住宅：【令和３年度】東加賀野井の家

【令和３年度】東加賀野井の家

最終更新日：令和6年3月27日

愛知県一宮市の事例です。

事業概要

●建設地：愛知県一宮市
●地域区分：地域
●申請書類作成者：有限会社ナチュラルパートナーズ
●階数：１階建
●延床面積：84.85㎡

提案概要

●建設地の自然的環境の特徴
・愛知県の気候的特徴は、夏は高温多雨であり南東風、冬は雨が少なく北西風が卓越する。
特に尾張地方の冬は、日本海からの季節風の影響を受け降雪がみられることもある。
また、建設地は、木曽川の南、濃尾平野に位置し、田畑や緑地が多い地域である。
夏は木曽川へ抜ける風が涼しく、この風を最大限に利用し、冬は季節風の影響を抑えることを考慮した。

●建設地の文化・技術の特徴
・県北東部を中心に森林資源に恵まれた土地であり、木材として利用できる人工林も充実している。これらの県産材を積極的に活用することは、地域の林業、製材所などのしくみを維持することにつながり、次の世代へ森林資源を残していくためにも不可欠なことであると考える。
伝統的な技術を生かした木造建築物を建てることは、職人たちの技術を継承する場を生み出すことにつながる。

●全体の提案概要
・敷地内には築90年を超える建物が残っており、この風景を壊さないよう伝統的工法を採用した。既存建物と共に地域の人々に長く愛される建物となるよう考えた。
・生活空間を必要最低限にまとめることで、生活時のエネルギー使用量を抑えるとともに、建設から維持管理、解体まで一貫して環境負荷を最小化する。
・多層構成の木製建具、縁側、深い軒庇など地域に根付く建築様式と、断熱性能や耐久性など性能の両立に留意した。

地域の気候風土への適応・環境負荷低減対策

●縁側、小屋組み現しかつ野地現し、土塗壁、開放的な床下（石場建て）、木製建具のうち地場で製作されるもの、
続き間、高天井（3603mm）、引き戸形式の内部建具、深い軒庇（950mm）、大きな窓（多層構成）、無垢材である製材の使用、
断面が大きな構造材の使用、部材現し、貫・差鴨居等の軸組、和小屋組、手刻みによる加工、伝統的な継手仕口、瓦屋根、板張り壁（外壁）、
木製建具、雨戸、紙障子、格子、畳（稲わら畳床）、床板張り仕上上げ、自然材料系断熱材への取組みがみられる。

●材料・生産体制、住まい方について多くの取組みがみられる。

●可変性のある居住空間（居室間の障子・襖による仕切り）、緩衝空間（幅1200mmの縁側）、深い軒庇、
多層構成の建具（雨戸＋網戸＋木製単板ガラス＋障子）、土塗壁（竹小舞下地、厚さ90mm）、木製建具（防寒じゃくり付き）、
床板張り、複数の窓の位置による通風に配慮した設計、畳（稲わら畳床）、敷地等建物、周囲の環境配慮（既存樹木を活用した緑化）、
季節に応じた生活習慣（簾の使用）、窓・雨戸の開け閉めの励行、地域産の材料の使用（構造材、床仕・天井仕上げ材、外装材、外部建具、室内建具）、
地域の建築職人・大工の登用、古材・リサイクル材の利用（一部の襖に古い建具の再利用）、太陽熱温水器、シャワー水栓の不設置への取組みがみられる。

●さらに、以下の取組みがみられる。
・居室すべてを引き戸で仕切り、可変性に配慮し、生活空間を必要最低限にまとめることで、生活時のエネルギー使用量の削減を提案している。
・木曽川沿いで風通しがよい敷地を利用して、夏は基本的に通風と扇風機の利用で冷房エネルギーの削減に努めている。