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Q3-1.2000万円を供託しないと住宅を引き渡せないと聞いたのですが、本当ですか。
- 必要な資力確保措置は「供託」か「保険加入」のいずれかであり、必ずしも供託をしなければいけないというものではありません。国土交通大臣指定の保険法人の保険に加入した場合は、当該住宅について供託を行う必要はなく、供託金を算定する戸数から除外することとなります。保険への加入の詳細については、Q3-4及び「住宅事業者の方向け情報」の中の「保険商品」をご参照ください。
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Q3-2.保険制度又は供託で一本化しなかった理由は何でしょうか。
- 今回の資力確保措置は、事業者の倒産時等に消費者の保護を図るためのものです。消費者の保護という目的を達成できるのであれば、事業者が複数の方式から選択できるようにする制度にすることが合理的です。そこで、この法律に定める資力確保措置としては、どちらか一つに統一することなく、事業者が保険又は供託という異なる性格を有する制度の中から選択できる形をとることにしました。
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Q3-3.保証金の供託とはどのようなものですか。
- 資力確保措置として、保証金の供託を選択される場合、事業者(建設業者または宅地建物取引業者)の方が法令により定められた金額の現金や国債などを、法務局等の供託所に預け置くこととなります。瑕疵担保責任の期間中(引渡し後10年間)は、保証金を取り戻すことは基本的にできません。供託額は、引き渡した新築住宅の戸数により異なります。例えば、引き渡した戸数が1戸の場合は計2千万円、10戸の場合は計3千8百万円、100戸の場合は計1億円となります。この場合、施行日以降に引き渡した戸数が対象となることにご注意下さい。詳細は、Q4-1をご参照ください。
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Q3-4.保険への加入とはどのようなものですか。
- 資力確保措置として、保険への加入を選択される場合、事業者(建設業者または宅地建物取引業者)の方が、保険に加入することとなります。この保険においては、住宅の構造耐力上主要な部分等(Q2-2参照)に瑕疵が判明し、補修等を行った場合には、保険金が支払われます。この保険は、火災保険などを扱う一般の損保会社では扱っておらず、住宅専門の保険会社として国土交通大臣の指定する保険法人が取り扱います。指定された保険法人の連絡先などは、「住宅瑕疵担保責任保険法人」のページでご確認ください。
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Q3-5.発注者や買主が、資力確保措置(保険への加入または保証金の供託)が必要ないという考えの場合でも、事業者は資力確保措置を行わなければならないのですか。
- この法律に基づく資力確保措置については、発注者又は買主の意思にかかわらず義務となります。
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Q3-6.届出も必要であると聞いたのですが、本当ですか。
- 新築住宅を引き渡した業者は、毎年基準日(3月31日)に係る保険や供託の状況を、基準日から3週間以内に、建設業の許可や宅地建物取引業の免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に届け出る必要があります。届出を行わない場合は、この法律に定める罰則の適用や業法(建設業法または宅地建物取引業法)に基づく処分の可能性がある他、基準日の翌日から50日を経過した日以降、新たな新築住宅の請負契約や売買契約を締結できなくなりますので、ご注意下さい。詳細は住宅事業者の方「基準日届出」をご参照ください。
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Q3-7.保険又は供託を行ったので届出を行いましたが、次の1年間に新築住宅の引渡しがなければ次回の届出は不要ですか。
- 一度基準日における届出を行った場合には、その届出の対象となった新築住宅に対する瑕疵担保責任が続いている期間中(10年間)は届出が必要となります。
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Q3-8.マンションにおいて、保険又は供託の請求を管理組合が行うことはできますか。できる場合、どのように行えばよいですか。
- マンションなどの区分所有建物において、本法に基づき住宅取得者が有する保険金の直接請求権又は供託の還付請求権をマンション管理組合等の管理者が代理行使しようとする場合には、権利者である各区分所有者からの個別の委任が必要となります。管理規約または集会の決議だけでは不十分ですので、注意が必要です。
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Q3-9.マンションにおいて、売れ残りによる1年の経過などの理由で、一部の住戸のみに保険又は供託の資力確保措置が行われている場合、資力確保措置の対象となっている住戸の購入者が請求できる保険金の直接請求又は供託の還付請求の額は、マンション全体の修理費用となるのですか。
- 住宅品確法の瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権は、持分割合に応じた分割債権となります。したがって、資力確保措置の対象となっている住戸の購入者は、自己の持分割合に応じた損害賠償金についてのみ、保険金の直接請求又は供託の還付請求をすることとなります。
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Q3-10.分離発注の場合も、資力確保措置(保険への加入または保証金の供託)の対象となるのですか。
- 分離発注の場合でも、住宅の構造耐力上主要な部分等(Q2-2参照)に係る施工業者は住宅の品質確保の促進等に関する法律の瑕疵担保責任の対象となっており、その事業者が建設業許可を有している場合には、資力確保措置を行う必要があります。
保険加入の場合、適用対象となる部分を受注した事業者は、受注した部分について保険加入が必要となります。実務上は、分離発注した各事業者が連名して保険を申し込むことになります。
供託の場合、対象となる複数の事業者と発注者の間で瑕疵担保責任の履行に係る負担割合が記載された書面が相互に交付された場合には、記載された自己の負担割合のみについて供託すれば足りることとなります。この点は、共同請負と同じ取扱いとなります。