定期借地権の設定時に授受される保証金(敷金も同様)は、返還を要する預り金であることから所得には当らない。しかし保証金は通常は無利息で長期間預けられることから、運用益については課税すべきとの扱いから、この運用益部分を経済的利益といい、次の式で求める。
経済的利益 = 保証金額 - 保証金額 × 基準年利率による複利現価率
(※現在の基準年利率1.5%の契約期間50年場合の複利現価率は47.5%)
この経済的利益の額が、
[1]土地価格(時価)の1/2以下の場合
経済的利益に対する課税はかからないが、次の(2)保証金の運用使途に応じて課税されることになる。保証金は一般には土地価格の50%以下なのでこの1/2以下に該当する。
[2]土地価格(時価)の1/2超の場合
譲渡所得となり分離課税が適用される。
[1] 事業用運用
造成費や賃貸事業の借入返済、新規のアパート建築等、事業に係る支払に充てた場合には、利息相当額を収入と経費とみなし、両建て経理をすることで実質的に課税されない。
[2] 金融資産運用
計算不要であり、利子支払時に源泉分離課税されて納税関係は完結する。
この場合の金融資産としては、預貯金、公社債、指定金銭信託、貸付信託、抵当証券、一時払い養老保険等の金融類似商品が含まれる。
[3] 家事消費(課税扱い)
家事費として使用した金額に対し、保証金につき適正な利率により計算した利息に相当する金額を、保証金を返還するまでの各年分の不動産所得の金額に計上算入する。
(利率は毎年異なり、平成20年の申告は1.5%)
例えば1000万円の保証金を自宅建設などに当てていた場合、その年度分の利息相当として15万円を所得計上し所得税の対象になる。
権利金については、授受される額が、
[1] 土地価格(時価)の1/2以下の場合
不動産所得となり総合課税(他の所得との合算)が適用される。
[2] 土地価格(時価)の1/2超の場合
譲渡所得となり分離課税が適用される。
一時金を「前受収益」として計上し、当該年分の地代に相当する金額(50年分の前受地代なら毎年その額の1/50)を収入金額に算入する。
※借地借家法の定期借地権にかかる法解釈などにつきましては、制度所管官庁の法務省までお問い合わせいただきますようお願いいたします(令和5年7月5日注記)。