析結果GISデータダウンロードに係る「②表示機能」、外力等環境条件入力・熱流体解析の実行に係る「③熱流体解析機能」、熱流体解析結果公開に係る「④公開機能」を備えるよう設計した。

「①認証機能」は、ユーザーを認証する「ログイン機能」と、特定ユーザーの登録した3D都市モデルやシミュレーションモデルについて、他ユーザーも設定値や3D都市モデルを閲覧可能とする「データ共有機能」から構成される。「ログイン機能」は、本システムのログイン画面で入力されたテキスト情報と、システム管理者によりデータベース(PostgreSQL)に登録されたユーザアカウントを照合し、入力値といずれかのユーザアカウントを照合できた場合には、アクセス元に対してCookieファイルを発行する。「データ共有機能」は、共有先ユーザーからログインユーザーにシステム外の手段で連絡された認証情報(共有先ユーザID)に対して、参照権限を与える。

「②表示機能」は、3D都市モデルを選択し本システムにアップロードする「3D都市モデル登録機能」、3D都市モデルに重畳して熱流体解析結果を表示する「熱流体解析結果可視化機能」、熱流体解析結果をGeoJSON形式データとしてダウンロードする「熱流体解析結果GISデータダウンロード機能」から構成される。

「3D都市モデル登録機能」は、熱流体解析の対象とする3D都市モデルを選択することができる機能である。同機能では、予め作成された3D都市モデルのSTL及びOBJファイルをアップロードし、解析対象とする領域として範囲を指定することができる。本システムでは、3D都市モデルの主題属性(構造種別等)に応じて熱伝導率が設定されているが、これを本機能のインターフェース上でユーザーが設定することもできる。また、後述の「熱流体解析結果可視化機能」のために、画面上で表示する3D都市モデルをPLATEAUストリーミングサービスと連携して追加することができる。

「熱流体解析結果可視化機能」は、熱流体解析が終了しているプロジェクトをユーザーが画面上で選択することでシミュレーション結果(各地点の風の向き、中空温度、暑さ指数)をWebアプリ内で3D描画する機能である。シミュレーション実行時にサーバのファイルストレージに格納された可視化ファイル(CZML形式)とPLATEAUストリーミングサービスで提供されている3DTilesを呼び出す仕組みとなっている。実装はCesiumJS(JavaScriptで動くWebGISライブラリ)及びjQueryを利用し、Webコンテナで用いるサーバソフトウェアとしてApache Serverを、Webコンテナで動作するバックエンドのWebフレームワークとしてLaravelを、バックエンドのインタプリタとしてPHPを利用している。

シミュレーション結果の可視化にあたっては、暑さの体感及びヒートアイランド対策の効果を明確に表現するため、シミュレーション結果として算出された気温・風速等をもとに「暑さ指数(WGBT:Wet Bulb Globe Temperature)」を算出したうえで、ヒートマップ描画に用いるアウトプット値の一つとして採用している。

「熱流体解析結果GISデータダウンロード」機能は、サーバのファイルストレージに格納されるシミュレーション結果(GeoJSON)を、ユーザーの利用するPC内(ブラウザ所定のダウンロードファイル)に格納することができる機能として実装した。

「③熱流体解析機能」は、Webアプリの画面上で熱流体解析の外力等環境条件の入力及び境界条件の再設定を行い、熱流体解析ソフトの入力ファイルを生成する「外力等環境条件入力機能」と、Webシステムのサーバサイドの計算機資源を用いて熱流体解析を行う「熱流体解析機能」を備える。

「外力等環境条件入力機能」は、熱流体解析に用いるソルバ及びメッシュ粒度の設定、気温・風況・日射条件・実施施策(打ち水/屋上緑化/壁面緑化/敷地内植栽)の設定のほか、前述の3D都市モデル登録機能で設定した境界条件を狭めることができる機能である。外力等環境条件及び境界条件の確定後、本システムは登録された諸条件をシミュレーションモデルとしてデータベースから取得し、「熱流体解析機能」によりシミュレーションを実行する。シミュレーション実行にあたっては、前述のデータベース(PostgreSQL)、OpenFOAMに加え、シミュレーションの前処理/後処理/非同時処理にPython、pip、pyproj、NumPy、SQLAlchemy、psycopg2、paramikoのライブラリ群を利用した。

