バリアフリー

姫路市 「市内31 駅周辺の一体的整備プログラム策定と鉄道事業者及び地域との連携によるバリアフリーの推進」

講 評

 鉄道駅およびその周辺のバリアフリー整備は、基本構想などに基づき順次進められているが、地方部においては困難を抱えているところも多い。このような状況下において、姫路市では、利用者数の少ない駅も含めた、市内31 駅を対象とした整備プログラムを
策定し、面的整備の重要な柱にバリフリー化を位置づけ、移動の利便性の向上を図るとともに、地域活性化のまちづくりに取り組んでいる。さらに、各駅周辺の取組みにおいては、地元のまちづくり協議会を通じて、地域住民や企業が市、鉄道事業者と連携することにより、ユニークな取組みを展開している。特に、地元企業が社屋の一部を駅待合所に使えるようにしたり、バリアフリートイレを開放したりしている点は注目に値する。以上、市内の全駅を対象にバリアフリー化に取り組んでいる点、および市、鉄道事業者が地域の住民、企業と密接に連携し事業を進めている点を高く評価し、本事例は国土交通大臣表彰として極めて相応しいものと認められる。

受賞者の取組

■ 取組の概要
 
姫路市内に31 ある鉄道駅の中にはバリアフリー化の点で課題の多い駅が多くあったことから、姫路市では、計画的かつ効率的にバリアフリー整備を進めるため、全31 駅を対象に整備すべき内容や改善すべき優先項目を盛り込んだ「鉄道駅周辺整備プログラム」を策定し、鉄道事業者をはじめ地域住民や地元企業と連携・協力することにより、鉄道駅のバリアフリー化のみならず、駅周辺の利便性向上と持続可能なまちづくりにも取組んだ。

市内31 駅の効率的な整備を可能とする「鉄道駅周辺整備プログラム」の策定
 「鉄道駅周辺整備プログラム」では、市内31 ある鉄道駅のうち、整備済み及び整備中の駅を除いた16 駅を今後整備が必要な駅として抽出し、整備内容及び着手時期の目標を定めるとともに、安全・安心に関わる緊急性の高い整備項目を優先的に取組む方針とした。プログラムを策定することにより、複数駅をパッケージとして鉄道事業者と協議することや、各地域住民及び民間企業とも一体となって検討を進めることが可能となった。
 なかでも、太市駅においては、[1]老朽化していた駅舎のコンパクト化を計画していた鉄道事業者、[2]駅前等の立地条件の良い場所への本社機能の移転を計画していた民間企業、[3]駅周辺のまちづくりによる地域活性化を希望していた地域住民、[4]鉄道駅を中心としたコンパクトなまちづくりを推進する姫路市、の4者が連携し、駅舎をコンパクト化するとともに、駅前に民間企業が新社屋を建設し、駅利用者が利用可能な待合所やバリアフリートイレを提供することとしたほか、カフェや特産物の販売イベントを開催するなど、バリアフリー化に加え持続可能な地域の活性化が実現した。


             整備後の太市駅


      鉄道駅周辺整備プログラムに沿って整備した大塩駅
【整備前】



【整備後】

◎今後期待される取組

 本事例は、これからの地域全体を対象とした駅周辺におけるバリアフリー整備の一つのモデルとなりうると思われる。そのような期待を込めて、今後の取組みとして、主に次の2 点をあげることができる。ひとつは鉄道駅周辺整備プログラムに基づき、バリアフリーの推進を円滑に進めること。そのとき、地域の特性に合わせた4 者連携の特色ある取組を図っていただきたい。二つ目は、障害当事者等の参加が現時点では十分ではないと思われるので、整備プログラムの具体化にあたっては、高齢者、外国人等を含めた当事者参加の
充実を希望する。

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