3D都市モデルに最適化したVPSの開発v3.0
実施事業者 | 凸版印刷株式会社/株式会社ホロラボ/プレティア・テクノロジーズ株式会社 |
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実証場所 | 静岡県沼津市 |
実施予定 | 2023年9月~11月 |

3D都市モデルとカメラ画像等を組み合わせたVPS(Visual Positioning System)を高度化し、より精度の高い自己位置推定システムを開発。モビリティに留まらず様々な業界に向けたサービス実装を目指す。
実証実験の概要
画像と3D地図等をマッチングさせることで位置を特定するVPS(Visual Positioning System)は、一般的には事前にユーザーが現地へ訪問し、撮影やスキャンによってマップを作成する必要がある。このVPS用マップをオープンデータである3D都市モデルを活用して作成することができれば、汎用的かつスケーラブルなVPSを実現することができ、モ
ビリティサービスやエンタメなど様々な分野へ応用が可能となる。
今回の実証実験では、2022年度に「自動運転車両の自己位置推定におけるVPS活用Ver2
」として開発したVPS「C*(C-STAR)」の追加開発を行い、3D都市モデルと光学カメラ画像を組み合わせた自己位置推定精度をさらに向上させる。また、新たにスマートフォン向けに最適化されたVPSを開発することで、スマホ向けアプリ等における有用性を検証する。

実現したい価値・目指す世界
自動運転システム等に用いられている自己位置推定技術には、GNSS、LiDAR、速度計、ジャイロスコープ等の各種センサーや、3Dベクトルデータ、3D点群データ等の様々なデータが活用されており、一定の実用水準にあるものの、使用されるLiDAR等の機器は高額なものが多く、また、必要となる高精度なデジタルマップの作成負荷も高いため、様々な用途に導入しやすい状況には至っていない。また、GPSはビルが立ち並ぶ都市部や、屋内では精度が低下するといった問題もある。そのため、3D地図と画像を照合することで環境に左右されず自己位置を特定することができるVPS技術が着目されている。
2022年度の開発「自動運転車両の自己位置推定におけるVPS活用Ver2」では、安価、簡易、安全、スケーラブルな自動運転システムの実現を目指し、産業技術総合研究所から提供された「C*」をベースに、3D都市モデルと光学カメラ画像を組み合わせたVPS技術の開発を行った。その結果、一定の条件下における自己位置推定には成功したものの、低速走行時の自己位置推定精度の低下やレンダリング処理の遅延等、サービス実装に向けた多くの課題が判明した。特に初期位置推定及び自律走行時における継続的なトラッキングに関する改善の必要性が明らかとなった。
今回の実証実験では、3D都市モデルを活用したVPS技術の確立と、社会実装に向けた汎用性の拡大の2つの観点で開発をおこなう。1つは昨年度の追加改修として、車両向け自律走行システムの高度化を目指す。具体的には、昨年度開発した「C*」の処理能力向上を図るため、照合用のカメラ画像の分析に新たなセンシングシステムを統合するなどのトラッキング機能の安定性向上のための施策を講じるとともに、Kudan株式会社から提供を受けたVPS技術であるKdVisualを活用し、両VPSを最適に組み合わせることで自己位置推定の精度とトラッキング機能の安定性の向上を目指す。
2つ目はスマートフォン向けのアプリケーションとして利用可能なVPS技術の開発を目指し、プレティア・テクノロジーズ株式会社が開発するPretiaVPSをベースに、3D都市モデルを活用した自己位置推定システムを開発する。具体的には、3D都市モデルから生成した点群マップと、スマートフォンで撮影したカメラ画像から生成した点群マップとを比較
し、自己位置を推定するシステムを開発する。さらに、利用者の移動量に応じた自己位置のトラッキング機能を構築することで、コンシューマー向けコンテンツの提供に利用可能な速度及び精度の担保を目指す。
これらの開発により、3D都市モデルとカメラ画像を組み合わせたVPS技術を確立することで、3D都市モデルを活用した新たなソリューション開発を目指す。


