uc22-042

都市OSと連携した都市政策シミュレーション

実施事業者日本電気株式会社 / パシフィックコンサルタンツ株式会社 / 株式会社Eukarya
実施場所香川県高松市
実施期間-
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都市OSをプラットフォームとした地理空間データの管理・分析・可視化プラットフォームを構築。多様なデータを用いて都市の将来変化をシミュレーションする。

実証実験の概要

人口減少、少子・高齢化が顕著な地方都市では、地域の活力を維持するための、コンパクトで持続可能な集約型都市の構築が喫緊の課題であり、高松市でも「多核連携型コンパクト・エコシティ」の推進を目指している。他方、多様なステークホルダが関係する都市政策は合意形成の難易度が高く、効果的な施策展開のためにはデータを活用した施策効果のエビデンスの提示が必要である。

今回の実証実験では、高松市を舞台として、中長期の都市構造の変化を予測する都市政策シミュレーションを構築する。また、予想された将来の都市構造をもとに、災害リスクやヒートアイランド現象などのシミュレーションを実施し、複数の都市政策シナリオを評価する。これらのデータを都市OSをプラットフォームとして統合し、WebGISを用いて一元的に可視化することで、都市政策の合意形成ツールとして活用する。

実現したい価値・目指す世界

高松市では中心市街地等の「核」の間を公共交通で結ぶことで地域の活力を維持・向上させる「多核連携型コンパクト・エコシティ」の推進を目指し、中心市街地等における都市機能の集積や、住居・生活サービス機能と連携した公共交通ネットワークの構築などの施策を推進している。他方、ステークホルダが多岐にわたる都市政策では、住民理解や多様な関係者との連携のため、EBPM(Evidence-based policy making:証拠に基づく政策立案)の推進が特に重要であり、様々なIoTデータやシミュレーション技術などを用いつつ、円滑な合意形成を進めていくことが求められている。

今回の実証実験では、FIWAREをデータ統合のための都市OSとし、これにオープンソースのWebGISであるRe:Earthと接続することで、地理空間データの管理・分析・可視化プラットフォームを構築する。これをデータ連携基盤として、3D都市モデルのもつ建物や土地利用のデータ、人々の移動データ等を組み合わせて都市構造の将来変化を予測する都市政策シミュレーション技術を開発する。ゾーニング規制や都市機能誘導施策、公共交通再編等の政策シナリオごとの都市構造の変化をシミュレーションすることで、都市政策の効果をわかりやすく可視化し、合意形成のためのエビデンスとして用いることができる。また、予測された将来の都市構造モデルにデータプラットフォームから取得される河川水位やCo2濃度といった各種IoTデータ等を統合することで、災害シミュレーションや熱環境シミュレーションを行い、災害リスクや環境等の観点から将来の都市構造を評価する。

これらの技術開発により、3D都市モデルを基盤的なデータとした都市OSと可視化環境の統合システムが、都市政策におけるデータに基づく政策立案や合意形成の円滑化にどのように貢献し得るのか、その有用性を検証する。

対象エリアの地図(2D)
対象エリアの地図(3D)