バリアフリー

株式会社フジドリームエアラインズ、株式会社エスエーエス、株式会社MHIエアロスペースプロダクション 「搭乗橋が使用できない小型機対応の搭乗装置の開発」

講評

    国内地方空港には、搭乗橋のない駐機場が多く、そこではステップ車による搭乗が行われている。この場合、階段を乗降することになるが、車いす利用者や足が不自由な人にとっては乗降が困難であり、階段に沿った昇降リフトを利用することになる。このような不自由さを改良したのが、本表彰対象のエレベーター付ステップ車である。
    このステップ車には、エレベーターが併設されており、車いすはもちろん介助者も同乗でき、安心して円滑に利用できるユニバーサルな搭乗装置といえる。本装置の開発は全国初であり、その技術面の先進性を高く評価するとともに、地方空港などの利用者の増加に貢献する点も評価したい。

受賞者の取組

■ 取組の概要
 株式会社フジドリームエアラインズでは、搭乗橋(ボーディングブリッジ)のない地方空港において、体の不自由な方等の搭乗に対する不安を解消するため、株式会社エスエーエスと株式会社MHIエアロスペースプロダクションと共同で、介助者も同乗できるエレベーター付きのステップ車を開発した。

● エレベーター付きステップ車の導入
 国内地方空港には、搭乗橋のない駐機場が多く、そこでの乗降にはステップ車(階段)を使用することになっている。車椅子利用者や歩行困難者に対しては、階段に沿って斜めに昇降するリフトを利用することになるが、そのリフトでは介助者が搭乗できず、不安定な状態で階段の傾斜に沿った斜めの移動になるため、ご利用の際に不安を感じる方が多い。
   地域と地域を結ぶ航空機をご利用になるお客様には、体の不自由な方だけでなく、お年寄りや小さなお子様連れの方も多く、こういったお客様の不安を解消するため、一般の建物と同様に垂直に動いて、介助者も同乗できるエレベーター付きのステップ車を空港で実際にハンドリング業務を行う(株)エスエーエスと共同で開発することとした。株式会社MHIエアロスペースプロダクション社に2018 年12 月に設計・製作を依頼し、2019 年11 月に完成、試験運用を経て2019 年12 月24 日より県営名古屋空港にて運用を開始した。



                                               組立作業の様子

                                  エレベーター付きステップ車


   これまでのリフト付きステップ車では、車椅子のお客様をご案内中、一般のお客様に搭乗を待機させていたが、このエレベーター付きステップ車は、車椅子ケアと一般搭乗を同時に実施することも可能でリフトの収納作業も不要のため、搭乗時間を短縮することができ定時性の向上に繋がる車両となった。
   また、このステップ車には弱視の方にも視認しやすいように階段の配色を考慮して可視化に努め、階段の途中の踊り場は、小さなお子様や重い荷物を持った方のように、階段を一気に登ることが困難なお客様は途中で休むことも可能である。なお、作動中は音楽(選択可能)が流れることで安全性を確保しつつ、快適性にも配慮した。


                                              搭乗時の様子


                                 エレベーターを利用する様子

今後期待される取組

 現在、3 号機まで導入され、使いやすさや利便性の面から改良がなされており、今後も継続的な改良を期待したい。また、このような搭乗装置は、他の空港での需要も高いと思われるので、普及の拡大や対応機種の多様化がなされることも期待する。

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