「④公開機能」は、ログインアカウントを持たない利用者に対してシミュレーション結果を開示する機能をもつ。本機能を用いることで、前述の「外力等環境条件入力機能」において特定ユーザーが登録した各種設定、及びそれらの設定をもとに実行されたシミュレーション結果に対して、住民等の他ユーザーに向けた公開用URLを発行することができる。これにより、公開用URLを地方公共団体のWebサイト等に掲示することで、ログインアカウントを持たないユーザーもシミュレーション結果を確認することができる。

開発したシステムについては、精度検証として本シミュレーションシステムによる解析結果と実測値との比較を行った。また、有用性検証として行政担当者にヒアリング及びアンケートを実施した。

システム実証の様子
システム実証の様子

検証で得られたデータ・結果・課題

今回の実証実験では、開発したシステムの精度検証として福岡市中央区天神を対象に本シミュレーションシステムによる解析結果と実測値との比較を行った。また、本システムの有用性検証として、神奈川県横須賀市の行政担当者にヒアリング及びアンケートを実施し評価頂いた。

本システムの精度検証として、文献調査により福岡市中央区天神の地表面温度と気温の観測データを取得したうえで、福岡市内の天神中央公園及び福岡市役所ふれあい広場を含む300m×300mの範囲を対象に3D都市モデルを入力し、本システムによるシミュレーションを実施した。検証対象期間としては、参照した既往文献(※)をもとに2006年8月5日の任意の複数時刻を選定し、「晴天・北風2~3m/s程度・芝生への散水なし」を気象条件とした。シミュレーション結果と地表面温度・気温の観測値をもとに回帰分析を行い、2つのデータの関係性の強弱を計る指標である相関係数rを算出した。相関係数rは、値が1に近いほど2つのデータの関係性が強いことを示す指標である。今回の精度検証では、一般的に複数データの間で中程度の相関性が見込まれると言われる「r≧0.4」をクリアすべき基準として設定した。

結果として、地表面温度・気温ともに同基準を達成することができたため、本システムによるシミュレーションの結果として算出される地表面温度及び気温について、一定の再現性を確認できたと言える。

また、風速の再現性に関しても、既往研究から過去風洞実験の風速分布データを入手し、地表面温度・気温と同様に本システムによる精度検証を実施した。クリアすべき基準としては、地表面温度と気温と同じく、相関係数r≧0.4を設定した。検証対象として測定胴断面1.8m~3.0mの風洞・建物(立方体)3×3配置・建物高及び建物間隔H=20cmの建築模型をCADソフトでモデル化し、風速の鉛直分布(H=20cm位置でvel=3.65m/s)、風向(建物に対して0度、45度の2ケース)を流入条件として設定したうえで、シミュレーションを実行した。シミュレーション結果を過去風洞実験の風速分布データと比較したところ、0度時風速・45度時風速ともに、設定した基準をクリアした。本システムによるシミュレーションの結果として算出される風速についても、一定の再現性を確認できたと言える。

 ※「田中ら:都市内の芝生広場と人工被覆広場における放射収支と熱収支の現地観測,日本建築学会技術報告書 第15巻 第31号,pp.793-796,2009」「田中:福岡市都心部の対照的な広場における熱環境の同時観測,九州環境管理協会vol.38,2009」

本システムの有用性検証として、神奈川県横須賀市における都市計画及び環境政策の更なる充実に活用可能なツールとすべく、機能性(予測システムとして実用的かどうか)・使用性(職員が直感的に操作できるか)を主なKPIとして、横須賀市都市計画課の職員を対象として実際に本システムの操作機会を設定し、システム実証を行った。システム実証に際しては、本システムを用いた熱流体シミュレーションの説明・デモを行った上で、データ入力~解析実行~結果の表示まで、一連の操作体験の機会を提供した。

