住宅

【令和5年度】屋我地島 やんばるの風わたる家

最終更新日:令和6年3月27日

沖縄県名護市の事例です。

事業概要

●建設地:沖縄県名護市
●地域区分:8地域
●申請書類作成者:クロトン設計
●階数:母屋:平屋建/離れ:2階建
●延床面積:母屋:52.07㎡/離れ:83.89㎡
 

提案概要

●建設地の自然的環境の特徴 
・建設地は東シナ海に面し、「やんばる」と呼ばれる沖縄島北部の入口に位置している。亜熱帯海洋性気候に属し、黒潮とモンスーンの影響により一年を通して高温多湿である。台風が多く、湿害、風害、塩害、蟻害、腐朽に対する備えが求められる。
 屋我地島全域と周辺海域は国指定鳥獣保護地区に指定され、多くの渡り鳥が飛来する他、希少種や在来固有種の生き物が生息しており、これらの生き物の生息場所を提供し、緑の回廊を確保することが必要である。

●建設地の文化・技術の特徴 
・台風に対しては、集落単位や地形を利用した対策など重層的な備えで防風対策を講じている。
 水不足に対しては地下水や雨水などの自然水で賄っている。
 年間温度差が少なく建物に対する断熱や暖房技術は発達していないが、夏期の日射熱が大きいため、建物内に日射を侵入させない工夫が発達している。
 年間を通して湿度が高く、木材腐朽やカビの発生が起きやすいため、建物内だけでなく床下、壁内、小屋裏に湿気を滞留させないことで、これらの発生を防いでいる。
 小規模な民家が多く、島嶼地域であるために移築や部分再生などによって限られた建築資源を循環させる社会通念がある。

●全体の提案概要
・地域の気候風土に対応した住まい
・地域の生態系に対応した住まい
・自然素材を用いた快適な住まい
 

地域の気候風土への適応・環境負荷低減対策

●大きな窓(多層構成の建具)、高天井、深い軒庇、中庭等、屋敷林、無垢材である製材の使用、部材現し、小屋組現しかつ野地現し、和小屋組、
面戸板現し、瓦屋根、板張り壁(外壁・内壁)、床板張り仕上げ、床板張り仕上げのうち下地材を用いず単層床板張りとしたもの、調湿材への取組みがみられる。

●材料・生産体制、景観形成、住まい方について多くの取り組みがみられるほか、それ以外の要素として、防蟻処理、台風対策、耐塩害処理、
夏型結露対策、日陰の創出、自然水の利用への取組みがある。

●緩衝空間、深い軒庇、多層構成の建具、床板張り(厚さ30mm)、複数の窓の位置による通風に配慮した設計、敷地等建物周囲の環境配慮、季節に応じた生活習慣、
窓・雨戸の開け閉めの励行、地域産の材料の使用(瓦、構造材、壁材)、地域の建築職人・大工の登用、古材・リサイクル材の利用への取組みがみられる。

●さらに、以下の取組みがみられる。
・天井換気扇を使って室内の熱気を小屋裏に排出している(冬は使用しない)。
・床下(基礎部)に無双格子を設け、床下に風を行き渡らせている(冬は閉じる)。
・離れの影が母屋に落ちるよう通り庭を設けている。
 

お問い合わせ先建築

国土交通省住宅局参事官(建築企画担当)付
電話 :03-5253-8111

住宅局基本情報

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