音声や位置データを通じてパイロットと管制官をつないでいるのが無線施設です。 日本全国の無線施設がソラを見守っています。

対空通信施設

対空通信施設

 対空通信施設は地上にいる航空管制官の声を航空機へ届けるための施設です。
 主に空港に設置されるA/Gは、離陸、着陸時に管制官が使用し、航空機へ指示を与えています。
 空港を出発後、目的地の空港を目指しながら航空路を飛行している航空機には、RCAGを使用して管制官の声を届けています。RCAGは日本全国各所に設置されているため、空港から離れた航空機へも管制官の声を届けることができます。

正式名:

A/G(Air to Ground Radio:空港対空通信施設)
RCAG(Remote Center Air-Ground Communication:遠隔対空通信施設)

リモートRADIO

リモートRADIO

読み方:りもーとれでぃお

 空港から遠く離れた場所に、現地の管制塔と同じ環境を構築する機器です。現地の空港に設置されたカメラから360度の映像を大型ディスプレイに表示させ、環境音も再生させることができます。この装置により、現地の空港やその周辺を飛行する航空機に対して、遠隔から情報提供を行うことができます。

ILS

ILS

読み方:あいえるえす

 ILSは、航空機が安全に着陸するために滑走路への進入コースを電波で示すシステムであり、LOC、GS、マーカーまたはT-DMEで構成されます。
 LOCは、滑走路への進入コースの中心から左右のずれを示し、GSは、滑走路に降りてくるまでの適切な進入角を示します。マーカーは滑走路から所定の位置に設置して上空を通過する航空機に滑走路までの距離を示し、T-DMEは滑走路の着陸点までの距離を連続的に示します。
 航空機はILSを利用することで、雨が降ったり霧が発生したりして視界が悪い状態でも安全に着陸することができます。

正式名:

ILS(Instrument Landing System:計器着陸装置)
LOC(Localizer:ローカライザー装置)
GS(Glide Slope:グライドスロープ装置)
T-DME(Terminal Distance Measuring Equipment:空港用距離測定装置)

  • LOC

    LOC

     滑走路への進入コースの中心から左右のずれを示す装置。進入中の航空機から見て滑走路の末端に設置されています。

  • GS、T-DME

    GS、T-DME

     GSは滑走路に降りてくるまでの適切な進入角を示す装置。T-DMEは滑走路の着陸点までの距離を示す装置。(写真右の縦に3つ並んだアンテナがGS、写真左の細長い棒状のアンテナがT-DME)
     どちらも着陸点の横に設置されているので、航空機に乗った際はぜひ着陸時に外を見てみてください。

  • マーカー

    マーカー

     滑走路までの距離を示す装置。滑走路から所定の位置に設置されています。

VOR/DME

VOR/DME

読み方:ぼるでめ

 VOR/DMEは、飛行中の航空機に方位情報と距離情報を提供する装置です。
 方位情報を提供するVOR、距離情報を提供するDMEを組み合わせることで、航空機はVOR/DMEからの情報をもとに自身の飛行位置を確認しながら正確なルートを飛行できます。航空路を形成する施設はVOR/DMEだけではなく、VORTAC(読み方:ボルタック)という施設もあります。これはDMEの代わりにTACANという装置をVORと組み合わせて方位情報と距離情報を提供するものです。また、VORと組み合わせずに、DME、TACANを単独で使用する場合もあります。
 VOR/DME、VORTAC、DMEやTACANといった航空保安無線施設を相互に結ぶことで航空路を形成しています。

正式名:

VOR(VHF Omnidirectional Radio Range:超短波全方向式無線標識施設)
DME(Distance Measuring Equipment:距離測定装置)
TACAN(Tactical Air Navigation System:極超短波全方向方位距離測定装置)

レーダー

レーダー

 レーダーは電波を用いて航空機の位置などを検出する装置で、一次レーダーと二次レーダーの2種類があります。一次レーダーは自己の発射した電波の反射波を利用して航空機の位置を検出しています。二次レーダーは、航空機に質問信号を送り、航空機からの応答信号を受信することで、位置だけではなく航空機の飛行高度や便名の情報も取得しています。管制官はこれらの情報を用いて、航空機の誘導及び航空機相互間の間隔設定等を行っています。

  • ASR

    ASR

     ASR(空港監視レーダー)は、空港から約110km以内の航空機の位置等を探知する装置であり、出発・進入機の誘導及び航空機相互間の間隔設定等に使用されます。
     写真の上部についている長方形のアンテナが二次レーダー、下側の大きなアンテナが一次レーダーです。

  • ARSR

    ARSR

     ARSR(航空路監視レーダー)は、半径約460km以内の航空機の位置等を探知する装置であり、航空路を飛行する航空機の誘導及び航空機相互間の間隔設定等を行うために使用されます。
     写真のようにレドームと呼ばれるカバーで覆われており、この中にアンテナが入っています。

  • ASDE

    ASDE

     ASDE(空港面探知レーダー)は、空港の場内を走行する航空機や車両の位置を探知する装置です。管制官はASDEの画面を見ながら空港内の交通整理を行います。
     写真のように管制塔の屋上にレドームと呼ばれるカバーに覆われて設置されることが多いです。

レーダーアンテナの点検

レーダーアンテナの点検

 レーダーは常にアンテナを回転させて航空機を監視しています。劣化が発生していないか、定期的に航空管制技術官が保守を実施することで安定した運用ができています。

ガンセット

ガンセット

 管制塔に配置されている携帯型の緊急用対空通信装置です。地震や台風などで管制塔から退避する際に、パイロットとの通信を継続するために携帯します。さらに、管制塔に装備されている通信装置が故障した際の予備としても使用することがあり、バッテリーは約2時間持続します。管制官が日常的に使用している通信装置と比べ使用可能な周波数や電波の届く範囲について制限がありますが、緊急時においては、管制官の指示を操縦士に伝える手段として必要となるため、管制官のいる管制塔には必ず装備されています。