実証の解析対象範囲としては、市街地再開発事業が検討されている横須賀中央駅前や、過去の気象観測情報を取得可能な横須賀市消防局を含む1㎢の街区を選定した。解析のインプットデータとして、3D都市モデルの地形データ(LOD1)をOBJ形式に変換した後、主題属性情報(土地利用区分)に応じて公園・水面・道路・緑地・その他に分割したファイルを利用した。また、3D都市モデルの建築物データ(LOD1)についても同様にOBJ形式に変換した後、主題属性情報(用途)に応じて事務所・商業施設・宿泊施設・住宅・教育施設・その他に分類したデータを用いた。解析ソルバとしては、OpenFOAM搭載ソルバの一つである「buoyantSimpleFoam」を利用することとした。また、境界条件は、上述の東西南北1㎢のエリアにおいて、底面は海抜-1m、上空は海抜300mとして設定した。外力等境界条件は、ヒートアイランド現象に伴う課題がピックアップされる夏の暑い時期を対象とし、南から北向きの風向、風速3m/秒、外気温29.85℃、7月下旬14時頃の日射とした。

操作体験後、「可視化された結果の視認性」「ノンエンジニア属性のユーザーでも扱いやすい直感的な操作性」「業務への活用可能性」の項目についてヒアリング及びアンケートで意見聴取を行い、システムのユーザビリティ、更に都市計画/環境政策におけるEBPM(Evidence Based Policy Making)推進にとって本システムが有用かどうかを検証した。

その結果、参加者の大半から、機能性・使用性について一定の評価を得ることができた。特に、気温や風速のシミュレーション結果の表現方法については、都市再開発に伴う温熱環境の変化やビル風の影響を検討する必要のある担当者にとって、対策検討に有用との評価であった。総じて都市計画実務への適用可能性に関する期待が寄せられ、本システムの今後の地方公共団体向けサービス展開に向けて好感触を得ることができたといえる。

その一方で、外力等境界条件設定機能で壁面緑化等の環境施策を設定したにもかかわらず、シミュレーション結果可視化画面上で設定箇所や設定した条件が分かりづらいという意見もあった。特に、シミュレーション結果を共有する段階において、計算結果のどこに着目すればよいかを分かりやすく表示することは重要と考えられるため、今後の解決すべき課題としたい。また、可視化画面上でのシミュレーションを実施したエリアへの自動ズームなど、一部操作性に対する要望も挙がったため、より簡便かつ直感的な操作性を目指して、UI・UXの改修に取り組んでいきたい。

シミュレーション結果の表示画面(中空温度)
シミュレーション結果の表示画面(風況)
シミュレーション結果の表示画面(暑さ指数)
Webアプリ上で解析条件を設定

参加ユーザーからのコメント

・住民への情報共有ツールとしての活用が期待できる。
・気温・風速が色分け・矢印によって可視化されており、現況を知る上では分かりやすい。
・もう少し直感的に操作出来たらありがたい。
・マップ上で条件の設定ができ、かつすぐシミュレーション結果が確認できると施策前後の変化が分かりやすい。
・熱対策施策条件を選択した建物をシミュレーション画面に可視化表示してほしい。

今後の展望

本年度のユースケースで開発した「熱流体解析システム」について、システム実証にご協力いただいた地方公共団体担当者からは都市計画実務への適用可能性に関する期待が寄せられ、今後の地方公共団体向けサービス展開に向けて好感触を得ることができた。特に環境施策設定やシミュレーション結果を可視化する画面のUI/UX等については、対策実施内容及び範囲の明示や、シミュレーション結果を含む地域への自動ズーム等、システム実証で寄せられた意見をシステムのユーザビリティ向上に反映させつつ、実務への展開を加速したいと考えている。

また、本システムの想定利用者は地方公共団体の都市計画担当者に限られず、健康増進課等の部局の熱中症対策担当者や、校庭の芝生化をはじめ、学校等の公共施設整備に関する実務を担う教育行政担当者による利用も考えられる。それぞれの行政分野の特性に合わせた機能拡充も進めつつ、利用を拡大することも今後の展望の1つである。

将来的には、地方公共団体の職員や住民などが都市の温熱環境を共有し、新たな対策等を検討するためのツールとして、本システムが様々なステークホルダに活用されることを目指す。