住宅：【令和３年度】職住一体の家

【令和３年度】職住一体の家

最終更新日：令和6年3月27日

熊本県熊本市の事例です。

事業概要

●建設地：熊本県熊本市
●地域区分：７地域
●申請書類作成者：すまい塾古川設計室有限会社
●階数：１階建
●延床面積：83.78㎡

提案概要

●建設地の自然的環境の特徴
・気候は内陸型で、夏は蒸し暑く、冬は寒い。西に有明海があり、夏季は西もしくは南西からの風が卓越する。
南に設けた大きな開口、西に設けた地窓から風をとりいれる。床下の冷たい空気を換気口から室内へ呼び込む。
風の出口として北にも大きな開口を設ける。
構造材・仕上材ともにほとんどが吸湿材であり、吸湿と風通しで涼を得る。

●建設地の文化・技術の特徴
・地域の職人が、その地域の材料を用いて地域の気候風土に適応した家をつくっている。この一連の流れが技術を伝承し、後継者を育成し、そして地域に根ざした景観を生み出していくと考える。
伝統構法と山の木の産直は相性が良い。この山の木でフレームを造り、身近にある土と竹と藁と砂で壁をつくる土壁は外装材であり、内装材であり、吸湿材であり、構造材である。

●全体の提案概要
・職場と住居の一体化により通勤時間と移動時のエネルギーをゼロとなる。
・熊本県産材の使用、手刻みによる加工など「くまもと型気候風土適応住宅」とし、石場建て、土壁の建物とするこで地域の職人が技術を継承できる場となる。
・庭に小さな池や植栽があり、気候が良い時は外に出たくなる。住宅地の中でも自然を感じ、自然とつきあいながら、はたらき暮らす場所となる。

地域の気候風土への適応・環境負荷低減対策

●土塗壁、開放的な床下（石場建て）、木製建具のうち地場で製作されるもの、下地窓・無双窓、床板張り仕上のうち下地材を用いず単層床板張りとしたもの、
高天井（3600mm）、引き戸形式の内部建具、欄間、深い軒庇（1381mm）、大きな窓（多層構成の建具）、地窓、無垢である製材の使用、
断面が大きな構造材の使用、部材現し、貫・差鴨居の軸組、和小屋組、金物類の非使用、手刻み加工・伝統的な継手仕口、瓦屋根、板張り壁（外壁・内壁）、
木製建具、紙障子、格子、塗壁、床板張り仕上げ、自然材料系断熱材、調湿材への取組みがみられる。

●材料・生産体制、景観形成、住まい方について多くの取組みがみられ、造作家具、床下換気口、古材の活用についての計画もみられる。

●深い軒庇、多層構成の建具（内障子＋木製ガラス戸＋格子網戸）、土塗壁（竹小舞下地、厚さ60mm）、木製建具（玄関防寒じゃくり）、
床板張り（厚さ30mm）、欄間、敷地等建物周囲の環境配慮（庭の植栽と池による緑化）、季節に応じた生活習慣、窓・雨戸の開け閉めの励行、
地域産の材料の使用（構造材・内部仕上げ材・土壁・障子）、地域の建築職人・大工の登用、古材・リサイクル材の利用（かんな屑を断熱材として再利用）、
床下換気口への取組みがみられる。

●さらに、以下の取組みがみられる。
・事務所兼住宅であるが、事務所部分も断熱区画内として住宅と同じ断熱計画をしており、職住一体の家として一棟全体でできるかぎり断熱化を図る意図がみられる。
・住宅内の通風だけではなく、卓越風が期待できる事務所の西側に地窓を設け、事務所内の通風にも配慮している。